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◆短編
疼く熱、熟れた息6※R18
その後、お互いの性器を擦り合わせたり、鬼に肉茎をしゃぶられたりして、俺は幾度となくはしたなく達してしまう。
俺も鬼のモノを口ですると言ったのだが、鬼はそれを固辞した。

どうやら鬼から見ると、酷い事を強要しているように見えるようで、気持ちよさよりも申し訳なさで感じるどころではないらしい。

硬い肉茎を尻穴に押し当てて、手の平で擦り上げる音は何かの儀式のように厳かで、快楽で跳ね上がっていた俺の鼓動に重なる。
腕を伸ばし硬く張り詰めた欲望に触れると、熱いそれはビクリと跳ねた。

「あっ……」

「……っ!」

その刺激が引き金となったのか、体内に注ぎ込まれる熱い液体に背中が震え、つま先で布団を摘む。
本来そこにあるのが当然といわんばかりに腹に馴染んだ精液は、ジワリと広がり際奥まで広がった。

「ぁ……ああ…、ぁ」

受け入れる性ではない筈なのに、受け入れた俺の身体に嫌悪も疑問も浮かばない。
あるのはただ、強固になった繋がりに悦び打ち震える、俺だけだった。



「なんか、あまり変わった感じがしないな」

下腹に手を這わせて確認するように数度撫でる。
腹に注がれた精液の感触はあるものの、覚悟していた常に発情している状態にはならず、逆にビックリしてしまう。

「常に敏感になっている訳ではないからな。ただ俺の感情に左右される」

「どうなるんだ?」

尋ねた俺に鬼は、複雑そうな顔をして顎を撫でる。
何か妙な質問をしただろうかと首を傾げた俺の身体を、以前とは比べ物にならない程、強い快楽が全身を貫いた。
震える足で立っていられず、倒れかけた身体を鬼の腕が支えてくれる。

「あ……、ぇ? ひっ……ぅっ!」

「判るか?」

身体を支配する強い快楽にコクコクと頷く。
触れられたわけでも無いのに、全身の気持ちいい場所を一気に撫で上げられたような、そんな凶暴な快楽。

「俺が強くお前を求めたり服従させたいと思えば、その身体は今のように快楽に支配される」

「お、思った以上に凄いな、これ」

「これでお前は逃げられない」

こちらを見下ろす鬼の目は暗く、俺の身体を支える腕を身体に回しギュッと抱く。
逃がさないと宣言するような行為に思わず俺は、

笑った。

「……ふ、はは、ははははっ!」

「何故笑う?」

「悪者ぶってる癖に腕が震えてるし、全然力も入って無いじゃないか」

「う……」

偽悪的な事を言いながら、彼は悪になりきれない。
俺なんかよりもよっぽど善人だ。

「本当に捕まえて置きたいのなら首に鎖でもつければいい」

「出来ないと判っていて言っているだろう?」

「ああ、お前はしないだろうな」

本当に鎖で繋ぎたいのは俺の方だ。
鬼が誰か別にいい人を見つけてしまったら、疼く身体を持て余し、俺はどうなってしまうのだろう?

俺だけを見て
俺だけの事を考えて
俺だけしか感じなくなればいい

でも俺は知っている。

「そんな事しなくても傍にいる」

鬼に、そして自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
大きな手に指を絡め、その手の平を俺の頬に当ててすりつく。
働き者の荒れた手がざらざらするのが心地いい、俺の大好きな鬼の手。

しばらくして、鬼は苦笑交じりに深いため息をついた。
関心と安堵を含む笑いは嫌な感じを受けず、表情は柔和だ。

「なんだか負けている気がするな」

「ああ、俺はお前の事を信じているからな」

「そうか? 鬼だぞ、俺は」

鋭く光る牙を見せて軽く威嚇してみせる鬼だが、全く怖くない。
その牙が、鋭い爪が、俺を傷付けない事を知っている。

「もしお前が悪い鬼ならば、俺が落ちてきた時に助けないで食ってしまっているさ」

「……そうか」

俺の言葉に鬼はそれは嬉しそうに笑った。
その笑顔は見ているこちらが幸せになるほど、柔らかく優しい。

「そろそろ夕飯の支度をするか。……時間的には夜食だな、こりゃ」

「あ、俺も手伝……、」

台所に向かう鬼を手伝おうと踏み出した足に力が入らず、ヘナヘナと床にへたり込む。
身体が自分の物では無いようにまったく自由に動かない。

「あー、その、なんだ。無理をさせてしまったから……、な?」

休んでいろと暗に進める鬼に、赤面しつつも頷く。
あやすように撫でられ赤く染まった頬に、鬼の唇がふれた。

「!!!」

「い、いってくる!」

バタバタと慌てた足取りで台所に走り去る鬼の頬は俺以上に赤く、自分から仕掛けた癖に照れているらしい。
部屋に残された俺は唇が触れた場所を指でなぞり、溢れるほどの幸せを噛み締めていた。


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