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◆短編
騎士の行く末※R18
将来を期待され誰よりも戦場で勇ましく剣を振るっていた騎士が忽然と姿を消したのは数ヶ月前。

突然の事に誰もが驚き、何か事件に巻き込まれたのではないかと心配した。
所属する騎士隊では大規模な捜索隊が結成され、捜索は異例の長さ行われたが、成果に誰もが暗い顔を見せる。

共に剣術を学んだ友達は苦しげな表情で彼の無事を祈り、騎士に憧れていた少女達は彼がいつ帰ってきても良いように季節ごとに服を縫い彼の帰りを待った。
誰もが彼の無事を祈り、その帰還を願う。

それはすべて無駄に終わるのだけれども。



騎士の誇りである白銀の甲冑を半端に奪われて、胸元やペニスだけを露わにされた状態で拘束された騎士は解放を求めて身体を捩った。

背中側で拘束された腕がキシリと音を立てて軋む。
止まる事無く身体を襲う感覚が苦痛なのか快楽なのかすでに判断はつかなくて、口に嵌った猿ぐつわの隙間から熱い吐息を吐き出した。

「ふ、ぅ……、ぐ、」

言葉にならないくぐもった声が静かな室内に響き、騎士は部屋の扉をジッと見つめる。
あの扉が開くまで自分が解放される事はない、それを彼は知っていた。

「ふっ、ふぅう、う、ううぅ……」

身体を捩るたびに自身の尻穴を穿つ張り方が気持ちの良い箇所を擦り上げ、腰に重たい物が溜まっていくのがわかる。
こんな場所を刺激されて気持ちよくなってしまう自分の浅ましさが情けなく、眦に涙を浮かべつつもどうしようもなく快楽を感じてしまう。

勃ちあがったペニスを主張するように腰がカクカクと揺れ、刺激を求めて浅ましく動く。
自身のあまりの酷さに全身が紅潮するが止められない。
止めてしまえば快楽が逃げ場をなくし、きっと自分は狂ってしまう。

騎士として高潔でなければいけないと自分を律し続けていたが、元来性欲は強い方。
拘束されているため、刺激出来ずにいるペニスをがむしゃらに擦り上げて射精したい欲求は時間事に強くなっていた。

「随分気持ち良さそうだな、騎士殿」

いつの間に入ってきていたのか、すぐ傍で男の声がする。
それは騎士が待ち望んだ人物の声であり、そして同時に諸悪の根源の声であった。

「トロトロに蕩けた顔をして、尻に咥えた張り方がそんなに気持ちよかったのかな?」

「んふぅっ! んん゛ぅ!」

男は騎士の硬くそそり立ったペニスを指先でピンと弾くと、鋭い犬歯をむき出しにして楽しそうに笑う。

その行動の全てに悪意は無く、ただひたすらに好意からなのは騎士もわかっていた。
だが方法が悪すぎるし、肉体を極限まで鍛え上げられた自分でも辛いほど。

ブンブンと首を振り眉をハの字にした騎士に男は不思議そうに首をかしげた。

「こんなに気持ち良さそうなのに嫌なのか? 難しいな、人間は」

顎に手を当てて男は首を捻る。
まるで自分は人間ではないような口ぶりだが、それも彼の姿を見れば納得するだろう。

騎士に触れる男の手は表面を鱗に覆われており、頭からは立派な角が生えている。
顔立ちこそ人間と変わらないように見えるが、瞳は光の加減によって妖しく色彩を変えた。

「っぷ、は、ぁ、あぁ……っ!」

鱗で覆われた手を器用に動かして騎士の口を塞いでいた猿ぐつわを取り除き、手の平で口の端から垂れた涎を拭うと濡れた箇所をベロリと舐めて男は笑む。

「いやらしい味がする」

欲を誘う紅い舌がチロチロと蠢き、騎士はゾクリと身体を震わせる。
自身のペニスを舐めあげられたかのように感じてしまい、騎士はもじもじと太ももを擦り合わせた。

「もう達してしまいそうに腫れているな」

「ひぎぃ、いっ!」

ザラリとした肌触りの手で玉を掬い上げられ、限界まで張り詰めた玉を指で転がされる。
急所を掴まれるほんの少しの恐怖と、とてつもない快楽にめまいがした。

「あっ、く…ぅんっ!」

男の指が騎士のペニスの裏筋をスッと撫でる。
直に触られたペニスはガチガチに硬いのが自分にも伝わり、上下にブルンと揺れるたびに腰に甘い痺れが走った。

鈴口からトロリと垂れた先走りは粘度が高く、まるで蜂蜜のように先端でわだかまる。
男はそれを楽しそうに指先で弄ぶと、口元ににやりと意地悪い笑みを浮かべた。

「いい声で鳴いてくれ、騎士殿」

「やっ、だ、やめ……っ!」

次に来る衝撃に身体が逃げようとするけれど、快楽でグズグズに蕩けた身体は思うとおりに動かない。
騎士の抵抗を知ってか知らずか、男はペニスの先端を割るように指を突き立てた。

「〜〜……っ、ぃ、あっあぁああああっ!」

的確に表現するならほとばしるだろうか、騎士のペニスからまるでお漏らししたかのような水音を立てて精液が飛んだ。
男の指に分断された精液はまっすぐ出ずに左右に分かれて床を汚す。

「ひぐ、ぃ、あ、ぁあ……」

ガクガクと身体は快楽に揺れ、視線を空に彷徨わせた騎士はだらしなく四肢を放りだしたまま快楽に身をゆだねる。

「ああ、いい声だ」

紅潮し惚けた表情の騎士を覗き込み、男は満足そうに笑いながら、騎士のペニスを撫で指に絡まる精液を美味しそうにしゃぶった。
白く濡れた指に紅い舌が絡み、騎士はそのいやらしさにゾクリと身を揺らす。

それはあまりにも官能的な光景で強い快楽と満足感を得たはずなのに、騎士は下肢に熱が戻ってくるのを感じた。



「気持ちいいのに不満なのか?」

「当たり前だ!」

拘束されて未だに痺れが取れない腕をさすりながら、騎士は男に向かって怒鳴った。
先ほどまで淫らな熱に蕩けていた顔とは比べ物にならないほど凛々しく高潔な表情が、今は怒りに歪んでいる。

「人というのは難しいものだな」

深くため息をつきながら顎をさする男に、騎士は鋭い視線をキッと向けた。

「難しくない! 別に特別気持ちよくしろとか、いやらしいことをして欲しいとはいっていないじゃないか! ……た、ただ、恋人、らしいことがしたい、と」

「??? だから恋人に至上の快楽を」

「だから、違うっ!!!」


誰もが彼の無事を祈り、その帰還を願う。
それはすべて無駄に終わるのだけれども、彼の幸せを願うのならどうか許し祝福して欲しい。

人ならざるモノと生きる事を選んでしまった騎士の行く末を。


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