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◆111111HIT〜
800000HIT フェデルタと真実の絡み2
「おかえりなさいませー、ご主人様!」

「間違エマシタ」

「間違ってないって、帰るな帰るな」

わらわらとその場にいたゴツイ男達に集られて引き寄せられる。
そこでクスクス笑っている女性、冗談ではなく怖いので助けて欲しい。
払おうと思えばこの腕を払えないわけではないが、害意のない彼らを無碍に扱うことも出来ず、ズルズルと店の中まで連行されていく。

「ど、ど? 可愛くね? 個人的にはフリル似合う気がしてんだけど」

フリルがふんだんに使われた可愛らしい服を着た真実が目の前でクルクルとまわり、薄いスカートはふわりと浮かび空気をはらんで舞った。
光沢のある唇は化粧を施してあるらしく、瑞々しい質感だ。が、

「大柄な男が可愛らしい服を着ているように見える」

正直な感想を口にした。
嘘は嫌いだし、必要の無い嘘をつくのは信念に反する。

室内にいる殆どの女装者たちが口元にうっすらとヒゲを生やし、スカートの裾から太い足を出している絵はある種の地獄絵図だ。
大柄な方の真実が綺麗に見える程度に酷い。

「マジで? 可愛いじゃん」

「服は可愛いと思う」

「俺は?」

「これはちょっとフォローしきれない」

ズイッと顔を寄せた真実を両手でガードしてなるべく見ないように視線を泳がせる。
これは、ちょっと、マズイ。

「ちょっとは褒めろよー」

「ま、待て」

顔を反らそうとする私の顔を掴み、真実が顔を近づける。
慌ててそちらを向いた所為で、視線がガッチリと絡み合った。

「〜〜〜っ、ぶは」

「あ、てめっ、笑ってんじゃねぇ!」

「く……、くふ、〜〜っくはっ、は、はははははっ!」

「ふ、普段あんまり笑わない癖に信じらんねぇ!」

不機嫌そうに怒る真実と止まらない笑い声を抑えることを諦めた私の声が室内に響く。
今まではその出で立ちの妖しさにメイド喫茶を遠巻きに見ていた者達も、興味有りげに室内を覗き込み、なんだかよくわからないうちに大繁盛していた。



作業時間が終わり普段着に着替えた真実を見て、半分以上自分に責任があるとわかっていながら悪態をつく。

「腹が痛い」

「笑いすぎだっつの。そんなにおかしくないだろ」

「おかしくないって……、くふっ」

「もういいから! 意外と笑い上戸だなんて始めて知ったぞ」

「わ、私もはじめて知った」

深呼吸をし、ぶり返しそうになった笑いを何とか落ち着ける。
頬を膨らませてむくれている真実には悪いが、あの格好を笑わないで居られるほど、感情は乏しくない。

「まあいいや、折角来てくれたんだから一緒に色々見て回ろう」

踊るような足取りで先を歩く真実が、嬉しそうに腕を振る。
普段なら抱きついたり腕に絡み付いてくるのだが、流石に学校という場所のせいか不必要にくっつく事も無い。
少しだけ腕が寂しいが、この場所に居る真実は少しだけ大人びて見えた。

「たこ焼きと焼きそばとお好み焼きとイカ焼きとカキ氷とクレープ食おうぜ!」

「さっきもつまみ食いしていたのにまだそんなに食べれるのか」

「別腹!」

オーダーしたものの笑いすぎて殆ど食べられなかった私の分も食べていたはずなのだが、驚くほど強靭な胃袋だ。
あれだけの食物が何処に収まっているのか、どうやって消費しているのか、いつ見てもわからない。
しかも太ってもいないのだから、何らかの物理法則を無視している気すらする。

「腹を壊さないようにな」

「はっはー! 俺を誰だと思ってる」

「暴走しがちな私の恋人だ」

「ぐはっ! ……フェデルタはずりぃよな、不意打ちなんだもん」

少しだけ赤くなった頬に気持ちが充実するのがわかる。
明るく大らかで友も多い真実が私だけに見せる顔。
これも独占欲だろうか?

「真実、手を繋いでもいいか?」

「俺はいいけどフェデルタは見られてもいいの?」

「構わない。それよりもっと傍に居たい」

「へへー、じゃあ、はい!」

満面の笑顔で差し出される手を繋ぐ。
肌からしみこむ幸せと柔らかな温度をずっと感じていたかった。
多少視線が痛かったが構わない。
この愛おしい人が私の恋人だと誰彼構わず見せびらかしたい気分だ。


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あきゅろす。
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