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トロイメライ
Postman
「楓!俺等もう行くから!」
「あとよろしくね。」
「うん、気をつけて…ね…?」

昼食を取り終わり、宙とアニルは教会へ行くため、楓は二人を見送るため屋敷の門の所にいた。
二人を普通に笑顔で見送ってから食器を洗って再びあのフランス語で書かれた本とにらめっこするはずだったのだが、目を疑うことが空中で行われたため、疑問を隠し切れず、語尾が変になってしまった。その様子に気付いた二人は疑問符を浮かべながら楓の視線の先に目をやった。

「あ!アニルさん、今からお出かけですか?よかったー間に合って。」

そこにはそういいながらニコニコと笑って安堵している好青年がいた。しかしただの青年ではなく、腕が翼、足が鳥の足で、宙に浮いているのだ。

「あら、ハトヤマさんじゃない。お疲れ様。」

そうアニルが声をかければ、苦笑しながら着地し、それと同時に羽が舞い散ったかと思えば翼は腕になり、足も普通の足になっているどころか、服の袖や靴など、先程まで身に着けていなかったものまで現れたのだ。
驚いている楓と宙をそっちのけで彼は肩からさげていた赤大きなバックから封筒を一つ取り出して「魔女協会からの速達です。」と言ってアニルに渡した。

「ところでお客さんですか?ディーバットの人ではないですよね?」
「あ、はい。」
「自分、郵便配達員をやっておりますハト…」
「ハトヤマさんよ。」

自己紹介しかけたハトヤマさんをさえぎってアニルが笑顔で紹介する。

「ハトヤマさんですね?私は神谷楓です!」
「俺は宙だ。」
「宜しくお願いします!まぁ、自分ハトヤマという名前ではないんですが…」
「へ?」
「本名はハトリット・マウンテンです。皆さん自分のことをハトヤマと呼ぶのですが…」

何故でしょうね?と真っ白な短い髪をポリポリとかきながらハトリットは苦笑してみせた。
そして「あ、今からお出かけですよね?では自分はこれで」と言って空を仰ぐと、着地した時と同じように羽が舞い散り、今度は腕と足だけでなく体全体を被い、ハトリットは帽子をかぶり、袖の無い上着を着て赤いバックを下げた小さな鳩に姿をかえ、空に飛び立とうとしたその時だった。

「ちょっと待て!ハトヤマさん!!」
「ムギュウ!?」

宙がハトリットに飛びついたのだ。
おかげでハトリットは地面に叩きつけられ、人の姿に戻ってしまった。

「な、ななななななな何をするんですかぁ!?」
「お前亜人なのか!?」
「え?そうですが…ほら、耳が少し翼のようになってるでしょう?」

ハトリットは帽子をとって耳を見せてみるが宙の興味はそっちではなかったようで、真剣な顔でハトリットをみたままである。

「なぁ、今のどうやったんだ!?」
「はい?今のとは?」
「人型から獣型に変ったのだよ!アレ、俺にもできねぇか!?」
「ええっ!?できないんですか!?」

宙の一言にハトリットがギョッと目を見開いてみせる。楓は慌ててハトリットに誤った。

「すいません、ハトヤマさん!宙も迷惑かけないの!ハトヤマさんはお仕事中なんだから!」
「でも楓!アレが出来たらあの癖毛ロンゲに一泡吹かせられるかも…!」
「だからって…」

口論をしだした楓と宙をよそに、アニルは「ははん」というとハトリットのほうを向いた。

「ハトヤマさん、今日これからお仕事は?」
「今日はこれであがりですが?アニルさんの所に来るたびにややこしい事を頼まれるので。」
「あら、意地悪いわないでよ。ハトリット教官?」
「自分はただの郵便配達員です!!…まぁ仕方ないですね…亜人が変化できないのは生活にも影響しますから…一体どういう生活をしたらあの年まで変化しなくていいのやら…」
「まぁまぁ、じゃぁお願いね?」

アニルはハトリットににっこり笑って見せ、楓と宙を止めにはいっていった。

「ハトリット教官、か…」

そう言ってハトリットは帽子を深くかぶりなおした。





To Be Continued...



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あきゅろす。
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