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◆111111HIT〜
6:酸欠
朝だというのに身体が重い。
昨日よく寝られなかった所為だろう。
まさか拓馬と准一君がSEXしているのを聞きながら自慰してしまうなんて、自分で自分が信じられなかった。
そんなに性欲が強い方ではなかったし、何故あんなに昂ぶってしまったのか自分でもわからない。

「はぁ……」

「ため息ついてどうしたの?」

「うわっ、た、拓馬?!」

いつの間にか背後に立っていた拓馬に息がかかるくらい近くで離しかけられて身体が面白い位に跳ねた。
こんなに傍に近寄られるまで気付かない位、ぼんやりとしていたのか。

「な、なんでもない」

「そんなに慌てちゃってなんか後ろめたい事でもあるの?」

見透かす瞳でこちらを見る拓馬の視線に、まるで責められているようで居た堪れず、逃げるように視線をそらした。

「もしかして昨日の声、聞こえてた?」

「……わかってるならもうちょっと声くらい抑えてくれ」

「ふぅん……、もしかしてその声オカズにオナニーしちゃった? 随分腰の辺りが色っぽいけど」

「ひぅっ!」

身体に回された拓馬の腕が服の間に滑り込み、腰骨を確認するようにいやらしく撫で上げた。
触られた感触にゾワリと鳥肌が立つのと同時に、身体の奥底からジワリと何かが湧き上がる。

「は、離せ!」

「別にレイプしようとしてるわけじゃないんだからいいじゃん、ハグだよハグ」

「前科持ちじゃないか!」

「……、えへっ」

「えへっ、じゃない!」

拘束され2人のしている所を見せられたのも記憶に新しいし、もし月日が経っていたとしても忘れられるような事ではない。

「でもしたんでしょ? いい匂いするもん、いやらしいいい匂い」

「なっ!」

なにか匂いがあるのだろうか?
自分ではわからないが他人からすれば臭いとか……。
自分の腕を近づけてにおいを嗅いで確信してみるが、やはり自分ではわからない。

「やっぱりしたんだ〜」

「え……、あっ!」

カァと顔に血が昇るのがわかる。
だまされた、匂いなんてしなかったのだ。

「男の声でも抜けた?」

「……少しは慎みとか持ってくれ」

「キスして良い?」

「なんでそうなる?!」

「したいから」

腕をグッと下に引かれ、拒もうと伸ばしかけた腕が阻まれる。
近づいた顔と少しだけ熱い吐息が唇にかかり……

「んぅ……っ!」

重なった唇に思わず眼を閉じる。
ねっとりと絡まる粘液の感触、上顎を擽るように撫でる舌の感触、舌を優しく噛む歯の感触。
耐え切れず身体が震え、押さえられた腕の下で手が小刻みに空気を掻くように動いた。

「ふ、……は、ぁ」

口内を好き勝手に蹂躙して、拓馬の舌が離れていく。
怪しく濡れた舌は紅く、酸素の足りない頭に強烈に印象を残した。

「にいちゃんの口の中、温かくて柔らかくて気持ち良い」

「……こんな事するなんて、おかしいだろ」

「おかしくないよ、だって俺はにいちゃんの事が好きだし、准一君も認めてくれてるもん」

「だからって……、お前」

「にいちゃんは気持ち良いの好き? 俺達に任せてくれれば気持ちよくしてあげるよ。にいちゃんが嫌がる事はしないで気持ち良い事だけ」

キスの所為なのか酸素が足りなくて意識が白み、拓馬の言ってる事が無茶苦茶だとわかっているのに、上手く考えられない。
嬉しそうに笑う拓馬の顔を見ていると、それが正しいような気すらしてきた。

「キスは嫌い?」

「……嫌いじゃ、な、い」

「じゃあ、もう1回」

返事を聞かず重なる唇。
もう腕は拘束されていないのに、俺は拒む事すら出来なかった。


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あきゅろす。
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