謳う存在
【vsマスターA】(マスカイ)
前回までのあらすじ
ワームに犯されました
【vsマスターA】
「酷い………」
こんなのはあんまりだ。
確かに歌うことを拒否したボーカロイドなんて無価値かもしれない。
でも…
でも………
拒否したからってセキュリティーソフトをオフってウイルスの坩堝、もといエロサイトに突入するなんて非常識にも程がある!!!!
ワームに食べられた虫食いマフラーをヒシと抱きしめながらさめざめと泣くKAITOの心の叫びが皆様には聞こえただろうか。
何はともあれ、現在、KAITOは酷く傷ついている。
だからなのだろう。
彼は全く自分の身に迫りつつある危険に全く気がついていなかった。
彼に迫りつつある危険。
いや、むしろ既にKAITOを飲み込んだ危険とは…
非常識で頭のオカシイ世界の歪み(つまりKAITOのマスター)がニヤニヤと笑いながらKAITOの打ちひしがれる姿を写メっているというものだ。
脂下がったマスターのだらしない笑顔。
伸びすぎた鼻の下。
ついでにそこからは赤い液体が流れている。
当然、撮った写真は今晩のオカズか何かになるのだろう。
いや…このままだとKAITO本人が美味しく戴かれてしまう危険だってある。
「はぁはぁKAITOかわゆす」
前屈みになりながらも変質者はKAITOの姿を写真に撮り続ける。
ワームによってボロボロにされたコートから覗く生足の白さ。
あまりにも鬼畜な所行に泣く姿。
全てが余すことなく写真に納められてゆく。
「もう…食っていいよな」
ポツリ
と、マスターが呟き、何かを想像したのかポタリ。と赤い血を鼻から床へと落とした。
奇しくもKAITOが落としたバニラアイスの白の上に鼻血は垂れている。
そんなアイスに対する暴行を視界に入れたKAITOはパチクリとまばたきをし、1秒。
「死ねぇぇぇぇぇっ!!!!」
光速でアッパーを喰らわせる。
「がはっ」
「変態!!!!痴漢!!!!変質者!!!!!アイス様に何するんですか!!!!!」
泣き叫ばん限りの大声で怒鳴りながら、アッパーの衝撃で転んだマスターの上に乗り、マウントボジションでマスターの顔面を殴り続けるKAITO。
「あ…あは。いい…眺め」
因みにマウントボジションとは仰向けに倒れた相手の腹の上に座り、攻撃をしかけるという事である。
脳味噌まで腐っているマスターが何を想像したのかはお分かりだろう。
「消えろ!!去ね!!!逝ってしまぇぇぇ!!!」
マスターの気色悪い発言に総毛立ったKAITOはますます激しくマスターを攻撃する。
「は…激しいわ…」
悲鳴やら怒号やらが響く部屋を覗いていたのは8つの瞳。
「KAITOったらやるぅ」
面白そうに状況を観察する茶色の瞳。
「もっとやれー!!!」
プロレス観戦をしているかの様なテンションの黄色の瞳。
「お兄ちゃんがマスターとイチャついて/////」
恥ずかしそうにけれど興味津々で二人を見つめる黄色の瞳。
「デキてるとは思ってたけど…まさかこんなハードなプレイをしてるなんて!!!」
興奮気味な緑の瞳。
そんな瞳に気がついたのはマスター。
ちらり、とドアの隙間に視線をやり、愉快そうに笑みを作る。
だが、変態は他人に見られているからと言ってその欲望を抑制されるものではない。
むしろ……
スルリ
自分の腹の上にあるKAITOの形のいい尻を撫でる。
そう、マスターは見られて燃える方だった。
「うわっ!!!」
いきなりのセクハラに逃げだそうとしたKAITOは腰をあげようとしたが、がっちりとマスターに腰を掴まれ身動きが取れなくなってしまった。
「はぁはぁKAITO…俺だけのKAITO」
熱っぽい視線。
熱っぽい言葉。
そして尻を撫でる指先が下着のラインを怪しくなぞり始める。
「マ、マスター!!!!!」
いよいよ中に入ろうとするマスターの指にKAITOは怯えた声を上げ、イヤイヤする様に首を左右に振る。
「一緒に気持ちよくなろうか」
妖しい微笑み(ただし鼻血を流しながら)を浮かべるマスターの本気を読み取ったKAITOはますます震え上がる。
「はいはいストップストップー」
両手をパンパンと鳴らしながら部屋に入ってきたメイコ。
ひょい。とKAITOの体を持ち上げマスターから引き離すその姿はボーカロイドの長男の名に相応しい。
(本人に言ったら殴り殺されるだろうが)
「マスターも悪ふざけしてないで子供が見てるんだから」
「メーちゃん」
感極まったKAITOが白馬の王子に縋ろうとするが…
「KAITO。あんたが焦らすからマスターがこうなっちゃうのよ」
「へ?」
「はい、これ」
そっと優しく渡された物は1万円札。
「何、この1万円」
「これで一発ヤッてこい」
「ちょっ!?いきなり何言い出すの!!!!??」
1万円はホテル代だった。
「一回やればマスターも大人しくなるわ」
「そんな!!!!」
「毎日毎日バカバカしいやり取りを聞かせられる私たちの為を思って」
暗にウザイからマスターを満足させてこい。と言われたKAITOはブンブンと左右に顔を振る。
そんな理由で貞操を奪われたくない。
「マスターも異論ないわよね」
「無いね!!!!」
むしろ好都合と言わんばかりのマスターは殴られて青あざまみれの顔に満面の笑みを浮かべ、恐怖と驚愕の余り、腰を抜かしたKAITOの体を易々と抱き上げた。
「やらないか☆」
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
KAITOの絶叫は虚しく、お姫様だっこをされたままマスターに連れ出されていったのであった。
「さーて煩いのが居なくなったしビールビールヾ(^▽^)ノ」
変態に連れ去られたKAITOを省みることもなくMEIKOは冷蔵庫へと向かっていくのだった。
今回の勝者
メーちゃん
【あとがき】
駄文を読んで下さってありがとうございます
何度も言いますが
私はKAITOが好きです
でも可哀想なKAITOが大好物なのです
これの続き?
そのBは確実に18禁ですね(笑)
2009/12/12 Up
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