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企画
イルミネーション(00:刹那×沙慈)
世界は美しい
そう言った人間は恐らく何も知らない

戦いに荒れる地を
泣き叫ぶ子供を



【イルミネーション】



夜の街を飾る煌びやかな光。
それを見上げる幸せそうな人々の中に彼は居た。

「…」

母国であるクルジスにはクリスマスなんていう風習は無かったし、並木道を飾るイルミネーションなんてものも勿論無かった。
あるのは硝煙と絶望だけ。

そんな世界で生きてきた刹那にとって、日本のクリスマスは理解に苦しむものだった。
ただ暢気に平和を貪っている様にしか見えない。
この平和や繁栄の裏に何があるのかを知らずに生きる者ばかり

「歪んでいる」

ポツリ。と呟いた声は陽気なクリスマスキャロルに掻き消されでしまう。
刹那は駅前広場の巨大なイルミネーションツリーを見向きもせずにその場から立ち去ろうとして

「あれ?」

声をかけられた。
思わず愛用の赤いマフラーを掴み、顔を隠すように持ち上げてしまうが声をかけた人物は特に気にする風でもなく嬉しそうな笑顔を見せた。

「やっぱり刹那君だ」

「沙慈・クロスロード」

「珍しい場所で会うね。刹那もこのツリーを見に来たの?」

自然に話しかけられた刹那はなんと答えるべきが言葉に詰まった。
スメラギ・李・ノリナガにクリスマス限定アイスケーキの購入ミッションを与えられたのだが…
ソレスタルビーイングの任務は極秘である上に、スメラギは念を捺すように「絶対に秘密よ。ほかのマイスターにもね!」と言われている以上、何も語ってはならないのだろう。

「いや…」

「あ!!!ひょっとして大事な人と?」

刹那の妙な間を変に解釈したらしい沙慈は「呼び止めちゃってゴメンね」などと言いながら照れくさそうに頬を掻く。

「僕もルイスと来たんだけど、はぐれちゃってさ。もう、ホントに何処に居るんだろ」

ふてくされながらも幸せそうな顔をする沙慈。
人でごった返す広場を見回したところで探し人を見つけるのは至難の業に違いない。
だが、真摯に辺りを見回す沙慈の横顔は大切な人を心配する優しさに溢れている。

「…俺も探そう」

「え!!?刹那、誰かと一緒なんじゃ」

「いや、ただケーキを受け取りにきただけだ」

「ケーキ?」

「人から頼まれた」

「あはは、そっかそれならいいんだ」

ただの世間話だというのに沙慈はルイスを探すのを一時中断して、刹那を見る。

「刹那が誰かと一緒にいるとか見たことないから思わず一人クリスマスパーティーでもするのかと思っちゃったよ」

随分と失礼な一言だが「ごめんね」と付け加える沙慈の本当に済まなさそうな顔に刹那は固まった。

「いや…」

何かを言わなければ
そう思っても次の言葉が出て来ない。
自分が何も話さないから沙慈が申し訳なさそうに表情を曇らせて居るではないか。

それなのに言葉が出てこない。

飾りたてられたクリスマスツリーをバックにした沙慈はイルミネーションの渦の中に居るみたいで。
遠い平和の世界にいる別次元の人間の筈なのに…
自分などに向かって謝罪をする。

戦いしか知らぬ自分を、普通の人間として扱ってくれる。
戦いの技能ではなくただの刹那として、ただの同年代の知人として見てくれる。

それだけで自分の世界が優しくなる様な気がするのはただの気のせいなのだろうか。

「早くルイス・ハレヴィを探そう」

「え!!?本当に手伝ってくれるの!!!?」

嬉しそうな笑顔を浮かべる沙慈の居る世界は本当に美しくて

「ありがとう。刹那君」

その無垢な心が損なわれない事を居もしない神に願いかけ、刹那はルイスを探し始めた沙慈を見つめた。



光り輝く世界に居る君を

「俺が守る」

決してその瞳が曇らない様に


―――――――――――――――
刹那×沙慈でクリスマス直前
ばったり会った二人

むしろ刹那→沙慈でふな

俺様の沙慈は刹那にだって渡さないぜ☆


刹那は沙慈を平和の象徴として見てればいいと思うのであります\(^o^)/






[2009/12/20 Up]

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