◆短編
猛禽のススメ3※R18
今は男性体なのでなくなっている、女性器があった個所を指でなぞる。
つるりとした感触のそこは普段触れる場所ではないからか、ヒクンと身体を揺らしラシャスは敏感な反応を見せた。
「やめ……っ!」
「でもラシャス感じてるでしょう?」
「う゛」
嘘のつけない性格のラシャスは反論できず言葉を詰まらせる。
初めてラシャスの女性器を貫いた時、それは酷いありさまだった。
僕は女性との経験はあったもののそれほど経験豊富な訳ではなかったし、ラシャスに至っては初めてだ。
無理やり身体を開かれる激痛と体内を蹂躙される恐怖におびえ、悲痛な声を上げて泣くラシャスをなんとか慰めながらの性交。
お互いに達する事が出来るような状況ではなかった。
汗と涙と鼻水と涎。
顔をぐしゃぐしゃにして僕の身体にしがみつくラシャスの力は強く、次の日には身体が軋んだのを思い出す。
少しずつ慣らして、少しずつ拓いていくしかなかった。
指1本でも眉を顰め、身体をカタカタと小刻みに震わせる日々が続いた。
それでもこれだけ酷い状況だったのに、ラシャスが嫌だと言った事はない。
ネガティブな言葉を言えば自分の心が折れてしまうのもあっただろうけれど、僕に心配させないようにしていたのではないかと思う。
時間をかけて慣らしていったお陰か、今ではラシャスも多少の快楽を感じるようになったようで、女性器がない時でも触れられれば反応する。
だけどやはりラシャスの本能は雄らしく、女性的な快楽を酷く恥ずかしがる傾向にあった。
「……今はタマゴ出来ないから、そっちは嫌だ」
今まで快楽を享受していたラシャスが身体を跳ね起こすと、僕の腕をグッと掴んで逆らう事を許さない強さで口づける。
まだ慣れないのか乱暴なキスに一瞬ビクリとするが、必死に絡めようと蠢く舌に合わせて僕も舌先をうごめかせた。
普通の鳥と違い、ハーピーの卵は月に1度ほど出来る。
つまり人間の女性の生理周期に近い。
基本的にその時以外でラシャスが女性体になる事はなく、男性としての性を持つラシャスは僕を抱く。
意外に思えるかもしれないけれど、ラシャスのセックスはとても優しい。
強引そうに見えるラシャスが意外なほど繊細な手つきで僕の身体をほぐし、痛みを与えないよう慎重に抱くのは自分が受け入れる痛みを知っているからかもしれない。
はじめこそ痛みばかりだった僕の身体も次第に慣れた。
猟師として森に入っていた僕はよく怪我をしていたし、元来痛みには強かったお陰か、ラシャスよりもなれるのは早かったんだと思う。
受け入れる違和感がない訳ではない。
でもそれ以上の快楽と充実感は他では得難いものだ。
まだ達していないラシャスは屹立したペニスを僕の身体にこすり付け、まるで誘うように腰をうごめかす。
卑猥なしぐさなはずなのに、まるで鳥が踊る求愛のダンスのようだ。
「ん……、くふ、ぁ」
ちゅ、ちゅ、とついばむようなキスに変わり、次をねだるラシャスが急かすように唇を舐めた。
瞳はあからさまな快楽に濡れて、僕を見詰めるラシャスの視線は熱い。
「セルジュ、いいだろ?」
「あう…っ」
ラシャスの指が布越しに爪を立て、くすぐるように後孔を擦った。
先ほどラシャスの身体を愛撫して時にこうなる事を予想していた身体は、ラシャスの指の動きを過敏に感じ取って揺れる。
「ラシャスはわがままだ」
「どっちが。攫われてきた癖に俺相手に主導権を握ろうとするセルジュの方がわがままだろ」
服の隙間からラシャスの指が入り込み、腹をさわさわと撫でた。
僕の身体は細かい傷が多くありお世辞にも綺麗ではないけれど、ラシャスはその傷を厭う事なく、癒そうとするように優しく触れる。
「羽毛……」
「ん?」
「翼の下の方の柔らかい羽毛を取らせてくれたらいいよ」
「またか?」
翼自体が武器であるのと、大空を力強く飛ぶためにハーピーの翼は硬い。
ラシャスの翼も例外ではなく、身体が大きい分ラシャスの翼は他のハーピーよりも硬いぐらいだ。
だけど翼の下の方の羽毛は柔らかく、寒い上空を飛ぶ時に体温調整をするための物なのだろう、ふわふわと手触りがよく保温性が高い。
高い保温性を保つためなのか生え変わりも激しく、少し撫でただけでほろほろと役目を終えた羽毛が落ちる。
ただあまり触られるとくすぐったいらしく、ラシャスは羽毛を落とす行為をあまり好まない。
だけどふわふわな羽毛を集めたくて、俺たまにラシャスに頼んで羽を繕っていた。
「なんに使うんだ、そんなの」
「布団でも作ろうと思って」
天然100%ハーピー製の羽毛布団。
なんて豪華なんだろう。
「そんなのなくたって俺の翼に包まっていれば寒くないだろ?!」
確かに今、寝るときはラシャスの翼に包まって眠っている。
ラシャス自身の体温が高いのと、気候がそれほど厳しくない事もあってまったく寒さは感じない。
「じゃあしない」
「なっ?!」
傷ついたような顔をするラシャスは可哀そうだけど、どうしてもこれは必要な事なのだ。
フイと顔を背けてこれ以上の行為を拒むふりをする。
正直に言ってしまえば僕自身も身体が疼いてたまらない。
ラシャスの指で刺激された身体は先ほどからチクチクと刺すように快楽を伝えてきている。
「……くそ、やっぱりセルジュの方がわがままだ」
ぷぅと頬を膨らませ不機嫌そうにしながらも、僕の唇に口づけながらラシャスは了承する。
ラシャスはこの行為の意図をまったくわかっていない。
僕にはラシャスのような温かい翼はなく、もし卵が産まれても温める事は出来ない。
ラシャスがいる時は温めてくれるだろうけれど、ここから出る事が出来ない僕では食料の確保も出来ず、結局ラシャスに頼らざるを得ない。
その間温める事は出来なくても、せめて温度を保つ為に暖かな布団が欲しいのだ。
頼めば他のハーピー達が温めてくれるかもしれない。
だけど卵はラシャスと僕の子で、誰かに頼る事を前提の子育てなんて御免だ。
「ありがとう、ラシャス。大好き」
「なぁ?!」
頬を真っ赤にして過剰に反応するラシャスは可愛くて、惜しみなく愛の言葉を伝える。
反応が見たくてわざと言ってしまう所もあるけれど。
「……お、俺も、好き、だぞ」
言葉を詰まらせながらも返してくれるラシャスが愛おしくて、少しでも気持ちが伝わるように頬をそっと手で包み口づけた。
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