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企画
ジーク・リュウガミネ!!!(貴方の楽しめる世界の為に!!!)(青帝)

廃工場

本来なら誰も立ち寄らないはずの其処に数多の人間が集まっていた。まだ中学生にも見える少年から、ちゃらい大学生をやっていそうな青年までその年齢の幅はかなり広い。
てんではらばらな彼らの唯一の共通点は"青"

青いシャツ
青いバンダナ
青い爪
青いピアス
それぞれアイテムは違うものの体のどこかに青を取り入れていた。
二、三人の一致ならば意識もしないその共通点も20人を超える人間が持っていれば異様に映る。



「それで用ってなんだよ」
「リーダー様の話か」
「いつもこーこーで一緒なんてズルい」
「青葉シネ」
「学年違くね」
「それでも死ね」
「ヒヒッ」
「リーダー様連れてこい」

口々に話し出す面々に青葉は小さく苦笑した。
いつの間にかブルースクウェアの中で帝人を信奉するのが当たり前になっている。
最初はモヤシだ軟弱だと言ったメンバーもいつしか帝人の気に入る非日常を作り出すのに余念がない。

「明日の準備をしようと思ってさ」

「明日?」
「まさかリーダー様とデートか」
「ラブラブなのか」
「ブラブラランデブーなのか」
「ヒヒッ」
「青葉呪われろ」
「俺も連れてけ」


「違う」

一斉に喋り出す集団のせいでなかなか話が進まない事に僅かにイラつきながらも青葉は爽やかで可愛らしい笑顔を浮かべた。

「明日は帝人先輩の誕生日なんだよ」

途端、ドォっと歓声が上がる。

「リーダー様の誕生日!!!」
「青葉の奴、誕生日デートかよ」
「死ね。青葉もんどりうって死ね」
「ヒヒッ」
「リーダー様を連れ出して盛大に祝おうぜ」
「青葉は抜きでな」
「青葉死んだし」


「だからデートしないっつってんだろ」

「振られた」
「青葉が振られた」
「ざまーみ」
「双子とリーダー様を寄越せ」
「リーダー様だけでもいい」


「ああ!!!うっせぇな!!!!」

流石にキレた青葉にブルースクウェアのメンバーは押し黙る。変に怒らせて、帝人に提供する非日常の材料などになりたくない。という非常に原始的な感情が彼らのお喋りな口を閉じさせたのだ。


「帝人先輩の誕生日パーティーをやるんだよ。折原臨也にも平和島静雄にも杏里先輩にも邪魔はさせない」

堅い決意を胸に青葉は宣言した。

「最高の非日常を!!!!」



♂♀


「で…コレ何?」

翌日、廃工場に呼び出された帝人は目の前の光景に失神寸前だった。
誰が生クリームでデコレーションされた厳つい男の裸など見たがると言うのだ。


「帝人先輩の誕生日パーティーです」

天使の笑顔を浮かべる青葉を変な生き物を見る様な目で見た帝人はもう一度想像を絶する景色に目を向けた。

「……バカだね」

「でも、先輩笑ってるじゃないですか」

「笑う以外の何をすればいいのか分からないよ」

生クリームでベッタベタの野郎共がピラミッドを作り、巨大ケーキをみたいになっている景色などなかなかみれるものではない。
見ても残念な気分になるだけなのはもの悲しいが……

「リーダー!!!おめでとうございます!!!!!」

キモイケーキからの祝いの言葉に頬を引きつらせ、帝人は思わず後ずさった。

「先輩?」

「ごめん青葉君。悪いんだけど気分悪くなってきたから 帰らせて貰うね」

「お供しますよ」

「ありがとう。でも大丈夫だから」

ブルースクウェア人間ケーキなんて気持ち悪いものを発明したであろう青葉が側に居たら休まる気も収まらない。
懇切丁寧に断った帝人だったが、何故か青葉に腕を掴まれる。

「気に入りませんでしたか?」

捨てられた子犬みたいな目で見つめてくる青葉に帝人は言葉を詰まらせる。
可愛らしい。
愛くるしい。
そんな表情に帝人は完全に困り果てていた。

「うーん」

気に入らない。
そうはっきり言うのは簡単なのだが、腕をプルプルさせながらピラミッドを維持させているブルースクウェアのメンバーには酷な言葉かと思うとなかなか言い出せない。
それに青葉も哀しませるかもしれない。


「えーと………」

「帝人先輩?要らないなら言って下さいね。責任もって綺麗なキャンドルにしますから」

「燃やすの」

「はい。誕生日ケーキですから」

「ケーキ自体は燃やさないと思うけど」

「でも非日常って感じで素敵じゃないですかぁ」

「…………………………確かに」

燃え上がる人間ケーキ。
それを想像した帝人はヒドく楽しそうな笑顔を浮かべた。

「じゃあ点火します」

いつの間にか用意していた火炎瓶をしっかり握り締め、青葉は無邪気に笑う。
そして、その火炎瓶を帝人にも持たせる。
一本の火炎瓶を持つ二人の二本の手。

「初めての共同作業がケーキ点火だなんて」

「そうだね………って色々とオカシイよね!!!!ケーキ入刀じゃないし!!!!」

思わず全力で叫んだ帝人に青葉はにっこりと笑いかける。

「帝人先輩と一緒ならどんな事でも幸せなんです」

ストレートな言葉に帝人の頬が赤く染まる。そんな可愛らしい反応に気を良くした青葉は火炎瓶を握り締める帝人の手を両手で包んだ。

「帝人先輩にもそうであって欲しい」

「青葉君…」

「青葉てめー!!!」
「リーダーの手を離せ!!」
「俺らを殺す気かよ!!!」
「おまえが燃え死ね!!」
「話が違うぞ!!!」

せっかく良い雰囲気になりかけた二人だったが、人間ケーキから盛大な文句が上がり、完全に邪魔されてしまった。

「上動くな!!!」
「下が動いてんだ!!」
「怒鳴ると揺れるぅ」
「これから俺らリーダーに食べて貰うんだ!!!」
「性的な意味ならリーダーを食べたい!!!」
「カニパリズム的ならリーダーに食べられたい」
「蟹ってなんだよ!!」
「蟹チャーハン食べたい!!!」
「俺はチキンケチャップチャーハンがいい!!」
「ただのチキンライス!!!」

口々に叫ぶ人間ケーキはついに筋力やら体力の限界に達し、ぐちゃっと地面に崩れ落ちた。

「バカかお前ら!!!!誕生日ケーキが潰れたじゃねーか!!!」

怒鳴る青葉の後ろで帝人は楽しそうに笑っていた。

―――――――――――――――――
青帝ー
帝人様は知らない間にブルースクウェアをメロメロにしてたらしいです
すごいです帝人様(笑)

病んでるのと甘々とを混ぜたら
アホコメディになったのは何故ですか?



[2010/3/18 Up]

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