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紅の旋律
第三話 美しき問題児(Writer:I.Otogi)
「しにさらせえええ!!」

そう叫び、レヴァンスは背中を向けるマッチョな男の一人に跳び蹴りを食らわした。

男は「ぐべぇ!」となんとも言えない叫び声をあげ、カウンターの向こうに飛んでいく。ソレを見た仲間と思われる男が「何すんだてめぇ!」とレヴァンスを睨み付けた。
直ぐ様拳が飛んでくると思い、構えたが男は何もしてこない。不思議に思いもう一度男の方を見てみれば、ブロンドの髪に青目の、肌が白い容姿の整ったどこか気品のある青年を羽交い締めにしていたのだった。
青年はレヴァンスの方を見れば、ぱぁっと笑顔になり、先程まで漂っていた品はどこへやら。人懐っこい少年のような表情になったのだ。
ソレを見たレヴァンスはヒクッと口元をひくつかせる。

「ゲッ…」
「レヴァ君じゃないか!!久しぶりー!!」
「カルイット・ルーイッヒ…。またてめぇか…」

カルイット・ルーイッヒ。職業はハンターで、レヴァンスが行くとこ行くとこ付いてくる男だ。この前の街でも散々付いてこられ、しまいめにはハンティングの手伝いをさせられ、あまりの鬱陶しさにクロビスと共になんとかまいて街を出てきたのだ。なのにもう追い付かれ…というか追い越されているとは…。恐らく目的の分からないハンターとはカルイットの事だろう。この男は本当に何を考えているかわからない。
はぁと頭を抱え、ため息を付いてみせると「やだなーレヴァ君、カルーで良いって言ってるじゃないか!ん?アレ、今日クロちゃんはー?」などと能天気な事を言いながら片手をブンブンと振っている。この男は現状をわかっているのだろうか…?
そんな二人のやり取りを見ていた男達は、レヴァンスをカルイットの仲間と判断したようで、手の開いている方の男がレヴァンスに言いよってきた。

「てめぇら、この落とし前どうしてくれんだ?あ?」
「あ゙ぁ゙!?何だよ?俺はお前の仲間に押し潰され、コイツに会って機嫌わりぃんだよ!!」
「あ、アイツ吹っ飛ばしたの自分だけど。」
「てめぇかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

レヴァンスはギッとカルイットを睨む。この状況からそうであるとは思っていたが、自己申告されると腹が立つ。
そうしていると男は痺れを切らしたのかのか、叫びながらレヴァンスに殴りかかってきた。
しかしレヴァンスはひょいと避けてみせる。

「なっ…」
「っるせぇ!」

ゴッ!
そう鈍い音と友に男が倒れた。レヴァンスが男に頭突きを食らわしたのだ。男の額は見事に赤くなっており、白目をむいている。レヴァンスの方はターバンと前髪で確認はできないが…
そしてもう一人、カルイットを押さえていた男はぶちギレながらカルイットから手を離し、仲間の敵と言わんばかりにレヴァンスの方へ、拳を振り上げながら向かってきた。しかし、カチリという音と共に男の動きは止まり、全身から汗がブワッと吹き出したのだった。

「あはは!よくわかってるねーおにいさん。」
「…っ!!」

そう、自由になったカルイットが男の後頭部に銃口をピッタリとあてがっていたのだ。さすがに周りで煽りたてていた連中や、ケンカに参入しようとしていた輩はピタリと静かになる。

「自分だけなら別に言い掛かりつけられようが、殴りかかられようがどうでもいいんだけど…レヴァ君に手出すのはいただけなかな…」

カルイットはそう冷たい目をしながらニッコリ笑ってみせ、男はヒッと小さく叫んだ。

「カルー、俺の周りで騒ぎを大きくすんじゃねぇ。」

レヴァンスがそう言ってカルイットを睨めば「わかったから怒らないでよ!」と言って銃をしまった。それと同時に、男は力が抜けたようにガクッと地に膝を付いく。

「さっさと仲間連れて出て行け。三人共な。」
「え゙」
「できねー事ねぇよなぁ?お前の筋肉は見た目だけか?この無駄マッチョ。」

そうは言っても吹っ飛ばされた全員中々いい体格をしているので、レヴァンスやカルイットのような体型の男を三人かかえるのとわけが違う。しかしカルイットに銃をむけられたのがきいたのか、男は仲間を見事全員抱え、ヨタヨタと食堂を出ていったのだった。
男が出ていったのと同時に、集まっていた野次馬達は各々のテーブルに戻っていき、若い店員が破壊されたテーブルや食器を片付けだす。
その様子をみてようやくレヴァンスは一息付いた。

「で、カルー。てめぇどういうつもりだ?」
「わー!だから怒らないでよっ!ご飯食べながらでも話そう?レヴァ君もまだなんだろ?」
「誰がてめぇなんかと…」

そう言って食堂を後にしようとすれば、カルイットは余裕たっぷりの様子で話を続ける。

「あーあ、良いのかなー?今回の話はレヴァ君にとって喉から手が出るほど欲しい情報のハズだよ?」

レヴァンスはピタリと足を止めた。





To Be Continued...

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あきゅろす。
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