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マネジのお姫様
13.スーパーデジャヴ

“アホ、さっさと起きろや”
“アホ、さっさと起きろや”


「うう…」


もう朝ぁ?
つか今日日曜日なのに何で目覚まし…
あ、平日のやつかけたまんまだったのか。
じゃあ二度寝できるじゃん。やった!


侑士「真央ちゃーん、目覚ましなっとるで?早よ起きようか?」


いや、だから今日は起きなくていい日なんだって。
今日くらいゆっくり寝かせてぇ




………はい?


「………え?」

侑士「あ、起きた。おはようさん」

「え、あ?お…おはようございま…?え?」

跡部「遅いお目覚めだな」

向日「何だよ、まだ寝ぼけてんじゃん。顔洗ってこいよ」

「う、うん。がっくん先輩……先輩!?」

侑士「それとも俺の愛の抱擁で爽やかな目覚めを…」

「な、何でここに!?ぎゃあああああ!?」


バキッ


侑士「グッ!?」













「……本当にすみません」

侑士「いや、そこまで反省してんねやからもうええって」


うう…侑士先輩の頬にはくっきりとあたしの手形ならぬ足形が…
思いっきり蹴っ飛ばしちゃったよ…


宍戸「だいたい勝手に部屋に入るなんて非常識なことをした俺らが悪いしな」

「ってそうですよ!何で揃いも揃ってみんなあたしの部屋にいるんですか!?こんなか弱いレディーの部屋に朝っぱらから!!」

日吉「…起きてすぐに回し蹴りかました女がか弱いだと?俺もひくぐらい綺麗な回し蹴りだったぞ」

「…………」

日吉「おい、聞い…」

「ち、因みにどうやって部屋に入ったんですか!」

向日「お前の母ちゃんが普通に入れてくれたぜ!」

「お母さん…」


何考えてんの!?
普通、娘が爆睡してるところに何人も男ぞろぞろといれます!?
いくらイケメンだからって!


宍戸「つーかお前のあの目覚ましのアラームなんなんだよ。趣味悪りぃな」

慈郎「真央ってドM?」

「ちっがいますよ!!これはあたしの幼馴染が…」

跡部「毎朝を俺様の声で目覚められるように設定しといてやるぜ。感謝しな」

「余計なことしないでください!」

慈郎「なんかお腹減っちったー」

「ジロちゃん先輩はすこぶるくつろぎようですね…」

向日「そういやさっき真央の母ちゃんがおやつ用意するって言ってたぜ」

慈郎「マジマジ!?やったー!」

「お母さぁん…」


びっくりするぐらい受け入れてんじゃないのよ…スーパーウェルカムじゃんか。
しかもそんな庶民のおやつなんてみんなの口に合わないよ、特に跡部先輩なんて…


「……ところで何でみなさんで乙女の部屋に勝手に入ってきてるんですか。何か用ですか」

日吉「だから勝手じゃなくてお前の親が…」

「本人に許可とってないんだから勝手と一緒でしょーが!!」

侑士「いやぁ、真央ちゃんともっと交流を持とうと思うてな」

「交流?」

鳳「この間はあまりお話できなかったしね」

「ああ…親睦会ですか。普通親睦会って本人にもあらかじめ連絡しておくものですけどね?とんだ望んでないサプライズですな!」


つか、お話も何もさ。
勝手にユニフォームのデザイン決め始まっちゃうし、あたしがどっか行ったところで誰も捜しにこなかったじゃん
それでさらに人の貴重な休日を奪おうっての?それはさすがに横暴すぎるんじゃない?


向日「……え。な、なんか怒ってるか?」

「別に…」

慈郎「めちゃめちゃ怖いオーラでてるC…」

「……ところで交流を深めるって何をするんですか。井戸端会議ですか」

向日「さあ?まだ決まってねえ」

「もう!清々しいくらいにノープラン!」

鳳「とりあえず跡部部長の家ですかね?」

「え!?また!?」


何なのこのスーパーデジャヴ。
ついこの間行ったじゃん!


宍戸「まあ、1番集まりやすいしなー」

侑士「せやな。それが無難か」


え。何なの。跡部邸は氷帝テニス部の皆様にとってたむろする場所なの。
世間一般的な中学生でいうファストフード店みたいな?
ゴージャスすぎんでしょ!普通シェフが作ったオヤツなんて食べれないよ!?こちとらハンバーガーにポテト、シェイクだわ!リョーマや桃に謝れ!


跡部「ふっ、仕方ねえな」

「いやいやいやいや…」


確かに素敵なお家だと思うし、いいんだけど。あんなすごいところにこんな短期間で行ったら心臓もたいないよ!
でもなんかみんな跡部邸に行く気満々だし…
このままではレッツゴーになってしまう!!
なんとかせねば…


「選択肢としては、このまま無視して寝るが1番のルートよね…。2番が違う場所を提案する、とか?あ、駄菓子屋!それならおぼっちゃまばっかだし、珍しいでしょ!駄菓子屋ツアールート!いいかも!でも個人的には1番のルートがいいんだけどな…」


日吉「おい。何ブツブツ1人で喋ってんだ?気味が悪いぞ…」

慈郎「ルート?とか言ってるC!」

跡部「あーん?まだ寝ぼけてんのか?仕方ねぇな、お前は車内で寝てろ」

「は?」

跡部「………ああ、ミカエルか?至急、女物の服を用意だ。サイズは……」

「待って!?」


え、何でこんなテキパキと色々準備されちゃってんの!?
あたしの駄菓子屋ツアーという提案は!!


跡部「よし、完璧だぜ。お前ら!行くぞ!」

「「「おー!!」」」

跡部「樺地!」

樺地「ウス」


ふわっ


「ぬあっ!?」


え、ちょ、ちょっと待って待って!
あたしまだパジャマなんだけど!?
てか連行ですか!?
3番ルート=強制連行ってこと…?


「強制3番ルートだと…!?」

向日「なあ日吉、真央がなんか言ってんだけど何だアレ」

日吉「さあ?跡部さんに対する呪いの術でも言ってるんじゃないですか」

「違うよ!若と一緒にしないで!」

日吉「俺はそんなことしない!だいたい呪いというのはな…!」

「あ、やば」

宍戸「あーあ。若のやつ完全にスイッチ入っちまったな、なげーぞありゃ」

鳳「真央もなんか青ざめてますもんねー」

向日「やっちまったって顔してんな。しかも樺地に担がれてるから逃げようにも逃げられねーし」

日吉「……というのが呪いの原点であって」

「へーすごいなへー知らなかったー」

日吉「何だその心底どうでも良さそうな感想は!」

「心底どうでもいいんだよ!!」

真央の母「あら?真央どっか行くの?あ、皆ももう帰っちゃうの?」

慈郎「おばちゃん、ゴミンネ!今度また遊びに来るからその時おやつ食べる!」

「また来る気なんですか!?てか娘のこの担がれ方に疑問を持ってくれ母親よ…」

悠太「おお?何だ、またイケメンが来てんじゃん」

鳳「あ、真央のお兄さんですか!おはようございます!すみません、朝からバタバタしてしまって…」

悠太「ああ、いいって気にすんな。どっか行くのか?そいつまだパジャマだけど。なんか担がれてるし」

宍戸「あー…今からちょっと遊びに…」

侑士「服はこちらで準備するんで気にせんといてください」

悠太「あそー。土産よろしく」

「少しは心配して!?」

向日「多分何も言わなくても土産はどっさり持って帰らされると思うんで大丈夫ッスよ!」

跡部「朝から失礼しました。少し真央さんをお借りします。夕方には車でご自宅まで送らせていただきますので、ご心配なさらないでください」

真央の母「あら。ご丁寧にありがとう、またいつでもいらっしゃい」

悠太「おう。また来いよー」

「ちょっと打ち解けすぎでしょ!!」

宍戸「……お前なんか可哀想だな」

「……ほっといてください…」


やめてよ若まで…そんな哀れむ目であたしを見ないで…









「うわ…」


その後はこの間と同じ感じで跡部邸に入って、着替えを用意してもらったんだけど…


「ちょっと跡部先輩!!」

跡部「あーん、着替え終わったのか?」

「着替え終わりましたけど!」

侑士「ええやん。真央ちゃん、似合うとるで」

「そういう問題じゃなくて!何でこんなぴったりなんですか!」


そう。
ほんとびっくりするぐらい服がぴったりなの。上着からスカートから靴まで。
あたし、サイズでもはかられてたわけ?


跡部「そんなもん俺様が見たからに決まってんだろーが」

「見ただけでサイズわかるわけないじゃないですか!」

跡部「俺様のインサイトを舐めんなよ」

「やだ、そんな使い方もできるの?」


わあ、便利!
って!それ犯罪ギリギリですからね!?


「そもそもよくこんなサイズの服ありましたね?妹さんでもいるんですか?」

慈郎「跡部は1人っ子だよー」

跡部「俺様が用意させたに決まってんだろ」


あ、そうなんだ…服ってそんなマッハで用意できるもんなんだ…


跡部「だが、こういうときの為に真央の服をあらかじめ用意しとくのも悪くねえな。ウォークインクローゼットつくっておくか」

「え、いらな!いらないです!だいたい何のために!?そうそうこういうシチュエーションなんてありませんよ!」


つか毎度パジャマで拉致る気満々かしら!?


慈郎「ねー!つまんないC!早く遊ぼう!」

「そんな朝から急に拉致られて、そんで遊ぼうって言われても…頭がついていきませんよ!」

向日「じゃあ簡単な遊びからするかー。何がいい?ジャンケンとかか?」

「それをずっとやり続けるの!?」


いくらなんでもバカにしすぎじゃない?
ウォーミングアップにもなりゃしないよ!


鳳「オセロとかどうですか?」

「こんな大人数いるのにあえての2人プレイゲーム選択するのね、さすがチョタ!」

跡部「オセロだぁ?んなもんねーよ。あってもチェスぐらいだ」

「いや、チェスとかやったことないし」

宍戸「ルールもわかんねーし」

慈郎「とりあえず進めるたびにチェックメイトって言ってればいいんだC!」

侑士「最強やないか。そんなもん一瞬で終わるわ」

跡部「乗馬ならすぐに準備させられるぜ」

「誰もができるものじゃないですから!馬乗って病院へGOですよ!!」

跡部「ならオーケストラでも呼ぶか?優雅にティータイムだ」

日吉「それは何が楽しいんですか?」

宍戸「確実に寝るやついるじゃねーか」

「てかさっきから遊びのチョイスおかしくありません!?跡部先輩は何なの!?学生飛び越えて、貴族なの!?」

侑士「貴族どころの話やないなぁ。王様やからなー」

鳳「自家用ジェットでよく世界中を飛び回ってますしね!」

「中学生って何だっけ……」

侑士「跡部やからなぁ」

「もっと小さな幸せも必要だと思うんですよ!今日のカレーは豚肉じゃなくて、牛肉だ!とか、好きなおかずがでてきたとか、久しぶりにケーキを食べるとか!」

日吉「…それはあまりにも小さすぎるんじゃないか?」

慈郎「真央、かわいそうだC…」

宍戸「全部食い物じゃねーか」

侑士「苦労してきたんやなあ…ぐすっ」

跡部「……ずっとここにいてもいいんだぜ?何ならお前の家族全員養ってやるが…」

「え!?何でですか!てかそんな貧しくないですよ!普通なんです、普通!同情しないでください!」

鳳「今度真央の家に差し入れするからね!もう手ぶらで遊びに行かないから!」

「いやだから何でよ!いらないってば!」


コラ!涙ぐむなチョータロー!!


「宍戸先輩ならわかってくれますよね!?」

宍戸「い、いや?俺にはさっぱりわからねーなぁー」

「どこで見栄をはってるんですか!」

侑士「清々しいくらいの裏切りやな」


コンコンッ


メイド「失礼します。お飲み物をお持ちいたしました」

「あ!」


あの人は…!
可愛いメイドさんだ!


「メイドさん!」

メイド「あら、真央様!遊びにいらしてくださったんですね。嬉しいです」

「あたしもまた会えて嬉しいです!」

シェフ「失礼いたします。こちらフランボワーズソースのブラマンジェでございます」

「シェフさんも!わー!この間ぶりです!」

シェフ「おや真央さん。いらっしゃいませ。存分にお菓子を楽しんでくださいね、おかわりはたくさんありますから」

「ほんとですか!嬉しいです!」

跡部「…何でこいつはこんなにうちの使用人と打ち解けてんだ…?」

鳳「いつ仲良しになったんですかね?真央が跡部部長の家に遊びに来たのってこの間が初めてのはずですよね」

侑士「むしろ跡部より仲ええんちゃう?」

「前に探検したときにお世話になったんですよ!」

シェフ「本当に探検だったんですね。てっきりかくれんぼでもしているのかと思っていましたよ」

「いやいや、中学生にもなってかくれんぼはさすがにやりませんよ〜」

宍戸「つか知らねー奴が勝手に厨房入ってきたら普通は怒らなきゃダメだろ。どこまでウェルカムなんだよ、クビになっちまうぞ…」

慈郎「かくれんぼ…Eじゃん!かくれんぼやろー!」

「「「ええっ!?」」」













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