◆頂き物
沈也様から相互記念7※R18
色々な液体に塗れ、崩れ落ちた細い身体。
涙に濡れた頬を優しく拭い、額にキスを落としたクレウの表情は穏やかな物だ。
シーツで王子の身体を包むとクレウは部屋の窓を開けて外へ出た。
裸足が芝を踏む音に混じり、どこからともなくカエルの鳴き声が響くとガサリガサリと草が揺れカエルが顔を表した。
いたる所から大小色様々なカエルが現れ、クレウが通る道の脇に並ぶ。
――まるで王が通る道を作る様に。
「…セイリア王子、愛しています」
愛情に満ちた言葉が囁かれ、その余韻が消える前に二人の姿は闇に溶けて消えた。
シーツから零れた王子の白い左腕の手の甲には、クレウの左胸に刻まれていた紋様と同じ物が刻まれていたが、それも闇に消えた。
庭に響くのはカエルの声だけ。
END
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