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マネジのお姫様
十五夜〜ver.氷帝〜

「あー、明日十五夜らしいですよ!」

向日「十五夜?」

宍戸「もうそんな時期かー」

向日「十五夜なんて何年もやってねーな」

「え、十五夜やらないんですか?あたしは去年もやりましたよ?」

宍戸「へぇ、どんな風にやるんだ?」

「去年は…家族が忙しかったんで1人でお団子作ってお皿を片手にお庭で仁王立ちしながらお団子食べてました」

宍戸「………」

向日「…ぐすっ」

「何で泣いてるんですか!」

向日「いや…かわいそうになっちまって…楽しい月見を知らねーんだな…」

「失礼な!去年は東京に引っ越してきたばかりだったからしょうがないんです!前まではちゃんとお月見一緒にしてくれる人がいましたよ!」

宍戸「そうか…今年はみんなで月見やろうな!」

「だからその哀れみの顔やめてくださいってば!!」

鳳「あ、宍戸さん、向日さん、真央!お疲れ様です!」

宍戸「おう!長太郎、明日部活終わり暇か?」

鳳「明日ですか?はい、暇です!」

宍戸「そうか、ならちょうどいいな!明日みんなで月見をしようって話なんだけどよ」

鳳「お月見ですか!いいですね!俺の家でも毎年やるんですよ!家族で庭に出て月を眺めながらディナーを食べるんです!」

「「「………」」」

宍戸「よし!長太郎はなしだな!」

「そうですね!」

向日「だな!」

鳳「え、何でですか!?」

跡部「おいお前ら!まだ着替えてなかったのか、さっさと着替えろ!」

「あ!跡部先輩!先輩も明日お月見やりましょう!」

跡部「あーん?月見だあ?」

「はいっ!」

宍戸「おい、跡部って月見知ってんのか?」

向日「さあ…でも鳳でアレだから、知らねぇんじゃねーの?」

跡部「馬鹿にすんじゃねえ、月見ぐらい知ってるぜ」

「あっ!じゃあやりましょうよ!みんなでお団子作って!」

跡部「ああ、いいぜ。会場は俺様が用意してやる」

「やったあ!…って、え?会場?」

宍戸「…何か嫌な予感がするのは俺だけか…?」

向日「いや、俺もだぜ…」

「とりあえずじゃあ明日放課後ですね!みんなも誘ってこよ!」

鳳「ねえ!俺も行っていいんだよね!?」











「で、会場がまさかの跡部邸ですか…」

宍戸「まあとりあえず団子作んなくちゃなんねーしな。器具とかはやっぱ揃ってんじゃねーの?」

侑士「いや、団子作るのに使う器具なんてボールと鍋ぐらいやろ」

「確かに…」

慈郎「とにかく早く行こ〜!」

「「「お邪魔しまーす」」」

執事「よくぞいらっしゃいました。こちらで景吾坊っちゃまがお待ちしております」


ガチャッ


宍戸「跡部、来たぜ」

跡部「よく来たな」

「………え?」


な、何この大量の食材…


「跡部先輩…?この食材たちはいったい…」

跡部「あーん?団子を作るんだろーが」

「や、そうなんですけど…」

侑士「…まあ、跡部が団子なんて作ったことがあるとは思えへんからな…」

「い、いやそうですけど!」


いくら料理したことないからってお団子にお肉とか魚とか使うとは思わないでしょ!?


「しかもすっごいいいお肉ばっかりだし…」

跡部「よし、さっさと作るぞ。早くそれを着ろ」

「わっ、エプロンまでちゃんと用意してくれたんですか!」


しかもみんなそれぞれ違うデザインだ!


「わあ、可愛い!」

跡部「よく似合ってるぜ」

侑士「ええなあ…新妻みたいでええなあ…」

向日「侑士きめえ」

慈郎「真央可愛いC!俺のお嫁さんになって〜!」

「えっ///」

宍戸「さりげなくプロポーズしてんじゃねーよ!」


いや、あたしよりももっとエプロン姿が萌える人間いるでしょうよ…


「若…!!」

日吉「!?」

「いいねえ…エプロン姿萌えるねえ…」

日吉「やめろ気色悪い!」

向日「あ!おい日吉!真央にひどいこと言うんじゃねーよ!」

侑士「せやせや!」

日吉「俺が悪いんですか!?」

宍戸「とにかくさっさと団子作ろうぜ」

「ですね!えっと…まず白玉粉を入れてっと…」

跡部「何だコレは、発泡スチロールか?」

「え!?」

宍戸「跡部マジか…」

侑士「まあ白玉粉なんて縁のないものやろうなあ…」

「そ、そうなんですか…そんで水を入れてこねる!」

跡部「これ…」

宍戸「粘土じゃねーからな!?」

「ナイス宍戸先輩!ボケ封じ!」

侑士「庶民の連携プレーやな」

「はい!じゃあこれをみんなで小さく丸めてくださーい!」

「「「はーい」」」

「丸めたら真ん中をへこませてくださいね!火の通りがよくなりますから!」

向日「んー…こんなもんか?」

「ちょ!がっくん先輩!それ大きすぎ!1時間茹でても火が通りませんよ!」

向日「そ、そうか…」

「ジロちゃん先輩!なんかUFOみたいな形になってる!逆、逆!真ん中をへこますんですよ!」

慈郎「A〜?こっちの方が面白いC〜」

跡部「何だ!?手にくっつきやがる!」

「跡部先輩!力入れすぎですよ!潰れてます!」

侑士「…家事をやらん奴って大変やな…」








「…はあ…まさかお団子を作るのにこんなに時間がかかるとは…」

樺地「…お疲れ…様です…」

「ありがとう樺ちゃん…樺ちゃんは作るの上手だったね…」

日吉「こんなことで疲れるのか、体力ないな」

「若も意外とスムーズだったね…」

日吉「こんなことぐらいできなくてどうする。これで下剋上を…」

「お団子作りで下剋上してどうするの…」

侑士「よし!茹で上がったで!」

「あ、侑士先輩!ありがとうございます!」

侑士「ええねん、真央ちゃんみんなの先生やって疲れたやろ」

向日「そういやユーシは珍しくツッコまなかったな」

侑士「いや、ツッコんだらキリがあらへんとふんでな。ずっと心閉ざしてん」

宍戸「少しは真央を助けてやれよ…」

「てかお団子いびつ…」

慈郎「早く食べよ〜!」

「あ、そうですね!…ところでここ室内ですけど、どっか移動するんですか?」

跡部「あーん?そんなわけねーだろ。樺地!」


パチンッ


樺地「ウス…」


ウィーン…


「えっ!?」


な…何コレ…
天井がなくなっていくんだけど!?


侑士「なるほど、天井が開く仕組みか。相変わらず大事なやっちゃ」

宍戸「オープンカーみたいなもんか?」

向日「うっへぇ…」

「すごっ…てか月めっちゃ見える!すごい!」

跡部「はっ!これくらい当たり前だ」

慈郎「すげー!跡部すげー!」

鳳「うわぁ!星も綺麗に見えますね!」

日吉「…財力の無駄…」

「よし!じゃあお月見始めますか!」

慈郎「いっただっきまーす!…う〜ん、おいC〜!」

日吉「形はいびつですけど、まあ美味いですね」

向日「十五夜なんて久しぶりだなー」

侑士「今夜ならムーンサルトももっと高く跳べるんとちゃうか?」

向日「関係ねーよ!」

「跡部先輩!どうですか?」

跡部「…ああ」

「ああ?何ですか、正直に感想を述べてください?」

跡部「….粉っぽい」

「…ああー…跡部先輩の舌にはちょっと合わなかったかな?」

跡部「しかし、俺は今日という日を生涯忘れないぜ。この白玉団子というものに出会った日を…」

「んな大袈裟な…」

宍戸「さすがセレブだな」

「ちなみに跡部先輩は十五夜っていつも何やってるんですか?」

向日「いや、跡部はそんな十五夜なんて文化気にしねーだろ」

跡部「十五夜はいつも月の近くまで行って見てるぜ」

「「「……は?」」」

跡部「何回か月にそのまま着陸したこともあったが…たまには遠くから見るのもいいもんだな」

「…え、月の近くって宇宙?宇宙のこと?お月見するのに宇宙まで行ってるの?」

宍戸「つか着陸したって言ってたよな?マジかよもう月見じゃねーぞ、月着だろ」

侑士「…よし、次から跡部を誘うんはやめようや」

向日「だな」

「ですね」

慈郎「でも今年もウサギさん見れなかったC〜」

宍戸「あ?ジローお前何幼稚なこと言ってんだよ。月にウサギなんて…」

跡部「ああ。近くで見ても俺様も1度も見たことねぇんだ、ウサギ」

「「「…え?」」」

慈郎「跡部もか〜、跡部が無理なら俺も無理かな〜」

跡部「簡単に諦めんじゃねえ。月はデカいんだ、どこかにいるはずだぜ」

「……え、冗談?あれ、冗談ですか?跡部ジョークですか?」

宍戸「あんな大真面目な顔して冗談言えるなら俺は尊敬するぜ」

向日「マジかよ…」

日吉「跡部部長…」

侑士「かわええとこあるやん…」

「…来年も誘ってあげましょう」

宍戸「ああ、必ずな…」

向日「1番に誘ってやるぜ…」

跡部「……何だお前ら、その生ぬるい目は…」










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あきゅろす。
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