◆短編
正義のミカタ4※R18
「……、ん?」
生きている。
何故?
目の前にはこちらをジッと見ているレッドの姿。
いまだ危機からは脱していない事に気付いたジェレミーは、小刻みに震えながらも状況を把握しようと声を振り絞る。
「レ、レッド?」
「俺は好きな人としかしたくない」
「へ? あ、ああ、確かにさっきそう言っていたな」
「つまりお前が俺の好きな人なんだよな?」
「え?」
よくわからないとんでも理論である。
そこはイコールにならない筈だ。
「違うのか? それならお前は敵なのか?」
レッドの指がジェレミーの左胸を撫でる。
胸越しに心臓がギュッと握りつぶされるようなプレッシャーにジェレミーは引き攣った笑みを浮かべた。
「いや、違わない! 好きな人でいいんだ!」
「そっか、そうだよな! じゃあ恋人だな!」
「え、それは」
「恋人だよな?」
レッドが破壊した拘束具をバキバキと音を立てて握り潰す。
もはや告白や愛の確認ですらなく、脅しである。
が、
「恋人、そう、恋人同士だ!」
ジェレミーに逆らう事など許されるはずも無い。
なにせ命がかかっているのだから。
コクコクと激しく頷くジェレミーにレッドは満足げに微笑んだ。
「ドクターJ」
「なんだ、今私は忙しい」
「あの、レッドがまた来てるんですけど」
「……帰ってもらえ」
「あの、そこに居るんですけど」
「んなっ!」
「来ちゃった☆」
部下の言葉におざなりに返事をしつつ試験薬に向かい合っていたジェレミーの背中にレッドが抱きつく。
満面の笑みを浮かべたレッドは幸せそうにジェレミーの背中に頬を擦り付けた。
「き、来ちゃったではない! 敵の本拠地だぞ、ここは!」
「でもそれ以前に俺の恋人の家だから問題ないだろ」
「問題大有りだ!」
「あ、案内ご苦労様、ありがとう。引き続き仕事頑張って」
「はい、レッドもごゆっくり。ドクターJは根をつめすぎるタイプなんで、レッドが来てくれると休憩してくれて安心です。末永く仲良くしていて下さい」
「へへへー、ラブラブだもんねー!」
いつの間にか部下にもジェレミーとレッドが恋仲だという情報が伝わっているらしく、ジェレミーは非常に居心地が悪そうだ。
眉を顰めて口をへの字に曲げた。
「いつの間に戦闘員と仲良くなっているんだ……」
「ヤキモチ?」
「……違う」
顔を覗きこんだレッドからプイと顔を背けたジェレミーは、言葉短くレッドを拒絶しようとする。
だがレッドは全く気にした様子は無く、そんなジェレミーの様子を嬉しそうに眺めた。
「俺が好きなのはジェレミーだけだよ」
「別にそんな事は聞いてない」
「嘘つきだなぁ、好きって言われるの好きなくせに」
「別に好きではない」
「うそつきー」
不機嫌そうなジェレミーの頬をレッドがツンツンとつつくが、あいも変わらずジェレミーはそっぽを向いたままレッドに視線を合わせようとすらしない。
「俺が来たの迷惑だったか?」
「当たり前だ、私と君は敵だぞ」
バッサリと切り捨てるジェレミーの言葉にレッドは瞳を伏せた。
確かにレッドはいまだに地球防衛の為に組織された戦隊のレッドだし、ジェレミーは敵対組織の幹部だ。
敵同士なのは間違いない。
「……だって」
レッドがギュッと握った服の端を握って震える声でジェレミーに話しかけ、そして……
「昨日中出しされた精液が気持ちよ過ぎておかしくなっちゃいそうなんだ……」
レッドの手がゆっくりと服をめくりあげるとプクリと勃ちあがった乳首は肥大して卑猥に胸を飾り、服を捲くった事で露わになった下肢は膨らんでいるのが見て取れた。
ようやくレッドの方を見たジェレミーは無言のまま、布地を押し上げるレッドのペニスを撫でる。
ビクビクと震えたレッドの身体は明らかに快楽を感じているようだ。
「ふぁ…っ、ああ…、あん」
「淫乱」
ジェレミーはレッドのズボンを下ろし下着の隙間から指を入れてペニスを刺激する。
すでに硬く張り詰め蜜を零していた所為で、ジェレミーの指はしとどに濡れた。
「違、う」
「こんなに淫らに感じているのに? どうせ中出しされた精液をプラグで固定したままここまで来たんだろう?」
指をついと伸ばして尻穴に嵌ったプラグをコツコツと叩くとか細い悲鳴がレッドの口から零れる。
明らかにその声は快楽を感じていた。
「……ん、だってジェレミーの精液零すの勿体無いから」
「淫乱じゃないか」
「違う。だってジェレミーの事好きだから、恋人同士だから問題ないだろ」
もしかしてレッドはあの時壊れてしまったのではないかとジェレミーは思う。
精神的に受け入れ難い現実から目を逸らすため、好きだと思いこむ事にしたのではないか?
本当は好きでもなんでもないのに……。
真偽の程はわからない。
「プラグを抜いて中の精液をひり出せ」
命令口調で言ったジェレミーの言葉にレッドは嬉しそうに頷くと、長い脚からズボンを抜き取って排泄ポーズでジェレミーに背を向けた。
尻穴にくわえ込んだ極太のプラグが露わになるのに羞恥はないらしく、むしろジェレミーに見てもらえた事が嬉しくてたまらないといった表情で笑う。
「ジェレミー」
肩越しにレッドが振り向く。
「なにか?」
「……出したら一杯注いで、な?」
レッドが嗤う。
それは健康的な笑みではなく、どこか暗さを含んだ歪んだ笑みだったけれど、ゾクリとする程美しかった。
「レッド」
「ん? んぷっ!」
呼ばれて振り返ったレッドの口にジェレミーの巨大なペニスが押し付けられる。
いつから勃起していたのか蒸れた雄の匂いを纏ったそれは、血管を浮かせてとてもグロテスクだ。
初めこそ戸惑ったものの、直ぐにレッドはそれをペロペロと子猫のように舐めた。
「しゃぶりながら、しろ」
「うんっ!」
コクリと頷きパクリとジェレミーのペニスをしゃぶるレッドはとても幸せそうで、そんなレッドの髪の毛をクシャリと撫でたジェレミーは熱い吐息を吐き出した。
自分に全力の愛情を向けてくるレッドは本物ではないのかもしれない。
だがそんな事は些細な問題だと思える程、ジェレミーはレッドに惹かれ始めている自分を感じていた。
もし正気に戻ったレッドが自分を拒むのなら、
(早く惚れ薬完成させよう……)
外道な手段でも何でも使ってやろう。
悪の組織だ、何の問題もない。
「ん…っ」
すでにレッドを手放せなくなっている自分が居る事をジェレミーは知らないフリをする。
そしてそれを恋とか愛とか呼ぶ事にはまだ気付いていなかった。
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