◆短編
獣人ペット4※R18
「あう、はぅう…ん」
勃起したペニスを見られるのは恥ずかしくて隠したいけれど、押さえつけるために触れれば感じてしまう。
そんなジレンマでもじもじと腰を揺らす牛は愛らしく、ちらちらとこちらを見ながら困ったような表情をするさまもたまらない。
なによりそのいやらしさに私自身が酷く高ぶってしまっていた。
「おいで」
「え、でも、俺……」
私に犯されるのかもしれないと考えたのか、牛は小刻みに震えて目に涙を浮かべた。
なにもしないと安心させるために言葉を続ける。
「大丈夫、酷いことはしない。ミルクが出ているという事は今はカプセルで精液を入れなくても搾れるんだろう? なら搾るだけしかしないよ」
「本当に?」
「ああ、誓って」
信じる神のいない私にとってそれが、何に対する誓いなのかわからない。
だが目の前の牛を裏切る事だけはしたくなかった。
***
おずおずと近づいてきた牛が柵の隙間からペニスを差し出すと、幹が木製の柵にこすれざりざりと音を立てる。
「ヒギッ!」
悲鳴と共に先端からピュクンと甘いミルクが飛び出し、牛は頬をカァッと赤く染めた。
ピュア牛でもそうだったのだが、普通の牛は勃起することもミルクを搾られる事に恥じらいを感じてはいない。
だがこの牛はその1つ1つをまるで生娘のように恥らってくれる。
「恥ずかしいかい?」
「ひゃい…っ!」
こすれて赤くなった箇所を撫でてやると、ビクンビクンとペニスが揺れた。
ほんの少しの刺激なのにとろとろに蕩けた表情をして返事をする。
舌っ足らずな口調なのがまた可愛らしい。
時間も焦らすつもりもないので牛のペニスを軽く握ると、根元から先端に向かってしごき上げる。
「きゃひぃっ! ひぁっ、あっ、ンああ…っ!」
指を動かすたびに先端からトロトロとミルクをたらし、抑え切れない喘ぎをあげた牛は可愛く鳴いた。
強い快楽で不安なのか、牛は柵越しに私の左腕にすがりついた。
扱きあげているのは右手なので邪魔にはならないけれど、震える指の感触に不思議な感覚を覚える。
それは充足感というべきか、庇護欲というべきか、それとも素直に欲情しているというべきか。
表現はともかく牛のすべてに私の感情が根こそぎ奪われていくのを感じた。
身体は成長しきっており、牛なので体格も大きく可愛いとは言いづらい。
年齢も私よりは若いものの、決して若年と呼べる年代ではない。
しかもさまざまな問題があって引退させるかどうか悩んでいる牛としての機能が怪しい個体だ。
それなのに……。
「ねえ」
「あ、ぃ?」
「君さえ良ければ家に来ないかい?」
この牛が欲しくてしょうがない。
「ふ?」
言葉の意味がわからなかったらしい牛は不思議そうに首をかしげて、涙目でこちらを見つめる。
可哀相で可愛くて、いとおしくて、ああ、そうか、気に入ってしまったんだ。
思わずペニスをしごく手に力が入り、牛の亀頭を爪でつついてしまう。
敏感なそこは指の刺激に耐え切れられなかったらしく、太ももをビクビクと痙攣させると、甲高い嬌声を上げてミルクを吹き上げた。
「んっ、んぁああああああっ!」
ペニスから飛び出たミルクが私の指を白く染める。
普通の牛から比べたらミルクの量は少ないのかもしれないが、人間の射精に比べたら大量すぎる量のミルクを吐き出して牛は気持ち良さそうにカクカクと腰を震わせた。
床に零れたミルクの匂いが辺りにふわんと漂い、その芳醇な香りに誘われるようにミルクのついた指を口に含んだ。
危惧していた嫌悪感は全くなく、柔らかな甘さが舌に心地いい。
「美味しい」
正直な感想を口にすると牛は萎えて小さくなったペニスを隠しながら、小さくこくんと頷いて照れくさそうに頬を染めた。
どうしよう、すごく可愛い。
「家に来ないか? 生活に苦労はさせないし、望むことならなるべく叶えてあげるよう努力する」
「え、あの……」
ようやく意味を理解したらしい牛は困ったように表情を崩して眉を下げた。
「でも俺、この牧場から離れたくない、よ」
「わかってる。だけど今のままじゃいつか政府に連れて行かれてしまうのも理解しているだろう?」
牛は顔をくしゃりと歪めて小さく頷いた。
牧場という狭い空間でも、引退した牛の行く末を聞いたことがあったのだろう。
むしろ狭い空間だからこそ、広まったというべきか。
「君がこの牧場をとても大事に思っているのはわかっている。だからこそ家に来て欲しい」
「どういう、事?」
「家でペットとして飼えば牧場が君を維持するお金を気にする必要はなくなる。牛一頭の負担はなかなかに大きいからね」
「……っ!」
「それに家に来ればいつでも牧場主に会いに来れる。毎日は無理かもしれないけれど、君が望めば時間を取ろう」
「え」
私の酷い言葉に涙目になっていた牛の表情が驚きに変わる。
パチパチと瞬きするしぐさはとても可愛く、一瞬で私の目を奪った。
「家にいる限りは政府に連れて行かれる心配は無いよ。年をとっても引退しても、ペットとして飼われている獣人の権利は飼い主の物だからね」
牛の頭をやさしく撫でてあげると、ようやく考えが追いついたのかハッとして恥ずかしそうに身を捩り私の手から逃げ出す。
柔らかな髪の毛の感触を味わって居たかったのだけれども。
……うぅむ、残念。
「俺、出来損ないだよ?」
視線をきょろきょろと動かしながら、牛が足をもじもじと動かして落ち着かない様子を見せる。
だけど嫌がってはいないようだ。
りんごの話をしていた時のように、尻尾がくるくると軽快に動いている。
「出来損ないなんかじゃない。君はとても素直で可愛らしいし、それに……」
「それに?」
「ミルクはとても、美味しかった」
耳元でやさしくささやくと、過剰なほど牛は身体を跳ねさせて全身を桃色に染めた。
ああやはり、可愛らしい。
「で、でも、でもっ!」
なお自分の悪い点を見つけようとする牛の唇を指でふさぎ、ニッコリと笑う。
「わかった、じゃあ毎日の食事に美味しいりんごをつけよう」
「!!!」
牛の尻尾がピーンと伸びたかと思うと、八の字を描いて最高潮に嬉しそうな様相を見せた。
押さえた唇の端からはタラタラとよだれが垂れている。
「り、りんご……」
(本当に好きなんだなぁ)
目をきらきらと輝かせた牛は、いまだ理性と本能の狭間で葛藤している。
だが私は心配などしていなかった。
彼は唇に触れても怯えないくらい、私に心を許してくれたのだから。
(ああ、早く毎朝彼のミルクが飲みたい)
ほのかな甘みでやさしい口当たりのミルクを思い出し、私は浅ましく喉を鳴らした。
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