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◆短編
穴の底、鬼の住処2※R18
鬼の家にある大きな風呂は沸きあがる源泉から引いてきた薬用の効果もある温泉で、少しだけ匂いがあるもののその湯に浸かると身体の疲れが一気に解れた。
気持ちよさでほう、と息を吐けば最高の気持ちだ。

「湯加減は大丈夫か? 熱いなら水の量を足すが」

「大丈夫、丁度良い」

怪我が治りきる前に熱い湯が傷に染みてしまった事があり、鬼はそれを心配しているらしくいつも風呂に入る俺を心配する。
風呂場の外にいる鬼を安心させようと、からりと扉を開けるとまだその場に居た鬼がぎょっとした顔で俺を見た。

「な、お、お前……」

「ほら、もう傷も塞がっているし染みる事はない。心配しなくても大丈夫だ」

「わ、わかったから、裸で外に出てくるな」

風呂に入っていたのだから裸なのは当たり前なのに、何を慌てているのだろう?
身体を縮めて手で目元を覆う姿はまるで生娘のような反応だ。

「そうだ、一緒に入ろう。いつも世話になっているのだから身体くらい流させてくれ」

「なななななななっ!」

「男同士なんだから気にしなくても良いだろう」

「だ、だが、しかし……」

「俺には他に出来る事などないし、嫌でなければぜひさせてくれ」

太い腕を軽く引き強い口調で頼むと、しばらくは色々考えていた鬼が、少し困った表情で頷いた。
どこまでも良い人……いや、良い鬼だ。

しゅるりと服を脱いだ鬼の身体は逞しく、狩りで鍛えている俺よりもずっと筋肉が付いており、赤く艶のある肌は健康的で引き締まっていた。
軽々と俺を運んだのを思い出し、なるほどと納得する。

桶で湯を掬い、鬼の背中にざばぁとかける。
広い背中は1回では濡らすことが出来ず、2杯、3杯と汲んでかけ、ようやく全体を濡らす事が出来た。

濡らした手ぬぐいに身体を綺麗にする薬草を煮詰めたものをしみこませ、軽く揉むとふわふわと泡が浮かぶ。
一杯に泡を立て、その泡で手ぬぐいを滑らせるように鬼の背中を擦る。

広い背中を全部綺麗にする為に、上に下に、左に右に、忙しなく身体を動かした。
チラチラとこちらを気にしているようだが、こうやって背中を流している俺は楽しくなってきた。
普段から綺麗にしているから汚れは無いが、泡で赤い肌を隠していくのはまるで遊びのようだったから。

大きな腕を取り、泡だった手ぬぐいでゴシゴシと洗っていく。
片手で支えるのが大変なほど重い腕だが、その逞しさに助けられたのだと思えば、全く嫌ではない。
少しでも気持ちよく思ってもらえれば嬉しいのだが。

「あとは前か」

「こ、こっちは自分でやる」

「今更だろう、ほら」

腰に巻きつけていた手ぬぐいを引くと、鬼の手が慌ててそれを押さえようとするが、一瞬だけ俺の方が早く、布はするりと鬼の肌から離れた。
布の下に隠れていた鬼の性器は隆々と上を向いて勃ちあがっていて……

「すすすす、すまんっ!」

鬼は慌てて勃ちあがった肉茎を押さえつけようとするが、背中から滑り落ちた泡で滑ったペニスはつるりとその手をすり抜けて存在を主張するように震えた。
アワアワと顔を赤くしながらそれを隠そうとする度に、つるりつるりとかわしてしまい、まるで別の意志を持っているようにすら見える。

「気持ちよかったのなら、男ならそうなる事もあるだろ」

「いや、俺は……、その」

恥ずかしいのか言い淀む鬼はもしかしたら性に疎いのかもしれない。
ここには他に誰も居ないし、それも仕方がないのだろう。

慌てる鬼の脚の間に座り、勃ちあがった肉茎に指を絡める。
自分以外のモノに触ったのは初めてだが、人並みはずれた大きさのそれはビクビクと震え、別の生き物のようだ。

「うわっ! ふ、触れては駄目だ」

「痛いか?」

「そうではなく!」

ピクピクと震えている鬼の肉茎は気持ち良いのか、指を押すように暴れる。
触れられるのが恥ずかしいのだろうか、鬼は赤い顔を一層赤く染めた。

「出し切らないと終わらないからな、少し我慢してくれ」

「うあ……っ!」

ヌチヌチと滑った音を立てて鬼の肉茎を扱くと、先端からトロリと蜜を零した。
鍛えられた腹筋が鼓動にあわせて波打ち、達してしまいそうなのか、指の輪の間で暴れる鬼の肉茎が激しく蠢く。

「う……くぅっ!」

「え……」

ビュクリと音を立てて鬼の肉茎から、白濁した液が飛び出し顔を濡らす。
その熱さや、ねっとりとした感触もだが、濃い性臭に頭がぼんやりしてくる。

「す、すまない!」

鬼が傍にあった手ぬぐいで顔を伝う精液を拭おうとするが、その指が触れた瞬間、身体がガクガクと震えた。
以前のように恐怖ではなく、触れられた場所から刺すような快楽が湧き上がり、息が弾む。

「あ……、俺、身体、おかし……ぃ」

どこに触れてもおかしい位身体が反応して、自分の身体を維持する事すら出来ず、その場でへたり込んだ俺の身体を鬼の手が優しく抱き上げる。
抱きかかえられたその腕にすら感じてしまう身体に驚きつつもどうする事も出来ず、震える俺の身体をあやしながら、緩々と俺の肉茎を扱き上げる鬼の手を見つめるしか出来なかった。



あれから数ヶ月の時が過ぎ、俺はまだ鬼の住処で世話になっている。
変わったことといえば、俺はもう村に帰らなくてもいいかなと思い始めていることだ。
食事は美味いし、鬼は俺に優しい。
それに、とても気持ちよく触れる。

あの日、そのまま流されるように身体を重ねてしまったのだが、いまだに鬼の肉茎を受け入れるに至っていない。
鬼の一物は大きすぎるのだ。
だから、

「んく……、ふ、ふぁ……」

「……痛くはないか?」

「だいじょう、ぶ」

太い指を後唇に受けいれながら、心配そうに俺の顔を覗く鬼に心配をかけないように笑いかける。
獣脂を使い拡張された俺の後唇は鬼の指を3本も咥えて、クチュクチュといやらしい音を立てているのに、まだ傷つけてしまうと鬼は俺の中に入ってこようとしない。

「ひぅっ、……ぁあ」

「やっぱり痛いんじゃないのか?」

心配そうに見上げてくる厳つい顔も、今では見慣れて格好良く見えてきた。
なんとかの欲目という奴ではないかと思うのだが、心配のしすぎもいただけない。
感じすぎて漏れた声まで心配の種なのだから。

「大丈夫だ。それより……、な」

「駄目だ、まだこんなにきついのだから挿入たら傷つけてしまう」

「そんな、あっ、…、は、あぁああ……」

熱い口内に肉茎をパクリと咥えられ、チュウと吸われると堪えきれずに鬼の口の中にはしたなく精を零してしまう。
震えるほどの快楽と、泣けるほど優しく触れる指の感触。

口の端を白く汚しながらも嬉しそうな鬼に、はしたなくねだってしまいそうな自分を何とか押しこめる。

「気持ち良くなってくれて嬉しい」

ふにゃりと笑う彼の笑顔に、俺も嬉しくなった。
浅ましい所を見せて、嫌われてしまうのが怖いくらい、彼の事が好きなのだ。


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あきゅろす。
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