7 そして通話を待っている僕に目を留め、慌てるように声を潜める。 「―――――…」 そのあとは話し声は聞こえずらくなったけれど、最後の一言は何故かはっきりと聞こえてしまった。 「…俺は、お前らの事も、……信用したわけじゃァねぇからな」 明らかに敵意を含んだ声だった。 腹の底の猜疑心を露にしたような鋭い言葉は、まるで僕を試すように響いた。 「…――ごめんごめんいきなり怒鳴ったりして!驚いた?」 通話を終えたジジは、前髪を掻き上げ溜め息を吐き、そしてまるで何事も無かったかのように僕を振り向いたが、その顔は明らかに沈んでいた。 …うーん。 「…不機嫌そうだね、今のは誰?」 苛ついているときは興奮していて口が滑りやすくなる。僕は敢えて踏み込んでそう訊いてみた。 「えーっと、…仕事上の同僚というか、先輩?」 案の定、言葉を濁される。 「ふーん」 仕事上…ね。それってマフィアの?とか訊けるわけが無く。 何だか良くわからないが、ジジも苦労しているらしい。 少なくとも今のように誰かを怒鳴りつけるような苛立ちと葛藤を、まるで思春期の子供のように抱えているんだろう。 そう思うと何故か妙に親近感を感じた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |