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◆短編
猿犬の仲3※R18
「い……、っつぅ、何で」

「こんな恥ずかしい事をさせておいて途中で止めたらもう絶対しないからな!」

「でも、ワンちゃん」

「この程度で軽々しく止められる位なら初めから抱きたいなんて言うな……!」

嫌悪や恐怖が強い行為にワンちゃんの身体はガタガタと震えているのに、そんな感情を押し込めて俺の為に怒ってくれる。
俺が伸ばしかけたけれど引っ込めようとしてしまった手をワンちゃんは見逃さず自分から手を差し伸べてくれた。

「ひ、う゛ぁああ……」

「ゴメン、ゴメンね? もう止まれない」

ローションを塗した指をアナルに沈める。
徐々に体内に埋まる指を柔らかい内壁は生理的な動きで締め付けた。

全体にローションを塗りこめるようにゆっくり指を動かすと、その度にワンちゃんの身体がピクンとと揺れる。
は、はっ、と短く荒い息を吐きながらも俺の指を必死に受け入れようとしてくれているのか、息を吐く度に襞がヒクヒクと戦慄いていた。

1本、また1本と段階を経てアナルに埋まる指を増やしていく。
ワンちゃんは指を増やす度に苦しそうな嗚咽を漏らすけれど、決してやめてくれとは言わなかった。

スムーズとはいい難いが3本の指が何とか入り、軽く動かす位は出来るようになったので、ワンちゃんの体内から指を抜きさると、自身のズボンに手をかける。
ワンちゃんの痴態に張り詰めたペニスはガチガチに硬くなっていて、今まで生きてきて1番大きくなっているような気がした。

「う、あ……、それ、挿入れるのか」

「ローションで滑りは良くするけどね」

傍らに置いてあったローションを手にとって手の平に広げる。
ワンちゃんの視線を股間に感じながらたっぷりと塗りたくる状況は、自慰を見られているみたいでちょっと恥ずかしい。
陰毛までローションでベタベタだけど、たっぷり濡らさないとワンちゃんに痛みを与えてしまうかもしれないので、不必要なほど一杯に濡らした。

準備完了とワンちゃんのほうを見れば、モゾモゾと身体を動かして体勢を変えている。

「どうかした?」

「顔見ながらしたい」

「へー、ワンちゃんにしたら珍しく乙女チックな事を言うじゃん?」

「馬鹿言うな、お前のアホ面を拝んでやる為だ」

きっぱりと言い切ったワンちゃんに思わずブハッと笑ってしまった。
うん、……うん!
これでこそワンちゃんって感じ。

「……ったく、こんな状況なのにつれないんだから」

「当たり前だ。そのくらいの楽しみが無いとやってられん」

ワンちゃんはスッと腕を伸ばすと、俺の後頭部を掴み強引に引き寄せキスをした。
全然上手くないたどたどしいキスは、子猫に舐められているみたいでくすぐったいけれど、今までしたなかで1番幸せで甘いキスだ。

「あ……」

主張するようにワンちゃんのアナルをペニスの先端でつつくと、濡れたアナルがニチュニチュといやらしい音を立てた。
その音に恥かしそうに頬を染めたワンちゃんの頬をあやすように撫でる。

間違いなく痛くて、間違いなく辛い。
それをワンちゃんに強いるのは俺で、痛みを与えるのも俺だ。

だけどもう引く気はない。

「難しいと思うけど、息はいて、力を抜いて」

「あ、ああ。は、はー……」

深く、浅くワンちゃんの呼吸の音を聞きながら、俺はグッと腰を進めた。

ズズ……ッ

「んぎっ、い゛、あ゛ああ……っ!」

徐々に身体を侵食する異物にワンちゃんの手が俺の腕に爪を立てる。
手加減の聞かないワンちゃんの手の力は強く爪は肌にギリギリと食い込み、腕に濡れた感触を残した。

「ぃ……だぁ、あ゛、あぁあああああっ!!!」

顔を真っ赤にして泣き叫ぶワンちゃんの悲鳴に、俺の良心がズキズキと痛む。
せめて多少でも痛みがなくなるようにとワンちゃんの萎えてしまったペニスに指を這わせて緩々と扱いた。

「ひっ、あ、ぁ……ぁ、ああ、あ」

嗚咽とも喘ぎともつかない声を聞きながら、ワンちゃんのアナルをゆっくりと犯していく。
グッ、グッと腰を進めると自分の全てがワンちゃんの中に埋まる。
入らないんじゃないかと思っていたのに、人体というのは凄まじい。

「これで全部」

「は、ぁ……、俺の中に、本当に入ってんの?」

「ん、判る?」

「く、ひぅ……ッ!」

軽く腰を揺すると突然甘い声でワンちゃんが鳴き、弾かれるように身体を戦慄かせた。
手で刺激したお陰で少しだけ勃起していただけだったペニスも、今では先端からトロリと先走りを溢れさせている。

「なんだ、今の……?」

「もしかして気持ちいい? ここらへんかな」

「ま、待てっ、動くなぁあぁあああ……っ!!!」

怒鳴り声は徐々に艶を含んだ喘ぎに変わっていく。
先ほどまでとは内壁の動きも変わり、まるで俺のペニスを扱きあげるように甘く蠢いた。

「ワンちゃんの中、すっげぇ気持ちいい」

「んぁ、あっ、あっ、あっ、アァ……!」

招き入れるように蠕動する腸壁を擦り上げながら、腰のの動きを大胆にする。
先ほどまでは痛みで引き攣っていたワンちゃんの表情も今では大分和らいで、痛みだけではない感覚を感じているようだ。

「も、ゃあ、おかひくな…るッ!」

首を嫌々するように振って、ワンちゃんが俺にしがみついた。
駄々をこねる子供のような仕草が可愛くて、ギュッと抱きしめて上げると俺の胸に顔を擦り付ける。

「俺もイきそう、ワンちゃんも一緒にイって?」

内容なんか聞こえていないだろうにコクコクと頷くワンちゃんに苦笑しながら俺は最奥を貫いた。

「あ゛ぁあああああああああ……っ!!!」

背中に突き刺さる爪の痛みと、ペニスを締め付ける襞の強さに、目の奥が白く弾ける。
ビクビクと全身を痙攣させながら絶頂するワンちゃんに引きずられるようにして俺も最奥へ性を解放した。

「ぁ、あ……、…ぁ」

内壁を白く染め上げようとしているかのように大量の精液がワンちゃんの体内に吐き出されるたび、小さな嗚咽がワンちゃんの口から漏れ出る。
まだ全てを出し切っていないらしいワンちゃんのペニスを優しく擦り上げると、ピュクンと先端から精液が飛び出して紅潮した肌を白く染めた。

疲れてグッタリしているワンちゃんの頬を撫でると、無意識なのか甘えているのかスリスリと手の平に顔を摺り寄せてくる。
トロリとした瞳で荒い呼吸を繰り返すワンちゃんの唇に、ちゅ、ちゅと音を立てて触れるだけのキスをした。

「好きだよ、ワンちゃん」

「俺も、すき……、靖男」

「えっ」

今、呼んだ?
馬鹿ザルでもなければ阿呆ザルでもない名前で俺の事を呼んだ?
もしかしなくても初めて名前で呼ばれた気がする。

「わ、ワンちゃんもう1回呼んで?」

「…………、すぅ」

「寝てる?! ちょ、お願いします、もう1回ぃいいい!!!」

疲れて眠ってしまったワンちゃんの胸に縋りつくけれど、規則正しい呼吸で眠りに付いたワンちゃんは目を覚ましてはくれなかった。


・・
・・・

「セックスってホラーだな」

俺の肌に爪を立ててしまった所為で血に染まった手を見て、ワンちゃんは悲鳴をあげた。
実際は俺の背中の方がホラーなのだが、ワンちゃんが眠っている間に痛みに泣きながら水で流して、体裁を繕っておいて正解だったようだ。

「身体大丈夫?」

「まだ疼くみたいに痛いし、尻に何か挟まってる気がして気持ち悪い」

石鹸で何度も手を洗いながらワンちゃんがいう言葉は割とエロイ。
名前呼びでテンションの上がった俺には、その言葉だけで再び勃起できる自信があった。

「ワンちゃん、次はいつする」

「爆ぜろ!」

「何で?!」

「こっちはまだ尻がズキズキするって言っただろう! しばらくはしないからな」

「えっ!?」

折角結ばれたというのにまさかの展開。
そんな馬鹿な、ありえない。

「じょ、冗談?!」

「黙れ、『おあずけ』」

「やだ、『ちんちん』」

「擦り付けてくるな、この馬鹿ザル!」

相変わらずキレのいい右ストレートは、今度こそ見事に俺の顔面にヒットして目の奥で火花が飛ぶ。

恋人だけど、喧嘩ばっかり。
顔を合わせれば、殴りあい、罵りあい。
多分俗にいう犬猿の仲。

……ん? 俺が挿入れる方だから猿犬の仲?

きっと犬猿の仲だと仲が悪い分、猿犬の仲だと逆ですっごい仲良くいられるんだと思う。

「この……、やんのかゴルァ!」

「上等だ、かかって来い!」


やっぱり喧嘩もするんだけどネ。


END



この作品は天敵企画、参加作品になります。

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