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◆111111HIT〜

777777HIT Scrawlその後1(微エロ)
Scrawl本編のアフターストーリーになります。
本編のネタバレも含まれるかもしれませんのでご注意ください。



「私と生涯を共に過ごしてください」

真摯な声、ガラにも無く真剣な表情、緊張で軽く汗ばんだ手。
へらへらと笑い顔ばかり見ていたノヴァの真面目な顔に恥かしさが湧き上がる。
俺は男でこういう事は言う立場だと思っていたから、言われる方の気持ちなんて考えた事はなかったけど、なんだ、凄く、恥ずかしい。

なにか言おうと口を開いたけれど口の中がビックリする位カラカラで上手く言葉が出てこない。
簡単な言葉で伝えられる筈なのに、言葉にしようとすればするほど、何を言う筈だったのかわからなくなってしまった。

「う、うん」

空気が凍る。
真面目なプロポーズにする返事としては最低だ。
流石に育ちの悪い俺でもわかる、これはない。

「…………ふ、ふふ」

「笑うなよ」

「いやぁ、私達らしいなぁと思ったらなんだかね」

口元を押さえノヴァが堪えきれないという風に笑う。
宿敵として出会って殺し合い、なぜか生涯を共にしようと言うのだから、これ位のイレギュラーは想定の範囲内か。
笑うノヴァにつられて俺も笑った。

「……、これからもよろしくな」

「はい」

大事なモノのように優しく手を掬い上げられ、指先に冷たい感触が触れる。

「これ、指輪?」

「ダグラスは剣を握るから普段はつけられないだろうけど一応ね」

「魔王の癖に意外と俗物だな」

「なんとでも、君の為なら私は幾らでも馬鹿になるよ」

その言葉は嘘ではないだろう、ノヴァは俺に合わせて歩いてくれる。
出来るだけその隣で歩いて居たい。

指にはまる指輪を撫で、俺は幸せだ。



「でもなぁ、それで終わったら苦労しねぇんだよ」

「セックスですか?」

そのものずばりを口に出す従順ではない従者には、羞恥というものが無いらしい。
まあ、その実その通りなのだが。

「ノヴァ様に任せてさっさと犯ったらいいじゃないですか」

「魔族はどうだか知らないけど、俺は今まで性的な対象は女だったから、いきなり男に抱かれるって抵抗あるんだよ」

「そうなんですか? まあ私としてはノヴァ様が産もうがダグラス様が産もうがどちらでもいいんで。さっさとお世継ぎを産んでくだされば、どちらが上でも下でも一向に構いません」

「俺が、ノヴァを……?」

ベッドの上に押し倒し、恥じらい頬を染めるノヴァ……。

「気持ち悪……」

「じゃあ抱かれたらいいじゃないですか。ノヴァ様はダグラス様の事を盲目的に愛しておられますし、優しくして下さるんじゃないですか?」

「恥かしいんだよ!」

「面倒臭いですね」

ずばりと言い切るニルザの言葉は今日も辛辣だ。
嫌いでないけれど、もうちょっと優しくしてくれてもいいのではないだろうか?
ああでも優しいニルザなんて何かを企んでいるとしか思えない。

「ニルザはどうなんだよ」

「私ですか? 抱く抱かれるというより嬲る嬲られるといった関係ですから参考にはならないと思いますが」

「なぶ……?!」

「結婚という関係の者は居ますが、愛しては居ません。奴隷を愛する趣味は私にはないです」

あまりの言いように血の気が引く。
確かにニルザは地位もあるし、能力だって魔王の補佐をするくらいに高いのだろう。
だけどだからってそんな言い方!

「そんなの……っ!」

「ダグラス?」

「っ! ノヴァ……」

思わず荒げた俺の声に、ノヴァの声が重なる。
いきなり現れたノヴァに混乱した頭が上手く動かない。
グルグルと良くわからない事が頭の中を駆け巡り、だんだん気持ち悪くなってきた。

「そろそろ勉強の時間が終わりかと思って迎えに来たんけど……」

「ええ、終わりました。ダグラス様、また明日」

「あ、ああ」

いつもと全く変わらない口調、ニルザにとってはなんでもない出来事なのだろう。
それが魔族の価値観なのだろうか?

閉まる扉の隙間から見えるニルザの姿は、憎らしい位いつもと全く変わらなかった。



「態々伝える必要は無かったのではないですか?」

「メディアか……。ダグラス様にはそういう考えを持つものが居るという事も知って貰わなくてはいけないからな。それに嘘でもあるまい」

ローブを翻し、ニルザの腕がメディアの髪を思い切り引く。
体勢を崩したメディアの首筋に血が滲むほど噛みつき、
その傷跡を舌で抉るように舐めた。

「……ッ!」

「お前如きが私のする事に口出しをするな」

「……、も、もうしわけ、ございま…せん」

酷い扱いをされているはずのメディアの顔は酔ったかのように桃色に染まる。
その表情には嫌がっている様子は微塵も見られなかった。

「帰るぞ」

「はい……」

スタスタと後ろも振り返らず進むニルザの背中をメディアは追いながら首についた傷を指先で撫で、嬉しそうに微笑んだ。

狂った関係だと正しく理解している。
それでも彼に支配される事に言いようも無い喜びを感じていた。
それがたとえ怒りであれ、彼の感情を動かせる自分に誇りすら感じている。

愛されてはいない。
ならばそれを補う位、私がニルザ様を思えばいい。

ただ彼に支配された身体が、心が、付き従う事に喜びを感じて止まない。


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あきゅろす。
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