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企画
彼の行動(ルンファ: カイバレ)
※彼の決意の続編です



とりあえず寝起きのバレットさんは世界を滅ぼす位に可愛いと思います。

【彼の行動】

雪がチラツく中、一人の少年が明かりの消えた窓を見上げていた。
赤茶色の髪の毛の少年の名はカイル。
可愛らしい顔立ちをした彼を女の子みたい。と称する者は多い。

だが、現在の彼の心は猛る獅子である。
むしろ漢の中の漢とも言える位の意気込みだった。

何しろ愛しい人とともにクリスマスを過ごす為の一世一代の大勝負なのだから。

故に彼は住民が寝静まる夜中から愛する人の部屋を見つめ続けていた。
街灯の影に隠れた彼は不振人物そのもので、微動だにしていなかったのか頭や肩には雪が積もっている。

先程、隣の家に住んでいるセシリアがヴィヴィアージュ邸に働きに出る為に外に出てきた時、異様なカイルにかなり驚き、逃げる様に走り去っていったのにさえカイルは気付いていなかった。

彼はただ
愛しい人、バレットが起きるのを待っていた。




「う…」

薄いカーテンごしに差し込む陽光に一人の少年が目を覚ました。
名をバレットと言い、本人はあまり気が付いてはいないがストーカー被害者である。

「うーん」

寒さに丸くなりながら、バレットは小さく呻き、明るさから逃れる為に布団を目元まで引きずりあげた。

「ちょっバレットさん、かわゆす(*´д`*)」

何か変な声が聞こえてくるがバレットはそれを意識的に無視した。

何しろ眠いし寒いのだ。


「もはや犯罪級の愛らしさ」
「僕も同衾しても良いですか!!?」
「むしろ入ってきてカモーン状況ですか!!!?」


次々と耳に入ってくる雑音にバレットの眉間に皺が寄る。
うるさい。

「それではお邪魔しまーす」

布団の端が持ち上げられ、冷たい空気がバレットを襲う。

ついでに「もう僕死んでもいい」とかゴチャゴチャとうるさい。

「……うるせぇ」

起きあがる事もなく文句を言い、邪魔者を睨めばこの家に居る訳のないカイル。
予想外の展開に眠気が吹き飛んだのかバレットは目を丸くしている。

「バレットさん。おはようございます」

爽やか笑顔を浮かべるカイル。

「お前、何してんだ」

「バレットさんに挨拶を」

至極当然の様な顔をされバレットは深い溜息を吐いた。
朝からめんどくさいものを見た。そんなバレットの表情に一瞬カイルは寂しそうな顔をするが、すぐに満面の笑みを零す。

「ブライさんに頼まれた野菜を運んできたついでです。いつまでも寝てるバレットを起こしてくれないか。ってブライさんに言われたので」

「ならとっととこの部屋から出てけ」

「酷いなぁ。バレットさん。見てくださいよ。昨日の夜、凄い雪が降ったんですよ」

カーテンを開けながらカイルが言えば、
「いつも降ってるだろ」
とバレットは全くの興味なし。

ついでに機嫌が降下気味だ。

クリスマスデートに誘おうとしているカイルにとってそれはあまり芳しくない展開。
カイルの予想では積雪を見てあまりの眩しさによろけたバレットを支えるとかいうトキメキシチュエーションを作る筈だったのだがバレットはまだベッドから出てきさえもしていない。

プランは最初から壊滅状態だ。

「そんな事言わないで一緒に遊びませんか?」

とりあえず会話を続けるのが先決。とカイルが話し掛けながら振り返れば

「断る」

きっぱりと拒絶されてしまう。
だが、カイルにはバレットの言葉は聞こえていなかった。

何しろ、バレットはいつの間にかベッドから抜け出し着替え始めているのだから。
男同士故の無関心。

だが、下心満載のカイルにしてみたら感涙物の光景である。

引き締まった体には適度な筋肉が付き、無駄な肉のないその体は余りにも細い。
そして真っ白な雪の様な肌。

今までこっそり覗いていたバレットの体が目の前にあるのだ。

「バ…バレットさん!!?」

完全にひっくり返ったカイルの声に胡乱な顔をしながらバレットが返す。

「お前が出て行かないなら俺が出て行く」

氷点下すぎるバレットの言葉にカイルの興奮は一気に冷めてしまう。

「待ってくださいよーせっかく朝から会えたんですから、一緒に遊びましょうよ!!!そうだ!!!釣りなんてどうですか!!!??ワカサギとか」

「釣り…」

釣り好きのバレットの気を引く様な単語を散りばめれば、バレットはピクリと反応を示すが…

「お前が居ると魚が逃げるだろ」

「静かにしますから!!!」

尚も食い下がるがバレットは頑なにカイルの誘いを断り、部屋から出て行ってしまう。

「バレット。せっかくカイル君が来てくれたんだから」
階下でブライが助け船を出してくれる声が聞こえるのだが、
「うるせーよ」
バレットはそれさえも拒絶してとうとう家の外へと出て行ってしまった。


「バレットさん…ツンデレな所も可愛いvv」

バレットが今まで使っていた枕を抱き締めながらカイルはそんな事を呟いていた。



――――――――――――――――
カイル気持ち悪いー(笑)
そして全くクリスマスデートに誘えませんでした

まだ続きます





[2009/12/20 Up]

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