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企画
決戦は14日:2/5夕方(静帝+岸谷夫婦)
「「あ」」


ピコピコピコーン


コンビニから出てきた帝人は知り合いの姿に声を上げた。
そして、その知り合いも同じタイミングで声を上げていた。

完全に被った声。
ばっちりとあった視線。

それに帝人は柔らかな笑顔を浮かべ、知り合いの名を呼ぶ。

「平和島さん」

名を呼ばれた知り合い、平和島静雄は、帝人の口から出た自分の名前の優しい響きに頬を染める。

「よ…よぉ。奇遇だな」

「ですね。静雄さんは仕事中ですか?」

「いや、さっき終わったところだ」

何処かでお茶でもしないか。
巧い誘い文句を思い付けない静雄は口べたな自分にムカつき始めていた。
今なら困惑だけで自販機を粉砕できるかもしれない。

一人百面相をしている静雄を見上げながら帝人は首を傾げた。
その小動物的な行動に静雄の顔が更に赤くなる。

「平和島さん、熱でもあるんですか!?」

ブンブンと顔を左右に振る静雄。

だが
背伸びした帝人に額を触られ完全に軌道停止した。

「平和島さん!!?」

『…さっきから何をやっている』

ふと眼前に突き出されたPDAに帝人は叫んだ。

「平和島さんがオカシイんです!!!!」

『………』

それは見ていたから分かる。
と心の中で呟きながらセルティは静雄を軽々と担ぎ、バイクに乗った。

「セルティさん?」

『知り合いの医者に見せるから…帝人も来る?』

「行きます!!!!」

本気で心配している帝人の頭を影のヘルメットで覆ったセルティは帝人を後ろに乗せ、アクセルを噴かせた。


♂♀


「ただのオーバーヒートだね」

静雄をざっと見た新羅はあっさりとした事を言う。

『ちゃんと見ろ』

「ちょっちょっとセルティ!!影でつつかないで!!!帝人君に見せるにはまだ早いよ!!!!」

バカなやりとりをする二人を尻目に帝人はベッドに寝かせられた静雄を覗き込む。
すやすやと眠る彼は酷く気持ちよさそうだ。

何かのアヤシい病気か何かと心配していた帝人は安堵の息を吐いた。

「ちょっと血圧が上がりすぎて倒れただけだから心配しなくていい」

帝人の様子を見た新羅は苦笑しながら告げる。
もし静雄が目を醒ましたらまたオーバーヒートしそうな距離だなぁなんて酷い事を考えている。


『そうだ。帝人、ちょっといいかな』

「セルティさん?」

新羅の碌でもない想像を邪魔する為かセルティが帝人にPDAを向ける。

『少し聞いて欲しい事があるんだ』

「はい。わかりました」

『此処では少しな…』

チラリと新羅の方にヘルメットを向けた彼女はスッと立ち上がった。

「セルティ。どうしたんだい。何かあるなら僕にも聞かせてくれないかな」

『うるさい。ついてくるな』

素早くPDAを突きつけてくる彼女に新羅は大人しく従い、上げかけた腰を下ろした。

「わかったよ。僕の姫君は過激だなぁ」

よくよく見れば新羅の腰はセルティの操る影に縛られ、立ち上がらない様にされていた。

「はは…仲良しですね」

「当然だよ。僕とセルティは比翼連理なのだからね!!!」

「ひよ…?」

『行くぞ帝人//////』


♂♀


「それでセルティさん。お話ってなんですか?」

セルティの自室に連れてこられた帝人は座布団の上にちょこんと正座して訊ねた。
だが、セルティは困った様にあらぬ方向を見るばかりでなかなかPDAを打とうとはしなかった。

焦れったい空気が流れる中、意を決したセルティはやっと口火を切った。

『バレンタインにチョコを貰うのは嬉しいのか』

もしセルティに顔があったのならば真っ赤になっていたかもしれない。それくらいに恥じらいながらも質問に帝人はあっさりと返した。

「岸谷さんにあげるんですか?」

『なっ!!!!そ、それは!!!違っ』

慌てふためきながらセルティはPDAに否定の文言を入力したり、びっくりマークを入れたり、そしてそれをまた消したり…忙しない事この上ない。

「嬉しいです。それが好きな人からなら凄く」

帝人がそう告げるまでセルティは慌てていた。だが、帝人がそう言うと納得したのかうんうんと頷く。
岸谷さんにあげるかどうかを悩んでいたのかなぁ。
とか思いながら帝人は微笑ましい気分になっていた。
何しろ池袋の生ける都市伝説がまさかバレンタインをどうするかで悩んでいたとは!!!!

『そ…そういえば…帝人はどうするんだ』

気恥ずかしくなったのかセルティは急に話題を変える。

「僕?」

『西武でチョコを買ったと噂で聞いた』

「何ですか。そのビミョーな噂…」

恥ずかしがるでもなく、困惑するのでもなく、帝人は呆れた様な声を上げた。

『違うのか?』

「違わないですよ。ただそんな馬鹿みたいな噂流す意味が分からなくて」

どうせあのストーカーが流したに違いない。今度シメる。
と小声で呟いた帝人の黒さにセルティは苦笑する。

『そのチョコは誰に渡すんだ?大事な人にか』

「え?やだなーセルティさん」

帝人は少し赤くなりながら違う違うと手を振る。そしてセルティに近寄るとヘルメットの耳に口を寄せた。
頭のないセルティには何の意味もない行動であったが、まるで内緒話をしているかの様なそんな錯覚に心が躍るのも事実。

だが…
帝人から告げられた名にセルティは青くなった。(頭があれば)

『帝人!!!!それはマズいぞ!!!!』

「確かに変な話ってのは分かってるんです」

げんなりしながら応える帝人にセルティはわたわたと慌てた。
何もわかっていない!!!!
マズいのはチョコを送る相手ではなく送られない変態共の方だ。

『帝人。これを持って行け。退魔効果がある』

「え…?」

セルティが渡したのはチ○ルチョコの大袋。

『恐ろしい敵が現れたらそれを投げつけるんだ。怯んだ隙に逃げろ』

「敵って…そもそもこんな大袋貰えないですよ」

『いいから持って行け。そうだ。これはさっきの相談の礼だ。というよりも持って帰ってくれ。お願いだから』

帝人は知らないのだ池袋のフィーバー振りを…
もし何かあったら!!!!

過保護すぎるセルティに押しつけられた大袋を持たされた帝人が帰って行く後ろ姿を見ながら、彼女は神に祈っていた。

帝人が変態に喰われない事を……

――――――――――――――
これは静帝ですか?
いえセル帝かもしれません

そして岸谷夫婦と見て森厳を期待していた方…すみませんm(_ _)m
新セルであります
乙女なセルティって可愛いですよねヽ(≧▽≦)/


それはともかく…
コンビニから出た時の電子音
アレでいいんですかね?
あと新羅に四字熟語使わせるの難しいですね。逆引き四字熟語辞典とか欲しい…
そして色々詰め込みすぎた感じがします………orz





[2010/2/7 Up]

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