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◆頂き物
沈也様からの頂き物2
「私でお力になれるならばなんなりとおっしゃってください! 初めて出会った仲ではありますが、きっとこれも何かの縁。力の限りを尽くしましょう…!」

「ふふ、本当に面白い方ですね…。疑う事を知らず、これほどまで純粋とは思いませんでした」

「え、何か?」

「いえこちらの話です。それでは丹鼓殿、少し手をお借りしていいですか?」

「はい!」

差し出された片手に自分も片手を差し出すと、両方とも出せと言われもう片方も差し出す。
白い指がその両の手首を握ったかと思うと

バチッ

「ッ!?」

雷の様な青白い光と軽い衝撃が走り、先程まで握られていた手首に札が張られていた。
紅に光るその札の文字が力を封じる物である事を知り、丹鼓は目を見開く。

「と、常葉殿、これは!?」

「黙って」

そう告げられると、肩を押され押し倒された。
余りにも簡単に押し倒されて、漸く身体に上手く力が入らない事に気付く。
札で封じられた腕を頭上で押し付けられるとこれも札の力なのか、床とくっついたかの様にはがれなくなった。

「強力な札だけど、九尾相手には長くはもたない…でも、それで十分」

押し倒した身体の上に跨って微笑む常葉に二鼓は戸惑いを隠せなかった。
まさか彼の望みというのは自分の命を奪う事なのだろうか、と嫌な考えが頭を過ぎる。

「ふふ、そんな顔をしないで。何も殺そうだなんて考えていないから」

する、と頬を撫でながら常葉は楽しそうに笑った。
その手が蛇が這う様に下され、何枚も重ねのある直衣を他愛も無くはらはらと剥いでいく。
あっという間に衣服は乱れ、胸や肩を剥き出しにさせられた。

「と、常葉殿?」

「へぇ案外胸板あるんだ…意外。着痩せするタイプ?」

「ひぅ!?」

きゅ、と自分でも意識して触らない胸の飾りを摘まれてビクリと身体を揺らす。

「ふふ、かーわい」

常葉は身を屈めたと思うと、その飾りに舌を這わせた。
感じた事の無い場所で感じた事の無い感触を味わい、首を振って抵抗するがふいにあらぬ所を揉まれてさらに声を引き攣らせた。

「ひぃ!?」

「あ、やっぱり想像した通りだ。結構大きさある…どれどれ」

「わぁあ!」

裾を捲られ、御開帳とばかりに服の中から逸物を取り出されて思わず叫ぶ。
そんな丹鼓など視界にも入っていない様で、常葉は宝物を見つけた稚児の様に歓声を上げた。

「うっわぁ、包茎とか本当好みドンピシャ!っていうか、なにこれ本当におっきいー…」

驚きに縮こまっているそれを常葉は嬉しそうにむにむにと指で揉むと、下生えにその高い鼻梁を擦り付ける様にして匂いを嗅いだ。

「んぁ…匂いも好みとか…。この雄臭い感じ堪んない…」

丹鼓はというと、とっくの昔に許容量を超えた出来事にもう頭が真っ白だ。
一体何が起こっているのか。
客人に喜んでいたら、その客人に押し倒されあまつさえ陰部に顔を埋められている。意味が分からない。

「と、とととと常葉殿!な、な、な、なにを」

「んー?ああ、色々な人間とか妖とか食ってみたけど最近こう、いまいちガツンって来ないって言うか。 で、そういえば森の奥の社に九尾が住んでたなって思い出して。経験上、力が強い妖って結構アレがデカイ事が多いから、九尾となればそれはもう立派な物持ってるんじゃないかなって」

だからそれを是非俺に使ってもらおうと思ってね、ね?九尾サマ?
笑いながら小首を傾げる常葉は色気とあどけなさが混じってなんとも可愛らしいが、言っている事がさっぱり分からない。
食う?アレ?デカイ?立派?何が?
常葉の一人称が“俺”になっている事にも気付けない程、丹鼓は困惑していた。

「ん?あれ?もしかして意味分かって無い?」

「い、意味とは…?」

「んー遠回しだったかな?だからね、アンタのデカイチンコで俺をイかせてって事」

「…へ?」

何だか今とても下品な事を言われた気がするのは気のせいだろうか。
目の前のどこか上品で色気のある人間の唇から放たれた言葉とは信じられなくて茫然と常葉を見つめた。

「なにぼんやりしてんの?あ、同性同士どうやってやるのかとか?だーいじょうぶ。俺が突っ込まれる方だから、アンタは女抱くのとおんなじ事してくれればいいよ、ね?男も女もあんま変わんないって。
どうしても嫌って言うなら女に化けてヤッても良いよ?俺ほら化け狸だし、そういうのは一応得意だからさ。まぁ出来れば化けない方が楽なんだど…そうする?どうする?」

「えっ、あっ、だ、抱くって…女って…」

おろおろと目を泳がせる丹鼓に何か違和感を覚えたのか、常葉は押し黙った後、恐る恐るといった態で口を開いた。

「…え、まさかとは思うけど…一回くらいは女抱いた事あるでしょ?」

「な、ない!」

「…………うそ、」

「う、嘘では!にょ、女性の妖にそもそも出会う事が少ないし、若くしてこの祠に籠る事になったし…そ、それに、番にしたいと思える相手にまだ出会って無いから…」

かぁっと頬を染めて俯く。
いつしか生涯を共に出来る相手に巡り合いたいと思う事は、甘酸っぱい恋をしているような物だった。
一人で照れている丹鼓を余所に、常葉はぶるぶるとその場で震え始めた。

「…と、常葉殿?」

「…ない」

「え?」

「信じられない…」

そう呟いてバッと顔を上げた常葉の頬は紅潮し、目は熱に浮かされたように潤んでいた。


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あきゅろす。
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