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マネジのお姫様
20.たわいもない会話〈3〉


あ…あかん…
恥ずかしすぎる…///
あのおしゃべり母ちゃんめ!
ペラペラしゃべりおって…!
あー…明日からどないしよー


ピンポーン


「…あれ、先輩たちかな?忘れ物?」

真央の母「真央〜。今手ぇ離せへんから出てー」

「はーい」


ガチャ


「先輩たち忘れ物ですか?…って」

財前「………」

「光やんか。どないしたん」

財前「………」

「おーい、光くーん?」

財前「…忘れもん」

「はい?何忘れたん?」

財前「………」

「とりあえず部屋行こか」







「…何が忘れ物や。家がこない近いんやからあったらすぐに届けとるっちゅーねん」

財前「うっさい。気づいてたんなら早よ言えや」

「何やそれ。で、どないしたん?」

財前「………」

「…はぁ〜…長くなりそうやな…まあ明日は幸い休みやし、ええか。何か飲み物持ってきたるわ」


ガチャン




〜財前side〜


財前「………」


あー…
ほんましょーもな…
先輩たちの話を楽しそうに話しとるってだけで何イライラしとんねん…
ちゅーかそれで家に逆戻りとか行動力がこういう時だけ発揮すんねんな、俺…


最近になって気づいて来た
真央に対して余裕がなくなってきとること。
昔はアイツが誰と話してようとどうでもよかった
せやけど最近はほんまにあかん…白石部長やととくに。


財前「今の状態でこんなんやと、これから先が恐ろしいわ…」

そのうち女子にまでイライラしてしもたら大変やで…
物にまでやり始めたら病気やな。


「ほい、お待ち!」

財前「…おーきに」


コイツは俺がそないな状況になっとるとは微塵も思うてないんやろな…
夜中に男を部屋に入れるくらいやし
自分だけどんどん女になっていくんやあらへんでほんま!
謙也さんちゃうけど確かにええにおいするし、あとかすかにソース…


財前「そういえばお前祭りの食いもんどないしたんや?あと半分くらいあったやろ」

「え。食べたけど。」

財前「あの量を!?」

「せやってみんな帰ってしもたからもう食べるのあたししかおらんやん。だからちゃちゃっと食べてしもたわー」

財前「ほんまか…」

「もしかして、それ目的で来たん?」

財前「いや、ちゃうけど…。そないに脂肪分とっとるんやったらもうちょいつくとこついてもええと思うんやけどな…」

「うっさい!哀れむなや!それにまだ中1やで!?これからボンッキュッボンッになったるわ!」

財前「…せいぜい頑張れや」

「何でお前が諦めとんねや!」

財前「お前、祭り行かへんでよかったんちゃうか?行っとったら今ごろスゴいことになっとるで…」

「えー…そないなことないと思うんやけどなぁ…。それにお祭りって雰囲気も好きやねん。太鼓の音におっちゃんの声、いいわぁ〜」

財前「そうか?」

「なんや光はお祭り行って楽しゅうなかったんか?」

財前「…少なくとも楽しいとは思わんかったな」

「何で!?」

財前「男だけやで」

「…あ」


そう
祭りに男だけでいるとろくなことがあらへん。
とにかく逆ナンの嵐や
いつもなら真央がおるから女よけになるけど、今回はとにかく大変やった
真央には絶対笑われるから見せへんけど、白石部長と俺と謙也さんの鞄の中にはナンパよけとしてお面が入っとる
しかもよう分からんキャラクターのやつ。
こないデカい男どもが3人並んでキャラクターのお面つけとるんやで。笑いもんを通り越してビビられとったわ…
まあ、それは別にええねん
せやけど…


「あー…光も大変やね。昔っからモテたもんなぁ」


俺が最近
いや、前から薄々思うとったんは


「何でそないにアンタがモテんのか全く理解できひんけど」


コイツは全く俺のことを男として意識しとらんこと。


財前「(いっそのこと襲ったろか…!)」


いやいやいや、いくらなんでも軽蔑されるっちゅーねん


「あーあ、今年はもう祭り行けへんかなぁ」

財前「何言うとんねん、毎年行っとる祭りがまだあるやろ」


そう
毎年必ず真央と2人で行く祭りがある。
今日行った祭りほど大きくはないが、屋台もそこそこ出しとる。
小さいころから2人で行く祭り

「えっ、光行ってくれるん?」

財前「は?毎年行っとるやろ」

「せやけど今年は部活で忙しいし、行ってくれへんかと思うとった」

財前「忙しいんはお前も一緒やろ」

「せやった!」


騒がしいのは好きやないけどこの祭りだけは毎年楽しみにしとる。


「やった!せやったら先輩たち誘ってもええかな!」

財前「…!」


何言うとんねん、コイツ…
先輩らを誘うつもりか。
コイツが誘えば白石部長と謙也さんは必ず行くやろ
他の先輩らも真央のことを可愛がっとるから絶対に来る。
せやけど何でこの祭りまでみんなでゾロゾロ行かなあかんねん。
少しは考えろや


財前「却下。先輩らは誘わへん」

「えっ!何でや!?」

財前「今日のでこりごりや。白石部長はフェロモン吹きかけて女引っかけては何かおごらせるし、謙也さんはフランクフルトを食っとる女見て興奮しとるし、ユウジ先輩たちは急に道端でコント始めるし、小石川副部長は気がついたら人の波にのまれとるし…さんざんや」

「や、やっぱり誘うんやめとこかな…」

財前「そうしとき」


ほんまはちゃうけど。
9割方盛ったけどまあ、気にせえへん。
白石部長は何もせえへんでも女の人から食いもんもらっとったし、謙也さんはフランクフルトを食っとる女の人を見て「い、痛そうやな…」て、顔しかめとったし(やっぱ変態には変わらへん)、ユウジ先輩たちと小石川副部長にいたってはほんまの話や。
この時ほどお面が役にたつことは生涯一生ないやろな…


「じゃあ一緒に行ってくれるんやな!」

財前「ああ」

「ほんまにほんまやな!」

財前「何やねんくどいな。行く言うてるやろ」

「いや…光のことやからコロッと忘れそうやん」

財前「俺が約束破ったことあるか?」

「ある」

財前「……そこは空気よんでない言うとけや…」

「あたし嘘つけへんねん。昔っからずっと一緒におるんやから分かるやろ?」

財前「お前やって嘘つくときはダイナミックにつくやろ。規模デカすぎてすぐばれるけど」

「素直て言うてや。…あーあ、なんか光とはこれからもずっとこうして言い合いしていく気ぃするわ」

財前「昔からしとんねん。当たり前やろ」

「せやな」


こんなたわいもない会話を当たり前に毎日していくと思うとったこんときの俺は幸せやったと思う。
それが叶わなくなるとも知らんと…




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あきゅろす。
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