[携帯モード] [URL送信]

企画
決戦は14日:2/6朝(ワゴンメンバーと帝人)

どんな最悪な夜でもやがて朝が来る。
扉の隙間から差し込む光に帝人は目を醒ました。

「…はぁ」

もぞもぞと毛布から這い出した帝人は小さくため息を吐いてから自分の居る場所を確認した。
狭いブースの中に一人。あの変態ストーカーは居ない。

「よし」

付けっぱなしのパソコン画面の中、ダラーズサイトの状況を確認した帝人は特に問題ない事を把握すると小さく微笑む。
平和なのはいいことだ。

平和島静雄をガンつけただけで伸したガキ
とかいう書き込みには微妙に引っかかりを覚えるが…まぁ平和だ。

ブースの中を適当に片付けた帝人は起き抜けのぼんやりした頭をはっきりさせるべく外に出た。
狭い廊下には帝人が出てきたブースと同じ形の物が並び、おそらくその中では誰かが眠っているのだろう。どこからともなく聞こえる鼾をBGMにして帝人は静かに通路を歩く。
ブースの立ち並ぶ通路を抜けると大きな部屋に出る。その部屋には大量の本棚が立ち並び、本屋か図書館の様。もっとも本棚に納められているのはマンガばかり。
そう、帝人は漫喫で一夜を明かしたのだ。
なるべく音を立てずに歩き、シャワールームに入る。
別に手洗いの水でも良かったのだが、開いているならシャワールームの方が気分的にいい。
シャワーベッドから出るお湯でバシャバシャと顔を洗った帝人は微妙に濡れた髪を振り、水滴を払う。

「帰って大丈夫かな」

またあの変態と遭遇したら今度こそ流されてしまうかもしれない。
柔らかく触れてくる指先を思い出し身震いした帝人は深い溜息を吐いた。

「消えればいいのに」

ポツリと黒い呟きを零した帝人はコンコンと戸を叩く音を我に返った。
あんまり占拠しては他の人の迷惑になる。

「ごめんなさい!!!」

バタバタと慌ててシャワールームから出た帝人は見知った顔に遭遇する。

「竜ヶ峰君!!!」
「こんなトコで何してるのよー!!?」

朝っぱらからハイテンションな遊馬崎と狩沢。

「え…お二人こそ此処で何を?」

「昨日の夜、深刻そうな少年を見掛けたからその観察をね!!!!」

うわー迷惑な人たちだ。
とか心の底から思いながら帝人は苦笑する。
たまたま見かけた自分を心配してくれたのだろう。

「良かったら話くらいなら聞くっすよ」
「てゆーか話してよ。面白そうだし」

狩沢の一言一言が微妙に気になるが、帝人は二人の優しさに自然と笑顔になっていた。
変態のせいで荒れた心が洗われるかの様な…


♂♀


「と、言う訳なんです」

ワゴンに拉致られて朝食を食べながら家に帰れない状況を説明した帝人はワナワナと震える狩沢を不思議そうに見つめた。

「イ…イザイザとみかどっちがベーコンレタスサンドしてるぅぅぅ!!!!!」

色々とツッコミ所満載の絶叫に門田は溜息を吐きながら彼女を窘める。

「本気で困っている竜ヶ峰をネタにするんじゃない。そもそも一般人に分からない単語を使うなと言ってるだろうが」

「で、でも!!!!リアルでBLなのよ!!!!!しかも年の差カップル!!!」

「…僕と臨也さんをカップル扱いしないで下さい。被害者と加害者の関係ですから…」

至極真っ当な帝人の指摘に狩沢はゴフッと変な噎せ方をする。

「無理矢理…監禁…調教……ふふ」

ブツブツと呟く狩沢にゾッとした何かを感じながら帝人はほんの少しだけ彼女から距離を取る。

「狩沢…頼むから少しは自重してくれ」

怯える帝人に助け船を出した門田。

「大丈夫か」

「あ…ありがとうございます」

「今度は門帝…」

狩沢の呟きは聞こえない事にした帝人と門田。

だが、問題児は他にも居た。
「ドタチンばっかズルいっすよー」
ノシ。と背中から遊馬崎が帝人にのし掛かってくる。

半狂乱の狩沢は置いといて、背中から抱きすくめられるかの様な体勢になった帝人は溜息を吐く。

「遊馬崎さん…」

「俺も竜ヶ峰君を守るっすから」
安心していいっすよ

言葉を聞くだけなら安心出来そうな台詞。けれど、変態から守ると言う人間が何故後ろから抱きつくというのだ。
むしろ変態その2。

その1よりマシなのはただ触れるだけという事。

「んーいい匂いっす」

前言撤回。
触れるだけではなかった。

「ゆまっち。みかどっちは3Dよ」

「ん?竜ヶ峰君は特別。可愛いっすからね」

「……竜ヶ峰、すまない」

何も悪いことをしていない門田が謝るのは筋違いなのだが、自然な謝り方に帝人は苦笑するしかない。
この二人の尻拭いを何度もしてきた事が手に取る様に分かってしまう。

「大丈夫ですよ。って遊馬崎さん!!!!首絞まってます!!!!」

「あ」

ぬいぐるみを独り占めする子供みたいに抱き締められた帝人が文句を言えば遊馬崎はヘラヘラ笑いながら帝人を解放してくれる。
変態その1よりも遙かにマシ。と遊馬崎への評価を少し上げた帝人は遊馬崎からも距離を取った。
マシなだけで危険でめんどくさい事には変わらない。

そして、狩沢と遊馬崎から距離をとった帝人が腰を落ち着けたのはちょうど門田の隣。

「どーして竜ヶ峰君はドタチンには懐いてるっすか!!!!」

結局は遊馬崎に詰め寄られて彼と距離を取った意味は無くなってしまったのだが…



「まぁ、こんな奴らだがまた来てくれよ」

「ありがとうございます。僕も話せて気が楽になりました」

なんやかんやで遊馬崎を落ち着かせた門田は帰り支度を始めた帝人に声を掛けた。
そして帝人もそれに笑顔で応える。

そんな和やかな空気を遊馬崎は羨ましそうに見ていたのだが、急に「あ!!!!」と叫んだ。

「ゆまっち?」

「折原臨也ばっかりズルいっす!!!!!!」

「?」

一体何の話だろうか
帝人が首を捻っていると遊馬崎はワゴンを揺らす様な大声を出した。

「チョコっす!!!」

「え…」

「そういえばそうよねー。みかどっちったらイザイザに早すぎるバレンタインチョコあげてるじゃなーい!!!」

「違います!!!!」

否定の言葉は何の甲斐もなく、攻め立てられるまま帝人は遊馬崎と狩沢、門田ついでに渡草にチョコを渡してワゴンから逃走したのだった。

「当日も期待してるわよー」

追い打ちをかける様な狩沢の声を背中越しに聞きながら、帝人は心の中で叫んだ。


なんで男からバレンタインチョコを欲しがる奴らばっかなんだ!!!!!!

―――――――――――――――
ゆまっちが難しいよぉぉぉ(>_<)

全員がだれー!!!??
という感じで泣きたくなりますorz
そして…グッダグダ…色々とすみません
一回タヒんで来た方が良さそうです




[2010/2/11 Up]

[*前へ][次へ#]

10/28ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!