[携帯モード] [URL送信]

マネジのお姫様
27.立海合宿編〈9〉


「みんな〜!お待たせしました〜!」

柳生「真央さん!しっかり乾かしましたか?」

「はい!ばっちり拭いてもらいました!」

「「「拭いてもらいました…?」」」

切原「それって丸井先輩にってことッスよね…」

仁王「やれやれ…急に真央の腕を引いて何事かと思えば、そういうことじゃったのか」

丸井「な…なんだよ!頭拭いてやっただけだろぃ!」

幸村「ふぅん…本当にそれだけ?」

丸井「な…ゆ、幸村くんまで…!」

ジャッカル「まあまあ…とにかく真央が濡れたままだったら風邪をひいていたのは事実だし」

柳生「倒れてしまっては大変ですからね」

「はは…そんな水かぶったくらいで大袈裟な…」

真田「相川!水をかぶるとはたるんどるぞ!」

「ええ!?た、たるんでるんですか!?」


じゃあどうしろと!?勢いよく出てきた水を避けろとでも言うの?そんなことできたらあたしだって立派なテニスプレーヤーになってるよ!


幸村「さて、真央とブン太も帰って来たことだし。練習を再開するよ」

「はーい」







切原「うりゃっ」

真田「どうした!気合いかたらんぞ!」

丸井「よっと!」

仁王「プピナッチョ」

幸村「みんな動きが悪すぎるよ」

「うわー、みんな頑張るなぁ」


数時間ならまだしも、1日中やってるんだよこれ。
あり得ないあり得ない!
いくらテニスが好きでも死んでしまうよ!
これが成長期男子の体力か…恐るるものがあるな…
……で、はりきるのはいいんだけどさぁ…


「…だからサポート役が1人しかいないんだって!いい加減気がついて!」


ああああ…
またあんなにたくさんのボールが…!
もう!拾うの嫌になっちゃうよ!
何も考えずにバコンバコン馬鹿みたいに打っちゃってさ!
このまま拾わないでおこうかな!?そしたらボールがきれて自分たちで球を拾わざるおえなくなる!そしてあたしの存在のありがたみがわかる!…って思ったけど、真田先輩の制裁が怖いのでやめておこう…


「ああ…木の上までぇ〜…」


引っかかってますよね、完全に!
しかも1球じゃ飽き足らず3、4球引っかかってますよね!
1球くらいならスルーできたけどああもたくさん引っかかってたら無視できないじゃん…
誰よ!あんなすっとばしたの!赤也か!?ブン太先輩か!はたまたジャッカル先輩か!!…まあ、いずれにしても取るのはあたしなんだがね。


「あれ、どうやって取ろう…」


ジャンプ…で届く距離じゃないですよね…
ハシゴ?は、確か別荘の裏庭の倉庫の中だったかな、遠いな…持ってくるだけで練習終わりそうだな。
ボール!!そっか、ボールを投げて落とせばいいんだ!その辺にボールなんてたくさん転がってるんだし。


「真央さんの第一投目!投げました!……とりゃっ」


ピューンッ


「…………」


まあ…宙を舞いますよね…かすりもしねぇ
自分の運動神経のなさを恨むわ…


「も、もう一回!とりゃっ」


パコッ


「やった!当たった!」


ポトッ…


へっへーん!あたしだってやりゃあできんのよ!こんくらい軽い軽い!
……で、もう一球は?
投げたボールの方は…


「げっ、また引っかかってるし!」


何それ、我が身犠牲にしてってやつ!?
あんたも落ちてこなきゃ意味ないんだってー!振り出しに戻っただけだよ!
真田先輩が幸村先輩を助けたとかってならなんか意味ある気がするけど、ボールがボール助けたってつまりはボールなわけで!
自分でも何言ってるのか分からなくなってきちゃったけど!


「うわー…もうめんどくさいなぁ」


まだたくさん引っかかってるし…
明らかあたしの肩じゃ届かない場所にまであるし…もー…
そこであたしの中に新たな1つの選択肢が浮かぶ。



…登るか?



確かに登ってしまえば手っ取り早く、正確にボールが取れる。
いやいやいや、落ち着け相川真央。あたしの運動神経の悪さは長年付き合ってきたあたしが1番よく知ってるはずよ。
そう、あたしにこの高さが登れるか…?
遊具ならまだしも木よ、木!
それに木と言えば……。いや、今はそんなことどうでもいいや。


くそぅ…せめてここがみんなから見える位置なら紳士柳生先輩が絶対手を貸してくれるんだろうけど…
あいにくここはコートからは死角。なおかつ壁にボールが跳ね返ってこの木に引っかかったのだろう。
だからと言って、練習に集中してるみんなの邪魔だけはしたくない。後回しにすればいいと思ったけどもう少しで夕飯の支度にとりかからなければならない。
食べ終わった後に言うにも、練習でぐったりしている人達をわざわざ外に出してまで取らせようとは思えない。何より自分が頼んだら絶対に引き受けてくれるとわかっているからこそ、させたくはない。


「困ったな……」


ここは何とか自分で乗り越えるしかなさそうだ…
できる!やればできる!頑張れあたし!
と、いうことでとりあえず恐る恐る木に脚を引っ掛け始めた。





〜10分後〜


だ、だいぶ上まできたかな?
うわぁ…し、下見れない!絶対に下見ちゃ駄目だ!動けなくなる!
ボールだけ見る!
次はあそこに脚を…うっ、あの木細いな…
あたし最近体重にちょっと自信がなくて…
お、折れないかなー
でもあの木に脚かけないと登れないし…
よし!あたしの体重を信じろ!


「えいっ」


バキッ


「!?」






[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!