◆短編
その価値は(後編)※R18
車椅子でも入れるように広く間取りを取られた我が家のトイレは、男2人が入っても狭さを感じさせない。
でもそれと恥かしさは別モノだ。
タンクを抱えるように座らされ、キヨに尻を突き出すように座る体勢はかなり恥ずかしい。
何とか自力で動こうとするけれど床に着かない足は空を切り、便座の上でモゾモゾと尻が動く。
「なあこの体勢……」
「抱きあげたままじゃし辛いだろ?」
「せ、せめて外に出て」
「前に言った通りにしたら落ちただろ、駄〜目」
「うぐ……」
確かに以前キヨに見られる事を嫌がって強引に外に出てもらったのだが、バランスを崩して便座から落ちて床で蠢いて居る所を発見されてしまった事があり、まだ排泄中だったのもあって床を汚してしまい、キヨに多大な迷惑をかけてしまった。
「してる所は見えないからいいだろ」
「……他のところは見てるのか」
「まあね、役得!」
「変態……」
「それノリの恋人だよ」
タンクと腹の隙間から伸びたキヨの手が、ゆっくりと絵筆を抜いていく。
少しの間も待てない尿意がペニスを駆け上がり、先からツプリと抜けた瞬間溢れ出た。
ショ、ショロロロ……
「ふぁ……あぁああ」
腹に力が入らなくて始めはショロショロと弱々しくしか出ていなかったおしっこが、次第にジョロジョロと勢いを持って放出させられるのが気持ちよくて思わず息を吐いた。
長く我慢させられた放尿が気持ちよすぎて、頭が真っ白に染まる。
全身を痺れさせる快楽に、だらしなく開いた口からヨダレが垂れ、何かを求めるように舌を蠢かせた。
「……ノリ、イってない?」
「ふ、へ……ぇ」
ふと視線を降ろすと黄色い尿に混じってトロトロと白く濁った精液が零れ……
「っ! み、見るなっ」
「あ、ばれた?」
怒鳴る私など気にせずにキヨが後ろから指を伸ばし、まだ放尿中のペニスに触れる。
手が汚れるのも構わずリズミカルに扱きあげられ、腰がビクリと跳ねた。
「はひっ、や、ぁ……っ!」
「放尿射精とか、ノリエロ過ぎ」
「んんんぅ……っ!」
一際強い絶頂で身体がゆれ、パシャパシャと音を立て精液が飛んだ。
残滓を絞りだすようにキヨの手が動くとまた熱が燻り始めるのを感じて、タンクの冷たさを抱きしめながら昂ぶりそうになる身体を抑えようと息を吐いた。
「は……ぁ、朝から、お前の愛は濃すぎる……」
「おいおい、なに終わったみたいな言い方してるんだよ」
「え?」
「伸びてきたね、こっちの毛」
キヨの指がつぅとアナルを撫でる。
腸液で濡れたそこはちゅぷりと妖しい水音をたてた。
「おま、え……、まさ、か?!」
「綺麗にしようね〜」
愛しい男の笑顔に本気でゾワリと悪寒を感じる。
コイツがこういう顔をしている時に碌なことはない。
ジワジワと伸びる腕から逃れる術はなく、もしその術が合ったとしても機嫌が良さそうなキヨから逃れられる気はしなかった。
「い゛、ぎ……ッ!」
プツン、プツンと音を立て尻の毛が抜かれる。
肌に触れるピンセットの冷たさと対比するように、熱を持った皮膚が鋭い痛みを訴えた。
「あ゛ぁ……、ひ、キヨ、いたひぃ」
「もうちょっと我慢しようねー、綺麗にしとか無いと後処理大変だろう?」
痛みに泣きじゃくる私を子供のようにあやしながら、一歩も引く気が無いらしいキヨは弾んだ声で話す。
「ひぎゃ…っ! ん゛ぅううううっ!」
「あー、いい声」
絶対不必要に痛くしてる。
毛を剃るなら剃刀でそればいいのに、わざわざピンセットで抜くなんて痛みを与えようとしているとしか思えない。
サドサドサド! 絶対サディストだ!
「ぃ……っあ、っ」
細かい襞を伸ばしながら毛を抜いていたキヨの指が、ツプリと内壁を擦った。
敏感な入り口付近で指を回し、内側から押すようにして襞を伸ばされる。
文句を言っても毛の処理をしているだけだと返されるのはわかっているのだれど、かすかに振動を伝える指先は絶対わざとだ。
「あ、あとで覚えてろよ……」
「綺麗にしてやってるのに俺怒られるの?」
ククッと含むような笑いでキヨが笑い一際痛く毛を引き抜かれ、情けなくも私は悲鳴を上げた。
・
・
・
「はい、お終いー」
濡れたタオルでアナルを拭われ、ビクンと身体が震えた。
散々痛めつけられ虐められた身体は、はしたなくもまた欲情しはじめ、ペニスからだらしなく蜜を垂らす。
特に重点的に弄られたアナルはヒクヒクと開閉を繰り返し、晒された外気にすら敏感に反応してしまう。
「ぁ…、……はぁ」
「ノリどうする、今日はどっちでしたい? 挿入たい? 挿入られたい?」
キヨの手で優しく逆を向かされ、顔を覗きこまれる。
どっち、どっちって……、それは。
「………………、両方」
「エッチ」
お互い様だ。
朝からダラダラとセックスしたり、セックスしたり、セックスしたりして、休日が終わる。
風呂を上がり自分で濡れた髪の毛を拭いていると、キヨの手が足の傷痕を撫でた。
醜く引き攣れて、慣れない人が見たら即座に目をそらすような酷い傷痕。
私の面倒を見ているキヨの目には普段から当然入っているだろうし、今更だけどどう思ってるんだろう?
「気持ち悪いか?」
「何が?」
「……傷痕」
不安で少しだけ声のトーンが下がる。
ガラにも無く緊張して、喉を滑る唾液の音さえ大きく聞こえた。
「俺はさ、ノリが自分で歩けなくなったって聞いた時、凄く悲しくて」
「…………」
「それ以上に嬉しかった」
「……はあ?」
「あ、いや、怪我した事とかは嬉しくないんだけどね? ……俺がそばに居てずっと世話をしなきゃ駄目で、ノリのそばにずっと居られるんだと思ったらなんか嬉しくてたまんなかった」
傷跡を嬉しそうに撫で上げながら口付けるキヨに素直に思った事を伝えてみる。
「気持ちわりぃな、オイ」
「あ、あれ? ここ感動する所じゃないの?」
湿ったタオルをキヨに投げつけて、ボスリとベッドの上に寝転がった。
「人が怪我しなかったら一緒に居ないみたいな言い方しやがって……」
「え……、……えっ! なにそれ可愛い。ノリ、もう1回言って?!」
「電気消して」
「もう1回ー!!!」
身体を揺らしながらぎゃあぎゃあ騒ぐキヨの声は五月蝿いけれど、肌に伝わるその温度と底抜けの馬鹿さに私は救われている。
「ノリー!!!」
本ッ当に五月蝿いけどな!
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