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◆短編
文花さんの事※R18
俺の恋人は文花さんという。
『ふみか』ではなく『ぶんか』と読む。
本人は女性みたいであまり好きではないらしいが、俺はとても綺麗な名前だと思っている。

文花さんは頭が悪い。
勉強が出来ないのもあるけれど、あまり常識も無い。
そもそもの出会いがカツアゲ。
情けないけど俺が文花さんにカツアゲされた。
その時何故か気に入られて、現在に至るのだから運命というのは不思議である。

文花さんは不器用だ。
料理を作ると原材料が食べられる物だったのか疑いたくなる程、とてつもなく不味い物が出来上がる。
味覚は正常なので口に含んだ瞬間、泣きそうな顔をしているのは可愛い。

文花さんは強い。
特に大柄という訳でもないのだけれど、その身体から繰り出される攻撃は重い、……らしい。
俺は食らった事が無いのでわからないけど、文花さんの不良仲間からはそう聞いた。

あんまり喧嘩とかして欲しくないけれど、強く止めるつもりはない。
顔に傷を作りながらも、勝ったと笑う文花さんが好きだから。

文花さんは可愛い。
本人に言ったら怒るけど、猫のようなつり目が可愛い。
眠くなるとムニムニと動く唇が可愛い。

俺に甘えたい時に素直に言えなくて、わざと絡んでくるのが可愛い。
甘い物が好きなのを隠していて、普通なんていいながら凄く嬉しそうにしているのが可愛い。

「文花さん、唇にクリームついてるよ」

「ん? どこ?」

「ここ」

親指の腹で口の端についたクリームを拭うと、文花さんは擽ったそうに眉をゆがめて身を捩めた。
指についたクリームを舐めると、舌に突き刺さるように甘い。

「おい、こら、俺のクリーム!」

「あ、ゴメン。変わりに俺の食べる?」

俺の食べていたのはあんまり甘くない奴だけど、評判の店のケーキは美味しい。
だけど文花さんは不満そうに頬を膨らませ、ムッとした表情のまま俺の胸元を掴んだ。

「駄目だ、返せ」

そういうと強引に俺の身体を引き寄せて、唇を噛みつくみたいに重ねた。
グニグニと乱暴な仕草で押し入ってくる舌は拙くて、必死なのが本当に可愛い。

「…ん、……ん、む」

鼻で息をするのが苦手な文花さんは苦しそうながら、キスを止める気は無いようだ。
チロチロと歯列をなぞる舌の感触を目を瞑って味わう。

「……ぷ、はっ、ぁ……」

「返せた?」

「……足りねぇ」

桃色に頬を染めた文花さんは、少しだけ怒った表情で俺の膝に腰を下ろし身を寄せる。
これで本人は誘っているつもりなのだから、本当にこの不器用さがたまらない。

シャツの隙間から手をいれると、指の冷たさに文花さんの身体がピクンと震える。
文花さんの体温が高いのもあって、俺の指がより冷たく感じるようなのだが、その反応は敏感そのもの。

胸の突起を押しつぶすように捏ね、指先で軽く摘んで引っ張る。

「ふぁ……っ」

「痛い?」

「大丈夫に、決まってる、だろ」

文花さんは痛みに強い。
だけど快楽には弱い。
少し触っただけなのにもう身体はトロトロ。

指先で乳首をコロコロと転がしながら、首筋に舌を這わせる。
甘い匂いのする文花さんの肌は少し汗ばんでしょっぱい、文花さんの味。

「なあ、こっちも……」

「うん」

すでに半勃ちのペニスをズボンから出すと、仮性包茎のペニスがプルンと出てくる。
完勃ちになるとちゃんと剥けるけど、半勃ちだとペニスが隠れてるのが可愛い。

「んあ、あ、ぁ、あぁ……」

指で輪を作って上下に擦ると、しゅ、しゅ、と乾いた音に次第に濡れた音が混じり始める。
鈴口からトロトロと零れ落ちる蜜は文花さんが感じてくれてる証で、強い性臭は欲情している証拠。

俺の膝の上で身体中を弄られて身もだえする文花さん。
不良で強くてわがままで俺様な文花さんが、俺の手で可愛く喘いでいるのは凄く興奮する。

「んっ、んんっ、んぁああっ!」

上下にペニスを扱きながら、皮を下ろして敏感な亀頭を露出させると、赤いプラムみたいな先端が露わになった。
甘い味がしそうなそれを齧ってみたいと思う欲を押し込めて、敏感な穴を指先でグリグリと刺激する。

「ひゃ、ぃいっ!」

濃い先走りが先端からピュッと飛び、文花さんの腰が跳ねる。
突っ張った足がビクビクと痙攣して、絶頂を耐えるみたいに指先がキュッと丸くなった。

「あ゛、あぁ、いく、イクぅ……ッ!」

射精を求めて俺に縋る文花さんにとどめで鈴口を指で抉る。

「き、ひっ、…いぃ、んんっ!!!」

膨らんだ亀頭から放物線を描いて精液が飛び、文花さんが絶頂を迎えた。
イキ続けているペニスをごしごし擦りあげながら玉を揉むと、残滓がペニスの先からピュクリと飛び出て床を汚す。

「あ゛ーッ、あ、ア゛、ぁああぁあっ!!!」

口の端からヨダレを垂らしながら、だらしない絶頂顔を晒す文花さんも好き。
俺しか見れない顔、可愛い。

「ひ…、ん、……ぁ」

ビクンビクンと全身を絶頂で痙攣させた文花さんの身体を優しく愛撫しながらキスをする。
意識が半分飛びかけた顔をしているのに、俺の舌に一生懸命舌を絡めようとしてるのが愛らしい。

「な、もっと……、後ろ、して」

「うん」

ちゅ、ちゅっ、と頬にキスをしながら傍の棚を探る。
確かここにゴムがあった筈……。

「……つけなくてもいいじゃん」

「良くないデショ?」

男同士でも病気の可能性はあるし、何より傷付けないという面でも必要な物だ。
相手を思うからこそのセーフセックス。

「嫌、なのかよ」

「そうじゃなくて……」

「お、俺との間のガキが出来たら……嫌か?」



・・
・・・

改めて言うが、文花さんは頭が悪い。

頬を真っ赤に染めてそんなにもかわいい事言うから、魂が飛びかけた。

俺の心も身体も人生すら捧げても後悔しないけれど、子供はきっと出来ないと思う。

(……猫の子供で誤魔化せないだろうか?)

誤魔化されてくれたら彼が手に入るのだとしたら、ぜひとも付け入りたい。

「じゃあ、生でしましょうか」

「! お、おうっ!」

ああ、ゴメン。
大好き。


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あきゅろす。
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