◆111111HIT〜
4:罪悪※R18
「覗くなよ」
低い声で入り口に向かって唸る。
曇りガラスの向こうで蠢く影が2つ、不穏に動いているのがわかったからだ。
のんびりと風呂に入る事すら出来ないのか。
「いいじゃん、裸の付き合いしようぜ〜」
「お背中流しますよ」
「い ら ん」
少しだけ扉を開いて中を覗こうとする拓馬に向かって指先についたお湯をピッとかける。
にへっと悪戯っぽく笑い、顔を拭いもせず言い放つ。
「ケツの穴まで見合った間柄じゃない」
「なっ?! 見たかった訳じゃないし、俺が見せたわけでもないだろう!」
「にいちゃんのお尻、襞がピンクでヒクヒクしちゃって可愛いんだよ」
「〜〜〜〜っ!」
「拓馬だってそうだったよ?」
「マジで? さすが兄弟」
「最近は俺の咥え過ぎてちょっといやらしい色になってきたけど」
「いやん」
「この変態共、何処かに行け!!!」
「うはは、怒ったー」
「逃げろー」
笑いながらバタバタと足音を立てて立ち去る2人に脱力する。
なんだか過激なセクハラを受けているような、悪戯なくそ餓鬼2人の相手をしているような……。
2人とも保護が必要な子供ではないのだからさっさと追い出せばいいのはわかっている。
それなのに追い出せずにいるのは、1人でいるよりも誰かがいるこの状況を内心俺も嬉しいと思っているのだ。
「……セクハラさえなければな」
深くため息をついて湯船に浸かる。
ほっと一息つけるはずの空間で、ただただ頭が痛かった。
「湯上りの匂い〜」
「抱きつくな、重い」
後ろから抱き着いてきた拓馬を強引に剥がすと、冷蔵庫から水を取り出した。
こくんと飲みこむ、冷たい水が喉を滑るのが気持ちいい。
「俺も風呂入ろうかな」
「あ、ちょいまち」
准一君が椅子から立ち上がり、着替えを取りに部屋まで戻ろうとするのを拓馬が引き止める。
「一緒に入ろう」
「ゴフッ」
「わ、なに、にいちゃん汚なっ」
思わず口に含んでいた水を吹き出してしまう。
あまりに自然に言い出すから、一瞬何を言ったのかわからなかった。
「な、にを」
「いいじゃん、恋人同士だし」
「俺は全然気にしないですよ」
「お前らは気にしなくても俺は気にする」
「健全な男の子なんだから出すもん出さないとおかしくなっちゃうし、それに……」
「それに?」
「お風呂場だったら後処理楽だしね」
「何をする気だ?!」
「「……、ナニを?」」
綺麗に声が重なった。
もうこいつら、嫌いだ。
一応恋人同士の2人を引き止めるわけにもいかず、早々に部屋に引き返してきたが、つまりそういう事をすると宣言された訳で……。
ベッドに寝転がって本を読んでいたが、内容が一向に頭に入ってこない。
どうしようもないのだが、何となく落ち着かずゴロゴロと寝返りばかりうってしまう。
「……寝よう」
パタンと音を立てて本を閉じると、ベッドサイドのテーブルに置いた。
おかしな事を考える前に寝てしまおう。
明日になったら普段通りに接すればいい。
「おやすみなさい」
電気を消し、誰に聞かせるわけでもなく就寝のあいさつをする。
最近は2人が返事を返してくれていたので、少しだけ物悲しく感じてしまう。
布団を頭まで引っ張り上げると、身体を抱きしめるようにして小さく丸くなり、ぎゅっと目を瞑った。
『……』
「え?」
シンとした室内に小さな音が聞こえて、思わず閉じた目を開いた。
身体を起こして辺りを見渡すが何も無い。
「???」
気のせいかと思い、布団の中にもぐりこむ。
過敏になっているのだろうか?
『…………ぁ』
「っ!」
先程より鮮明に聞こえた音に身体が跳ねる。
これって、まさか……。
「…………」
恋人同士だから。
そういう仲だから。
それは当たり前の事なんだけど。
「……声ぐらい抑えろよ」
か細く聞こえる声は確かに拓馬の声で、明らかに喘ぎ声だとわかるような艶っぽさを含んでいた。
少ししか聞こえないのが逆にいやらしく聞こえる。
「あ、ぅ……」
以前の光景を思い出してしまい、身体がビクンと震える。
准一君に組み敷かれ、嬉しそうに犯される弟。
入るはずのない大きさのものをくわえ込み、気持ち良さそうに嬌声を漏らす姿。
恍惚とした表情で卑語を語るその様を。
「俺、最低……」
じっとりと抑えようの無い熱が下肢に溜まる。
ヒクヒクと下着の中で震え、微かに先端の触れた部分を濡らすのがわかった。
最低の行動だと分かっているのに、止まらない。
下着をズボンごと膝の辺りまで下ろすと、半勃ちのペニスに指を這わせる。
少し触れただけで全身に快楽が走った。
「ん、ぅう……」
『…ぁ、……あ、はぁ』
シュ、シュと音を立ててペニスを上下に扱きたてる。
盗み聞きしている興奮も相まって、普段するよりもずっと感じてしまう。
先端の穴からトロリと垂れた蜜を指で掬い、全体にねっとりと塗すとニチュニチュ音を立ててペニスを擦る。
開いた手で玉を転がすようにしたり、軽く押したりして刺激する。
ゾクゾクと全身が痺れ、太腿がヒクヒクと痙攣する。
「ふ、ふぅ、う」
『ゃ、……い、くっ』
「―……っ!!!」
服の端を思い切り噛んで、声が漏れないように必死で堪えながら手の平に射精する。
尿道を精液が通る感覚が気持ちよくて、全身が震えた。
びしゃびしゃと打ち付けられた精液の生臭い匂い。
弟の絶頂の声にあわせて、自分も射精した。
ねっとりとした液体を横目で見る。
現実だ。
「……最低」
今まで生きていて1番罪悪感があって、
1番気持ちがいい自慰だった。
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