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◆111111HIT〜
777777HIT Scrawlその後2(微エロ)
ノヴァの用意してくれた上物の酒は美味いはずなのに、今日は味がしなかった。
先程のニルザの発言が気がかりで、酔えそうも無い。

「ニルザの言った事が気になる?」

「聞いてたのか?」

「ニルザはわかってて言ったみたいだけどね」

「アイツ……」

唇をギリッと噛む。
もうそれなりの付き合いがあるから、何の意味も無くあんな攻撃的な事をいう奴じゃないのもわかっている。
前ならひたかくしにしたような事実を口にした事になにか意味があるのだろう。
それならそうと口で伝えてくれたらいいのに、そういった優しさは持ち合わせていないらしい。

「まあ、ああ言いながらもニルザにしてはメディアと長く付き合ってるし、気に入ってるんだと思うよ」

「長く?」

「50年は一緒にいるんじゃないかな」

「相変わらずお前らは単位がめちゃくちゃだな」

つまみに用意されたチーズを口に放り込むと、味わうでもなく飲みこんだ。
おそらくこれも高いんだろうけど、腐った肉でも構わず食っていた俺の馬鹿舌ではある程度の美味さまでしかわからない、勿体無い事だ。

「私達もずっと一緒にいよう」

机の上に置いていた手にノヴァの手が近づくのを、逆の手で握ったフォークで狙うと、紙一重のところでかわされた。
遠慮なくたたきつけたフォークは机に刺さり、ビンビンと音を立てて揺れる。

「本気で狙ったでしょ!」

「当たり前だっつの、真面目に話してる所を茶化しやがって」

威嚇するようにジャーキーを噛み切ると、ビクリと手を退け顔を青褪めさせた。
咀嚼する音をわざと下品に立てて睨みつける。

「隙あらばいちゃつきたいんだもの」

「やれるもんならやってみろ」

腰に下げた剣に手を伸ばし、いつでも抜刀出来るように構えた。
ノヴァより弱い俺だが、この距離のこの間合いなら五分五分に持ち込める自信がある。

「ダグラスはすぐ照れ隠しに剣抜くんだもんなぁ、可愛いけど手が出せないじゃないか」

「なっ! 照れてない」

「照れてるじゃない」

「照れてない!」

抗議しようと手を思い切り机に叩きつけて、はた、と気付くがもう遅い。

(あ、やられた)

ふわりと鼻をくすぐるノヴァの匂い。
やわらかな温度で口が塞がれる。
「……ん、……ぅん」

少しでも抵抗しようとノヴァの服を掴んだ指には上手く力が入らない。
口の中で逃げようと舌を絡め取られ、きつく吸い上げられる。

「ん゛っぅ……っ!」

ノヴァの指が俺の服の胸元をなぞり、器用にボタンを外していく。
触れた場所からむず痒い感触が浮かび、ゾクリと身を震わせた。

「っふ、は……ぁ、……ぁ」

離れた唇の間から荒い呼吸をして、ノヴァの身体を押そうと力を込めるが動かなかった。
普通の人間に比べたらずっと強い俺でも、素手の力はノヴァには全く敵わない。
痛みなんて全く無いのに、逃げられないように拘束されている。

「っあ、……や、ノ、ヴァッ」

ノヴァの綺麗な指が胸元をなぞってヘソを爪で軽く擽ると、俺の身体が面白いくらいに跳ねた。

女性相手なら経験はあるし、初心な10代の若造でもない。
それなのに、ただノヴァが触れているというだけで身体が敏感に反応してしまう。

しばらくヘソを撫でていた指がツツ…と滑り、下の毛に触れ、ショリ、とかすかな音を立てた。

「〜〜〜〜っ!!!」

恥かしさと衝撃で揺れた身体に、グラスがぶつかる。

「あっ」

カシャーンと高い音を立ててグラスが粉々に砕ける。
中に入っていた酒は殆どなかったけれど、それでもゼロではなく床をビシャビシャに濡らした。

「大丈夫、怪我してない?」

「だい、じょうぶ……」

ガラスは飛んだもののズボンに少し当たっただけで、足には何の怪我も無い。
それよりも、

「ダグラス?!」

へなへなとその場にへたり込み、床に伏した。
一応ガラスが無い事は確認したけれど、もういっそ刺さっててもいい。

「ど、どうかした? やっぱり怪我を……」

「頼むから」

「え?」

「頼むからもうちょっとゆっくりお願いします」

顔から火が出そうだ。
ただ肌を指で触れられただけ、それだけなのに。
信じられないくらい反応して、信じられないくらい感じてしまった。

「これ以上?」

「これ以上!」

恥かしくて上げられない顔を床に伏せたまま、情けなく怒鳴る俺にノヴァはクスクスと笑う。
その声には嘲りや馬鹿にした気配はないけれど、まるで小さな子供の悪戯を微笑ましく見る大人の余裕を感じさせた。
悔しいけれど、このことに関しては初心者だ。

先程まであんなにいやらしく俺に触れたノヴァの指が、今度はビックリする位優しく俺の髪を撫でた。

「じゃあ今度はゆっくりキスから」

優しく指で顎を支えられ、目を閉じた。
触れた唇が優しくて、酷く安心する。
腰に回された腕で身体を引き寄せられ、抱きしめられながらするキスはとても幸せだった。



「初代様からずっと使われてきた年代モノのグラス……」

割れた欠片をローブに隠れた手で撫でながら語るニルザの声がわなわなと震えた。
どうやらかなり貴重な物だったらしく、その怒りは当代魔王のノヴァにぶつけられる。

「悪かったとは思ってる」

「思ってるだけじゃ足りないとは思いませんか? 私は足りないです、ええ足りないですとも。ちょっと千切れませんか?」

珍しく本気で怒っているニルザと逃げるノヴァの追いかけっこを見ながら、隣に立つメディアに話しかけた。

「なあ、メディア」

「はい。なんでしょうか、ダグラス様」

「ニルザと居られて幸せか?」

「……はい」
他の魔族よりもよっぽど表情の硬いメディアが、口角を上げてにこりと笑う。
少しだけ安心して、俺も笑う。
首筋に残る傷は見ない事にしよう、当人が納得しているのならば口は出すまい。

「逃げ切れるか賭けない?」

「あの状態のニルザ様から逃げるのって無理ですよね」

「じゃあ賭けにならないな」

「ダグラス! 薄情な事言ってないで助けてくれ」

「やだよ、ニルザ怒らせたら怖いもん」

ひらひらと手を振り、部屋から飛び出していく主従を見送った。
今日も平和だ。



数字様リクエストありがとうございました!
舞台は本編から数ヵ月後くらいです。
少しはノヴァも幸せでしょうか?
逆エビはこれからニルザに食らわされると思うので、あまり幸せではないかもしれません。

こちらの不備で遅くなってしまって申し訳なかったのに、優しいコメントに涙が出そうでした。
体調の心配もありがとうございます、数字様も寒暖厳しい時期ですので体調にお気をつけ下さいませ!

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あきゅろす。
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