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◆短編
疼く熱、熟れた息3※R18
水辺から少し距離を取り、離れた木陰に入る。
後ろを振り返り傍に誰も居ない事を確認してから下肢を晒すと、ブルリと勢い良く飛び出した肉茎はすでに先走りの蜜を零していた。

「……ん、ふぁ」

ピクピクと蠢く肉茎に指を絡め、乱暴に擦り上げる。
痺れるように甘い快楽が腰を蕩けさせ、まともに立っていられず木に背中を預けた。

「っ、ァ、ァア……」

柔らかい木の温度を背中に感じた瞬間、曖昧になりかけていた記憶が揺さぶられ、先ほど感じた鬼の身体の熱が振り返す。
ヒクヒクと揺れる身体に合わせて、垂れる先走りが白濁してくるのだから、鬼に発情しているいやらしい身体だといわざるを得ない。

右の手でヌチヌチと音を立てながら竿を扱き上げ、左の手で軽く玉を揉みほぐす。
硬く張りつめキュッとあがった玉は自身の絶頂が近い証拠で、太腿がピクピクと痙攣していた。

「く……、ひぃ…ん」

声が零れないように服を噛み、肉茎を扱く指の動きを早めていく。
玉を揉んでいた指を滑らせ、会陰を擽り、尻穴に触れた。

自分の零した先走り位しか潤いは無いが、そのままゆっくりと指を尻穴に沈めていく。
硬く閉じていた筈のそこは、触れられた刺激で目を覚ましたように綻び、指を受け入れて甘く疼いた。

早くしないと何かあったのかと鬼に心配させてしまう。
先に入っていた指にもう一本沿え、グッと押し入れる。

「ん゛ぅ……っ!」

思わず漏れた声に身体がビクリと震えるその刺激すら、いまの昂ぶった身体に気持ちいい。
火照った身体を癒すように、ただひらすら己の欲を満たそうと指を蠢かせた。

快楽で熟れた内壁を指の腹で押し、気持ちのいい場所を擦り上げると目の奥で白い光が収縮する。

「〜〜〜っ!!!」

指を濡らしパタタと精液が地面を叩く。
精管を逆撫で鈴口を擽り零れ落ちる精液が腰が砕けそうなくらい気持ちよくて、身体がヒクヒクと戦慄いた。

鼻をつく性臭、
汚れた指先、
浅ましい自分。

達してしまえば思考を支配するのは、鬼に知られたら嫌われてしまいそうな程、獣のように盛る自分への言いようの無い嫌悪。

鬼とは何回も身体をあわせたが、彼は俺の身体を求めようとはしない。
嫌われている訳では無いだろうが、鬼が求めているのは友のような、家族のような、そんな存在なのではないだろうか?

(こんな浅ましい欲望を抱いた自分が、彼の傍にいて許されるのか……?)

離れるべきなのかもしれない。
それでも傍にいたい。

背反する答えの出ない感情がせめぎあい、性欲を絡めて段々おかしくなっていく。
いつか彼を傷付けてしまうのだろうか、こんな感情。

不意にガサリと背後で音がして反射的に俺は振り返る。

「どうした、具合が悪……」

聞きなれた声が不自然に途切れ、その表情が強張った。

「ぁ……」

剥き出しになった下肢、精液に濡れた指、漂う性臭。
どれをとってもいい訳のしようも無く、強張った鬼の表情に、横っ面を殴られたような衝撃が襲う。

「ぅあ、ごめ……、ごめん……っ!」

立ち上がって離れる事すら出来ず、地面を擦るようにして後ずさる。
せめてこんな浅ましい自分を見られたくなくて、嫌悪に歪む鬼の顔を見たくなくて、俺は自身の膝を抱きしめて涙を零すしか出来なかった。

(嫌われた、嫌われた!)

情けなく零れる涙は止まらず、後から後から頬を濡らす。
自業自得だというのに情けない。

しばし静寂の時間が流れ、たまに俺が鼻を啜る音だけが耳をつく。
パキリと枝が折れる音がして、すぐ傍で鬼がしゃがむ気配がした。

「お前の所為じゃない」

大きな手が俺の頭を労わるように優しく撫で、顔を上げた俺の顔を真剣な表情で見つめている。
俺の希望的観測かもしれないが、その表情はいつもより真面目だが嫌悪は感じられなかった。

「お前の所為じゃない、……俺の所為だ」

「え……?」

突然の事に何を言っているのか理解できないが、嘘は感じられない。

「詳しい事は家に帰ってから全部話す。さあ、帰ろう」

鬼はスッと立ち上がると、俺に手を差し伸べた。
震える手の平を鬼の大きな手の平に重ねると、しっかりと握り返してくれる。

その優しい温度に俺の身体は、甘く疼きはじめた。


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あきゅろす。
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