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◆短編
疼く熱、熟れた息5※R18
「んぁああ……っ」

太い指が這うような速度で体内を抉り、繊細な仕草でかき乱す。
何処を触られても甲高い嬌声を上げる俺にとって、その動きは気持ちいいけれど、酷く切ない。

「あ゛、あ、ぁああ……」

太い指が内壁を押すようにクンと曲がり、柔らかい指の腹で襞を刺激されると、肉茎からトロリと先走りの蜜が零れた。
自分で触れるのとは段違いの快楽に、身体はもちろん精神すらグズグズに蕩かされてしまう。

「きつくないか?」

中をコリコリとかき乱しながら心配そうに鬼が俺の顔を覗きこんだ。

「だい、じょぶ、んんっ!」

言葉を発した所為なのか、尻穴を犯す指をきつく締め付けてしまい、ビクリと身を震わせた。
俺の後唇は太い指を3本も咥えているのに、切れる所かもっと欲しいと言わんばかりにキュウキュウと指を締め付けてしまう。

「はぁ…っ、あ、」

熱く艶を含んだ吐息を零しながら、鬼の下肢に触れる。
硬く張り詰めた鬼の肉茎は隆々と上を向き、赤黒い凶器に姿を変えていた。

「でかい、な」

「怖いか?」

怖くない訳ではない。
体内に別の者を受け入れるのは恐ろしいし、鬼の肉茎で貫かれたら壊れてしまうのではないかという恐怖もある。
だが、それ以上に鬼が欲しくて、もっと傍に居たくてたまらない。

「怖いと言っても止めてやれん」

「珍しく強引だな」

「俺も急いてる。ずっとお前を自分のモノにしてしまいたい気持ちを押さえつけてきたからな」

顎を掬うように掴まれ上向かされると、ねっとりと舌を吸われピチャピチャといやらしい音を立てて唾液が混ざる。
いつも優しい鬼の強引な面は、求められているのを俺に実感させてくれた。

「んく……っ、ひぅっ」

ツプッと音を立てて後唇から指が抜け、ヒクヒクと戦慄く内壁が外気に晒される。
俺の身体を軽く持ち上げ腰の下に丸めた布を入れると、鬼が正面から真剣な面持ちで俺を見据えた。

「抱くぞ」

欲情した雄の瞳で見つめられて声が出せず、俺はコクリと頷く。
獣脂と香油を混ぜたものを鬼が自身の雄に塗すと、雄々しい肉茎は淫靡に光り、ビクビクと別の生き物のように脈動するそれで、今から身体を貫かれる。

グッと押し当てられる熱く切っ先にビクリと身体を震わせて、期待と恐怖で綯い交ぜな感情を押し殺し、ただ受け入れる為に息を吐いた。

ズッ……――

「ひっ、ぃい゛いいぃいい!!!」

痛い、痛い、痛い!
食いしばった歯の隙間から悲鳴に似た言葉が零れる。

目の奥から生理的な涙がボロボロと零れ、本能的に身体が逃げを打つのを、鬼の腕が強引に引き止めなおも深く穿とうと腰を突き入れた。

「ん゛ぅう゛ううっ!!! あ゛、あ゛ーッ!!!」

愚図る子供のように頭を振りたくり、布団に爪を立て唇を噛んだ。
身体が裂ける痛みに苛まれ、上下すらわからない。

怖くて何かに縋りたくて必死に伸ばした腕を、何かが握り返し、混乱していた思考が少しだけ和らいだ。

俺は、この感触を知っている。

「大丈夫だ。ゆっくり息を吐いて、ゆっくりだぞ」

「ふ……ぅう、う……は、はぁ……」

優しい声音に頷きながら従うと、ズクズクと下肢に走る疼痛は相変わらずだが、次第に気持ちが落ち着いてくる。
こぼれた涙で濡れた頬を鬼の手が拭い、眦に残った涙を吸った。

「っ、あ……、おわった、のか……?」

「いや、残念だがまだだ」

腰の下に引かれた布のお陰で見えた結合部には半分ほど埋まる鬼の肉茎。
背中を冷たい汗が伝った。

(あれだけ痛くてまだ半分?!)

痛みだけではない理由で眩暈がする。
だが今までずっと我慢してくれた鬼の為になら、きっと耐えられるし、数日身体が使い物にならなくなっても面倒を見てくれるだろう。

「や、やってくれ! ここまで来て引くなんて言うな!」

「落ち着け、あまり動くと……」

「うぐっ!」

力を込めた所為できつく締め付けてしまった後唇が、引き攣るような痛みを生んで、俺は喉をヒュッと慣らした。
意識が少しだけ遠のきそうになる。

「どうしても繋がりが欲しくて性急に求めてしまったが、一気に進むのが無理なのはわかってた。だから今はこれ以上はしない」

今は。
それは続きがあるという事だろうか。
都合がいい考えだと思いながらも、それを期待してしまう。

鬼の指が皺1つなく伸びた結合部を一撫ですると、ゆっくりと肉茎を抜き始める。
排泄に似た感触に身体を震わせる俺の肉茎をあやすように擽り、快楽を引き出そうとする鬼の手を握り、首を振った。

「ま、まってくれ、中に……」

精液を出して欲しいとは言えず、言葉が口の中でわだかまる。
俺の全てを彼の物にして欲しいと思うのに、羞恥がそれの邪魔をした。

だがそれも全て分かっているのか鬼は嬉しそうに笑むと、俺の頭を幼子にするように優しく撫でてくれる。

「このまま強引に動かしてもお前は痛いだけだ。一旦抜き取ってから精だけ注ぐ」

「ぁ……、はぃ」

見通されていて恥ずかしい。
頬を染める俺の耳に鬼が小さく囁く。

「お前が痛そうな顔をしていると、かわいそうで俺も達せなそうだ」

甘い言葉に俺の身体はビクリと跳ね、悪戯そうに笑う鬼の頬を摘み、軽く引っ張った。
これ以上甘くされたら俺の身体はトロトロに蕩けてしまいそうだ。


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