長編小説
6
千尋にとって地獄の一週間が始まった…。
約束の事もあり、隼人のマンションの出入りを禁じられた。
二人で居られるのは、学校の帰りのみ…。
Hを禁じられるだけでなく、二人で居る時間すら削られる始末。
一週間の辛抱、と千尋は自分に言い聞かせる。
だが、怒りが治まらない。
何もかもあの犯罪者のせいだと、恨みを抱く程だ。
「じゃ明日…」
「ああ」
隼人と千尋の家は、この地点…あの忌まわしい出来事が起きた公園の入口が分かれ道になる。
人気が余りないこの道なら、キスの一つぐらいは出来るはず。
「…あのさぁ」
「何だ。早く帰れ」
「ホント…冷たいな、お前」
こんな所も、本当に愛されているのか、不安の要素。
めげづに、自分の希望を千尋は隼人に告げる。
「…キスぐらいはダメ?」
しばしの沈黙。
怒られる…と思ったが、隼人はあっさり。
「しょうがない」
言うと同時に右腕を引っ張られる。
引き寄せられた事に気付く前に、ちゅっと軽い口付けをされ、腕を離された。
「早く帰れ、また襲われたいなら別だけどな」
少し軽蔑を含んだ表情と言葉。
嬉しかったキスは、隼人のこの一言で台無しになった。
「そんな事、思ってる分けないだろっ」
まだ千尋から誘ったと疑っている隼人が悲しかった。
「じゃな…」
そう素っ気無く言って、千尋は走ってその場を離れた。
どうしたら、隼人は信じてくれるのだろうか…。
そう考えた時、一つの案しか浮かばなかった。
それしか方法が、千尋にはなかったのだ…。
まだまだまだまだまだ続く…
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