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そして通話を待っている僕に目を留め、慌てるように声を潜める。


「―――――…」


そのあとは話し声は聞こえずらくなったけれど、最後の一言は何故かはっきりと聞こえてしまった。


「…俺は、お前らの事も、……信用したわけじゃァねぇからな」

明らかに敵意を含んだ声だった。
腹の底の猜疑心を露にしたような鋭い言葉は、まるで僕を試すように響いた。






「…――ごめんごめんいきなり怒鳴ったりして!驚いた?」

通話を終えたジジは、前髪を掻き上げ溜め息を吐き、そしてまるで何事も無かったかのように僕を振り向いたが、その顔は明らかに沈んでいた。

…うーん。


「…不機嫌そうだね、今のは誰?」


苛ついているときは興奮していて口が滑りやすくなる。僕は敢えて踏み込んでそう訊いてみた。


「えーっと、…仕事上の同僚というか、先輩?」


案の定、言葉を濁される。

「ふーん」

仕事上…ね。それってマフィアの?とか訊けるわけが無く。

何だか良くわからないが、ジジも苦労しているらしい。

少なくとも今のように誰かを怒鳴りつけるような苛立ちと葛藤を、まるで思春期の子供のように抱えているんだろう。


そう思うと何故か妙に親近感を感じた。

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