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マネジのお姫様
17.仲直り〈6〉

〜財前side〜



…アイツどこおんねん…さっきっから走りまわって探しとんのに全く見つからへん…。避けられとんのか俺…


小石川「あれ、財前やないか。そない汗だくでどないした?」

財前「真央見とりませんか?」

小石川「真央?いや、見とらんけど…なんやお前ら喧嘩中やなかったか?」

財前「それはもうええんです。ありがとうございました」


ダッタッタ…


小石川「…どういう心境の変化や…?最近の若者は分からんな…」




〜20分後〜


あ、あかん…ほんまに見つからへん…鞄はあるから帰ってないはずなんやけどな…
…しゃーない。もう一度外探しに行くか…


バサッ


財前「…あ?」


なんや…手紙か?
こないな時に迷惑な話やわ…!またどっかの知らへん女子やろ。そんなんに構っとる暇ないねん、くだらんわ。
しかも女子にしては真っ白の封筒て…
告白にしろ呼び出しにしろもうちょい気ィ使えや
さらにはたしじょう…


財前「…は?」


はたしじょう…?
しかも差出人は…真央やんけ…!
怒りすぎてとうとう決闘か!?ちゅーか果たし状くらい漢字でかけや。どこまでアホやねん
内容は…


“今すぐ体育館裏に来ぃ。早よせんとコイツの命がないで”


財前「………」


体育館裏て…
告白orイジメの呼び出しスポットやんけ。完全にチョイスミスっとるわコイツ…
ちゅーか“コイツ”て。
俺何を人質にとられとんねん
今から得体の知れんものを助けに行くんか
アイツの考えとることはよう分からんわ…


財前「とにかく行くか…」




〜体育館裏〜


財前「おい来たで…って…誰もおらんやんけ」


ほんま何やねんアイツ…
自分から言うといて来てへんのかい。
もしかして戦闘準備でもしとんのやろか…


財前「はぁ…アホくさ」


たんなる喧嘩やっちゅー話や。昔もこうやってよう喧嘩したなぁ





〜4年前〜


「なぁ光〜。ごめんなー、あのぜんざいが光のやって知らんかったんやー。」

財前「…謝られても俺のぜんざいは帰って来ん…」

「ほんまごめんて…」

財前「………」

「もー!しゃーないなぁ」


ダッタッタ…


財前「……?」

「ほらー」

財前「…自販機のおしるこぜんざい…?」

「これおごったるから機嫌直してや〜」

財前「…俺のぜんざいはこない安いやつやなかった」

「細かいな!しゃーないやん!誰のためにお金貯めとると思うてんねん!」

財前「…は?」

「……あ」

財前「何や金って…」

「…光のプレゼントのために今お金貯めとんねん。光がおーでぃおせっととか高いもん欲しがるから!」

財前「…オーディオセット買おうとしとったんか、お前」

「せやから今はこれで我慢し!」

財前「…おーきに」








そう言えば喧嘩するたびにいつも折れてくれるんは真央のほうやったな…
俺から折れるんは今回が初めてなんちゃうか?
しょーもな、俺…
しかも結局オーディオセットは買ってもらえへんかったし
まあ、小学生ん時の話やしな。



「光ー!」


ピトッ


財前「!? 冷たっ」


な、なんや!?
頬になんや冷たいもんが…


財前「…しるこ…?」

「待たせた?堪忍なー。おしるこ家に取りに行っててん」

財前「何で家やねん…」

「せやって夏におしるこなんて売ってへんもん。冬のうちに買いだめといてん。こんな暑い日にあっついおしるこなんて飲みたないやろ?せやから氷水でキンキンに冷やしてきたで〜!アイスおしるこや!そしたら遅れてしもたー」

財前「ちゅーか果たし状て」

「普通に呼び出したらつまらんやん。告白風も考えたんやけどそれよりも果たし状の方がおもろそうやん」

財前「果たし状と体育館裏がごっちゃになっとるやんけ…。てか“コイツ”って何や」

「おしるこのことー。早よせんとぬるくなるでって話や」

財前「しるこかい…」

「はい、堪忍なー。コレあげるから機嫌直してやー」

財前「真央」

「ん?」

財前「…ごめん」

「!!(ひ、光が謝った…!しかも怒られた子犬のように…!か、かわええっ///)」

財前「…真央?」

「え、ええねんええねん!分かってくれたらええねん!お姉ちゃん許したるわー!」

財前「誰が姉ちゃんや…タメやろが」

「ほら!おしるこ飲みー!」

財前「…お前昔からこれやな。いつも自販機のしるこや」
「しゃーないやん。お金貯めなあかんのやから」

財前「は?また何かのために貯めとんのか?」

「あれ、前に言うたやん。オーディオセットのためやって」

財前「!! ずっと貯めとったんか…?」

「あたしには珍しくコツコツ貯めとんねん」


じゃあなんや…忘れてしもたんやなくて、ずっと貯め続けとったんか…!
ほんまお前は…


財前「4年前から貯めとんのにまだ貯まらんのかい」

「うっさいわ!オーディオセットっていくらすると思うてんねん!しかも4年前て小3やろ!お小遣い何百円やん!他にもマネージャーとして交通費とかもあるし…頑張っとんねや!」

財前「…ははっ」


こういうとこ健気やなぁ
昔と変わらんわ…


「よっしゃ!早よテニスコート行こか。何や今日何もできなかった気ィするわ」

財前「おう」








〜おまけ〜


小春「あら、2人とも仲直りしたんやね〜」

石田「よかったな」

「おかげさまで〜。ご迷惑おかけしましたー!」

一氏「おおう、仲直りしたんか。仲直りしてしもたで?」

謙也「うっさいわ、ええ言うてるやろ」

白石「せや、仲直りできてよかったわ。部活的にも」

一氏「お人好しどもめ。奥手ばっかやな〜。なんなら俺が手ェだしたろか?おとせる自信あるで」

白石「意味なく手ェ出すなや!」

謙也「お前は眼鏡坊主を相手にしてろや!」

一氏「せやから小春を悪く言うなやぁぁあっ!!」

「な、何や!?喧嘩!?」

小春「今度はあっちかいな…」








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