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◆111111HIT〜
555555HIT 正義×セルヴァ1
久しぶりにデートがてら外食しようかと誘うと、セルヴァが嬉しそうに笑う。
別段外で食べるご飯が好きだと言う訳ではなく、特別なイベント事として楽しんでいるらしい。
俺としてはセルヴァが喜んでくれるなら色んなサプライズをしてみたいのだが、セルヴァは華やかな生活にはあまり興味が無いようで、日常のちょっとした事に喜んでくれる。

サラリーマンなのでそれほど豪華な生活をさせてやれるわけでは無いが、それを楽しんでくれているのなら嬉しい。
実に安上が……、経済的だ。

「ご主人様、これで人に擬態出来ていますか?」

俺の前でセルヴァはクルリと回る。

赤かった髪は茶色に変わり、長さも短くなっていて、普段は悪魔だと主張するように生えている角は見えなくなっている。
フリフリと可愛く動く尻尾も今日はおやすみのようだ。

「うん、大丈夫。今日もいつも通り可愛いよ」

「か…っ、あ、ぅ」

セルヴァの頬が朱に染まる。
白い肌と相まって、瑞々しい桃のようだ。
柔らかい頬を思い切り齧りたい欲求に駆られながらも、何とかそれを押さえ込む。
調子に乗って手を出すと、出掛ける約束すら反故にしてしまいそうだ。

「行こうか」

「あ、はい。……正義さん」

外に出掛ける利点の一つ、名前で呼ばれる事。
セルヴァに呼ばれるとただ単に自分を表す記号だった名前が、途端に価値のある物に変わる。
自分の性格に全くあってない名前だったが、最近自分の名前が好きになってきた。



通勤用の靴や、季節物の服を見て回り、セルヴァに見立ててもらう。
上質の物を見てきたからなのか、セルヴァは実にそつなく良品を選び取る。

「単品で見たらこちらの色の方が正義さんに似合いそうですけど、家にある服にだったらこちらの方が合わせやすいと思いますよ」

「着まわせたほうが楽かな、じゃあこっちで」

自分の案が採用されたのが嬉しいのか、セルヴァはとても嬉しそうに笑う。
こうやって素直に反応してくれるセルヴァは可愛い。
それはもう、××に×××して×××を××××したいくらいに。

「正義さん?」

「なんでもないよ、セルヴァのはどうしようか?」

何事も無かったように笑い、対応する。
自分の必要な分はセルヴァが率先して揃えてくれたけれど、セルヴァの分は全く買っていない。
色々回っている間に気に入ったのがあったら買っていいと言っておいたのだけれど、遠慮しているのだろうか。

「あの、俺あの店に行きたいです!」

そう言ってセルヴァが指したのは量販店の……

「あそこ?」

コクコクと頷くセルヴァは少し興奮した面持ちで、珍しく言葉多めだ。

「確かに質が良いとは言い難いのですが、色違いで別の服がたくさん並んでるのとか好きなんです。それに似たような服でも組み合わせで別の着方が出来るのとか楽しいです」

今まで最高級品を身に纏ってきたであろうセルヴァにとって2級、もしくは3級品であるあの服はとても魅力的に映るらしい。
まあセルヴァが着ると安いはずの服が途端に高級品に見えてしまうのだが。

「そっか、じゃあ見に行こうか」

「はいっ」

こうやって相手の好きな事を知れるのもデートの利点だ。



セルヴァの食事姿は綺麗だ。
箸も使いこなすし、魚の骨も綺麗に除ける。
家の丸かじりしそうな弟に比べたら、なんとも美しい食事風景だ。

「セルヴァは綺麗に食べるよね」

「そうですか? あまり気にした事が無かったですが、不快じゃなければ良かったです。正義さんもナイフやフォークの使い方上手ですよね」

「ああ、散々母さんに躾けられたからね。実家に行く時に育て方が悪いなんて言わせないって張り切ってたなぁ」

「??? それはご実家が厳しいお家という事ですか?」

「そうそう。母さん旧家の1人娘だったから父さんとの結婚反対でね、いまだに母さんは実家に行かなきゃいけない時はため息ついてるよ。母さんは父さんの事大好きだからね」

「ご両親仲良しでいいですね」

そう言って笑ったセルヴァは幸せそうだ。
俺の両親になぞらって、自分もそうありたいと思っているのかも知れないけれど、他人の幸せに沿うなんて俺の趣味じゃない。
セルヴァを幸せにするのも、虐めるのも全部俺じゃなきゃ許せない。

「俺達も、だろう?」

セルヴァの指を口に運び、軽く歯を立てた。
衝立で隠れているとはいえ、密室ではない場所でのこの行為にセルヴァの目線が泳ぐ。

「正義さんっ」

「人の幸せを喜べるのはいい事だけど、俺以外のだれかを思ってそんな顔するなんて妬けるね」

テーブルクロスに隠れた机の下で行儀悪く脚を伸ばすと、革靴の裏にグニュリとした感触がして、セルヴァの身体がビクリと揺れた。

「あ゛、……っく、ぅ」

隠し切れず零れた声は甘さを含んで艶っぽい。
上目遣いにこちらを見たセルヴァの目には確かな欲情の色が滲んでいた。

「家に帰ったらお仕置きだよ?」

薄く付いた歯形をぺろりと舐め。手を解放する。
目元を少し赤く染めたセルヴァはコクンと頷き

「……は、い」

と確かに返事をした。


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