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マネジのお姫様
バレンタイン〜ver.氷帝〜

「ふむ…」


なるほど。
モテるからってチョコレートがいらないってわけでもないんだな…いや、あたしに気を使ったのかもわからんけど。


「でもなぁ…」


見た?桃の必死ぶり。かっこいいし面倒見もいいし明るいし…絶対モテるだろうに。それでもまだ欲しいの?質より量派なの?


「でも今日は氷帝だし…」


氷帝ですよひょーてい。
おぼっちゃまばっかの氷帝。しかもその中でも一際目立つテニス部の皆様。
氷帝のみんなはチョコいらないかな…


向日「よ!真央!」

「あ、がっくん先輩!おはようございます!」


ヒラリ…


向日「おう!…ん?何か紙落ちたぜ?」

「あれ?あ、すいません」

向日「なになに?青学…○?何だこりゃ」


こらこら
人が落としたメモを勝手に読むんじゃないよ。


「それはバレンタインのチョコを用意する学校なんです。青学のみんなには一応用意しようと思いまして」

向日「マジか!氷帝は…ん?な、何も書いてねーけど」

「あ、氷帝のみんなには今日聞こうと…」

宍戸「うっす」

「宍戸先輩!」

宍戸「何してんだ?」

「あ、バレンタインのチョコをですね…」

宍戸「げっ、ば、バレンタイン?マジか、もうそんな時期か…憂鬱だぜ…」

「え?」

宍戸「バレンタインは…なぁ…当日、朝登校するときに渡してくるやつもいるし、下駄箱はチョコでパンパンで上履きとれねーし、教室入っても机の中も上も椅子もチョコで埋まってるし。休み時間毎回誰かしら渡しにくるし…部活始まる前も後もそれの繰り返し。あの匂いも嫌になるぜ…」

向日「確かにすごかったなー。ズボンのポケットにポッキーさしてきたときはさすがに笑ったぜ」

「ささってた!?」


え、バレンタインって本来好意を表現するイベントよね?
それを利用してイジメ?イジメなの?
てかアレか、むしろそれくらいのインパクトを残して記憶に焼き付けようという女子がいるのか…うーんたくましいなぁ。


宍戸「アレはもうバレンタインとかじゃねーだろ!嫌がらせだろ!」

向日「まあやったの俺とジローだけど」

宍戸「お前らかよ!」

「うわあ…」

宍戸「まあ、あとたちわりぃのはよ。バレンタインの3日前あたりからもうチョコ渡してくるやつもいるんだよ」

向日「まあ当日なんて本人に渡せる確率ほとんどないからな」

「へぇ…」

向日「つってもお前当日は逃げまくってて全然捕まらないのが原因だろ!少しは鳳を見習えよ!」

宍戸「あいつはアホみたいに何でも受け取るだろ!毎年前見えねーくらい抱えてんじゃねぇか!」

向日「まあ、誕生日とバレンタインが重なってるってこともあるだろうなー」

「へえ、そうなんですか!」


誕生日とバレンタインが重なってるってすごくない!?なんてラブリーな子なんだ!羨ましい…


「じゃ、じゃあそういうことで…今日も練習頑張りましょう…」

向日「あっ、ちょ…おい待て!どこ行くんだよ真央!」

「うわ!は、はい!?どこってテニスコートへ…」

向日「いや、そんな真面目に応えなくていいぜ…てか結局俺らのチョコはどうなるんだよ?」

「い、いや、けっこうです。受け取ってもらえなくていいんです。あたしはなんておこがましいことをしようとしてたんでしょう!ほんとすいません!」

向日「ええ!?急にネガティブ!!な、なんでだよ!?」

「だ…だって!今の話聞いてもチョコあげようだなんて思いませんよ!明らかにチョコはいらねーって話だったじゃないですか!」


目の前であんなこと言われてそれでもチョコ渡したらオイオイ、俺の何を聞いてたんだよ空気読めねーガールだな激ダサだぜ!って言われちゃうじゃん!そんなハート強くありません!!


向日「それは宍戸だろ!」

宍戸「え!?いや、俺言ったけど!てかお前ら何の話してんだよ!?」

「宍戸先輩だけじゃなくてみんなも絶対たくさんもらうじゃないですか!そんな気を使わなくていいんですよ!」

向日「そりゃたくさんもらうかもしんねーけど!」

「うわ、即答!!」


ちょっとびっくりだよ!


向日「でもそれはまた別だろ!真央のチョコは真央のチョコだ!」

「ふぇ?」

向日「だから!俺は他の女子のチョコじゃなくてお前のチョコが欲しいっての!」

「が、がっくん先輩…!」


え、がっくん先輩ってこんなに男らしかったっけ…
な、なんかステキに見えるよ…!


侑士「せやなぁ…俺かて真央ちゃんのチョコ欲しいわ」

「ゆ、侑士先輩!」

向日「うわユーシ!どっから湧いてきやがった!?」

侑士「ちょ、湧くて!そんなカビみたいに…」

鳳「俺も真央の欲しいよ!」

「チョタも!…でもチョタは特にたくさんもらうって言ってたし…」

鳳「それでも真央のは欲しいな。あ、もちろん数を稼ぎたいとかそういうのじゃなくてね」


いや、そりゃわかってるけど。
とりあえずあなたもたくさんもらうことは否定しないのね。最近跡部先輩の自信満々なとことかみんなにうつってきたんじゃない?


侑士「お前らも欲しいよなぁ?」

樺地「ウス…」

慈郎「A〜?なになに?何が〜?」

鳳「真央のチョコが欲しいですよねってことですよ」

慈郎「うわー!もちろん欲しいC〜!俺ね、俺ね!ムースポッキーがE!作って〜」


えっ!?まさかのリクエスト制ですか!?
てかそれを作れと!?ハードルの高さがおかしい!


宍戸「な…なんだよ!それじゃ俺だけすっげー悪者みてぇじゃねーか!!」

「あ…いやそんな、無理しなくていいんですよ!嫌なものは嫌だと言ってもらったが…」

宍戸「そんなことねーよ!俺も受け取るぜ、つーか欲しいから作ってくれ!」

「し、宍戸先輩…」


な…なんてイケメンなの!
作ってくれってお願いまでして!
ほんとにもう!これ以上あたしの株あげてどうするのよ!


「宍戸先輩好きだぁぁあ!」

宍戸「うごっ!?/////」

向日「あ!宍戸ズリー!最初に言い出したのは俺なのに!クソクソ!」

侑士「美味しいとこ持ってくなぁ」

鳳「真央!それ以上首しめたら宍戸さんが死んじゃうから!」

「あ!宍戸先輩ごめんなさい」

宍戸「げほげほ!」

「へへっ…宍戸先輩の本妻に怒られちゃった…」

宍戸「誰がだよ!?」

「ってことは若ももらってくれるよね!」

日吉「……は?何の話だ」

「あれ?若は本当に今来たばっかなのか。バレンタインのチョコの話!」

日吉「…チョコ?ああ、いらない」

「そ!そんな冷たい眼光で言わなくても…!」

日吉「そんなものを受け取っても何のメリットもないからな」

「そんなぁ…」

向日「んー?どうした真央」

「……聞いてくださいよ!向日の奥様!」

日吉「はぁ?お前急に何を…向日さんだって困ってるだろ」

向日「………どーしたのよ相川の奥様!」

日吉「のるんですか!?」

「最近日吉さんのとこの若くんったらね、反抗期なんですよ。チョコをあげると言ってもいらないって冷たく言い放つんですわよ〜」

向日「まあ。若くんも思春期がとうとうきたのかしらね〜?照れ隠しかしら?」

日吉「ちがっ!そんなんじゃないです!」

「そうかしらぁ?あんな怖い顔して照れ隠しだったらもう一つの特技ですよ。照れ隠し怖すぎ!」

日吉「うるさい!あ、忍足さんいいところに!何かこの2人に言ってやってくださいよ!」

忍足「ん〜?なんや、どないしたん」

「あら、忍足の奥様ですわよ向日の奥様」

向日「そのようですわね〜」

日吉「いつまでやってるんですか…」

忍足「……やだ〜、どないしたん奥様がた〜」

日吉「アンタもですか!?」

「それがですね〜。日吉さんとこの若くんが反抗期で…」

忍足「チョコを受け取ってくれへんの?嫌やわー最近の若者はほんと空気がよめてへんわ〜」

向日「ほんとですわよね〜」

日吉「…わかった!わかりましたから!受け取りますから!もうやめてください!」

忍足「…やって。よかったなー真央ちゃん」

「はい!2人ともありがとうございます!」

向日「いいって!あのモテなさそうな哀れな奴にもチョコをあげてくれ!」

「はい!」

日吉「余計なお世話です!」


はは、だよねー
若はモテるよね〜
愛想はともかく、見た目はかっこいいし…(キノコヘアーだけど)
心を開いた人は大切にするし…(仲良くなるまでは毒舌すぎて死にたくなる)
まあモテなくはないだろう。


「それで1つ問題が…」

向日「問題?」

宍戸「おいお前ら。まだこんなとこにいたのかよ」

向日「お、宍戸、鳳」

侑士「そんで?問題って何なん?」

「あの…跡部先輩にも、やっぱりあげた方がいいですかね…?」

「「「あー……」」」


うん、やっぱりそういう反応しますよね
この学校1番のモテ男ですからね。


向日「アイツは…いいんじゃね?」

侑士「ああ、俺もそう思うで」

「と、なりますよねー」

宍戸「だってよー、アイツはバレンタインのプレゼントとか世界のいろんなとこから贈られてくるんだろ?」

「えっ、そうなんですか!?」

侑士「ああ、それは俺も聞いたことあるで。跡部のもとには世界の財閥の娘からの貢ぎ物がすごいらしいで」

「うわ…財閥の娘さんから…」


さぞかし美しい娘さんたちなんだろう…
そんな人たちからたくさんくるなんて…もう次元が違いますね、やだ怖い。


鳳「話によると王宮御用達のチョコレートとかもあるらしいですね」

「王宮御用達!?」


それって何ちゃら国王とかも食べてるってものだったりでしょ!?
ど、どんな味がするの…庶民には想像力が乏しすぎてわかりません。


侑士「チョコレートなんて序の口や。建築物をプレゼントされたり、土地の権利書やプライベートアイランドを送られることもあるらしいで?」

「と、土地…だと…?」


じゃ、じゃあなに。世界各国にテニスコートを所持してて、さらにいろんな国に土地所有の権利があるんですか?
わぁ…1歳の違いでここまでくるともう…跡部景吾って何なんだろう…


「じゃああたしももしプレゼントをするならそれくらいしないとダメってことですか…?土地の権利書プレゼントですか?相川家は一瞬にして路頭に迷っちゃいますよ…」

宍戸「でも結局その路頭に迷ってる相川家の人間を拾うのは跡部なんだろ?意味ねーな」

侑士「家が一気にグレードアップやな」

向日「きっとそのまま真央は跡部にもらわれるパターンだぜ」

「どこのドラマですかそれ!」


ただただあたしたち家族が跡部家に吸収されるだけの話よ!
何が楽しいの!!


宍戸「ってとこでいらねーんじゃねぇか?跡部にバレンタインは」

「そ、そうですね…」

鳳「で、でも俺たちはもらって跡部部長だけもらわないってなると多分相当ヘコミますよ
ね…」

向日「しっ!いいんだよそこは!いつも美味しい思いしてんだからたまにはいいだろ!」

侑士「せや!跡部は何をしても気持ち悪いくらいポジティブやからこたえへんけど、真央ちゃん関係だと恐ろしく真に受けるからな!ここしか反撃できへんで!やー落ち込む跡部、楽しみや」

跡部「ほう…」

「「「!?」」」

「あ、跡部先輩!」


いつの間に!?


跡部「コートに行ってもお前らがいねーから捜しにきてみれば…」

向日「うぇ…き、聞いてた?…よな」

侑士「嫌やわー、美形の跡部くんの顔が怖いでー」

跡部「…とにかく真央」

「は、はいっ!」

跡部「俺様の分も作ってこい」

「あ…いや、でも…跡部先輩のお口に合わないと思いますが…」

跡部「そんなもん食ってみなきゃわかんねーだろ、だいたいお前が作ったもんでマズいわけがねぇ」


え、なに。
サラッとトキメクこと言いましたよ。


「で、でも…」

跡部「アーン、お前に拒否権はねぇんだよ」

「え!?」

向日「しめた!今のうちに逃げろ!」

跡部「俺様から逃げられると思ってんのか?おい樺地!」

樺地「ウス…」

宍戸「いや、樺地使ってるし…」








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