[携帯モード] [URL送信]

長編小説
5
隼人の言葉に千尋は固まってしまう。

しばしの沈黙の後、やっとの事で千尋は声を発した。

「…どうして」

何故、分かったのか、それが千尋は不思議で仕方無かった。

隠した筈なのに…。

「呼吸が苦しそうだったから、シャツを開いた。そしたら、キスマークがあった…。俺の質問に答えろ、それはどうした?」

怒っているような隼人に、理不尽を感じた千尋は怒をぶつけた。

「ふざけんな!お前がオレを一人で帰らしたのが悪いんだろ!!」

「…で、他の男を誑かした訳か」

決め付けた隼人の言葉は、千尋の怒りを更に煽る。

「…どうして、決め付けんだよっ」

悔しくて、涙が滲んだ。

どうして、そう決め付けるのか…。

信じてほしい人に信じて貰えないのが、酷く悲しかった。

すると、隼人はとんでもない提案を持ち掛けた。

「それなら、それを証明してみろ…」

「何言ってんだよっ」

酷過ぎる隼人の態度に、千尋はとうとう涙を流し始めた。

「泣いて許して貰おうと思うなよ」

「ぐすっ…そん…なんじゃ…な」

溜め息を吐いた隼人は冷たく言放った。

「一週間、性交渉は禁止。勿論、他の奴ともだ」

「だからっ、オレの意思じゃ…それに隼人以外の」

言い切る前に隼人に遮られる。

「御託は良い。それが守れたら、一週間後に抱いてやる」

傲慢な隼人に、怒りを感じた千尋だが、隼人に捨てられたくない。

答えは決まっていた。

「…分かった。それで隼人が信じてくれるなら」

隼人への想いを分かってほしくて、その理不尽な条件を千尋は呑んだ。





まだまだまだまだつづく…

[*前へ][次へ#]

7/15ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!