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◆10万HIT CLEAR
濡れた蕾の続き2
髪の毛の色が緑色に変わり伸びた一房が俺の肌を撫でるのを、軽く叩いて追い払う。

「これで触んな」

これがコイツの一部で俺になにかしようとしているわけじゃないのは知っているけど、明らかに人間ではない動きをするそれは正直気味が悪い。
自分に触れているのが人じゃないものだと実感させる。

「でも……」

傷ついた指はごつごつの質感で、触れた場所に違和感を残す。
それを気にしているのかコイツは俺に触れる事を躊躇っているようだ。

「今更そんなの気にしねぇ。初対面でレイプしやがった癖に細かい事気にする奴だな」

「だって怒っていただろう?」

「過去形にすんな、今だって怒ってる」

今も鮮明に思いだせる色彩鮮やかな花弁に、むせ返るような甘い匂い。
その中で犯された自分はまるで自分ではないかのように、甲高い悲鳴をあげた。

いや、あれはきっと喘ぎだったのだろう。
痛みよりもずっと屈辱的な快楽に支配され、嬌声を上げ続けるしか出来なかった。

怒っているという言葉に悲しそうな表情をしたコイツは、俺の反応を待っているようで指一本動かさない。
思い返せば強引な事をする事はあったけれど、本気で俺を傷付けるような事はしなかった。

「したい事があれば口で言え。俺の了承を取ってからにしろ」

「……じゃあ初対面の時に君を抱きたいと言ったら了承してくれた?」

「お断りだ」

どれだけコイツが美形でも結局は自分と同じ物がついた男。
元々普通に女が好きな俺にとって到底受け入れられる話じゃない。

「そうじゃなくて、今、世話になってるし、俺も少しなら聞いてやるって話だ」

「じゃあ、キスしたい」

「……ああ」

スッと近づいてきた顔にギクリと身を震わせる。
白い肌に長い睫毛、赤く色付いた唇は酷く扇情的だ。

自分の唇を、吐息が撫でる。

「……は、…ふ…ぅ」

ちゅ、ちゅぷと舌が口内に触れた。
それはとても慎重に動き、まるで形を確かめているかのよう。

キスも、セックスも、コイツが初めてだと思うと色々悲しいが、少しづつでも受け入れてやりたいと思ってしまった。
これが同情なのかそれ以外なのかは知らないが、自分で決めた事。

名残惜しそうに唇が離れ、深く息を吐いて荒くなった呼吸を落ち着ける。
不意に顔を上げてコイツを見れば、今まで見た事のない表情で口元を押さえていた。

「……顔真っ赤だぞ」

「な、んか、照れてしまって」

した方がされた方より照れるってどういう事だ。



「い゛……、ぁ、ッ」

受け入れる事に慣れていない身体はメリメリと身体を割り開く挿入に悲鳴をあげる。
以前は植物の力を借りていたからかそれほど苦痛もなかったのだが、今回は俺がそれを許さなかった。

痛みが身体全体を突き刺し、眦を涙が伝う。
突き入れられた尻穴は熱く熱した杭を強引に突っ込まれてるみたいに焼けた。

「一旦抜こう、辛そうだ」

「っざけん、な! 続けろ」

腰を引こうとするコイツの腕を掴んで引き止める。
今更逃げようなんて許さない。

「でも……」

「でもじゃねぇ! お前がやった事はこういうことなんだって自覚しろ」

「……っ!」

実際にこいつに何も力がない状態でレイプしたらこういう事になっていた。
痛みが殆どなくて気持ちよかったからと言って許されることではない。

「ごめ、ん」

「……やめろ、謝るな。許すつもりなんかねぇから」

コイツが俺にした事に関しては心が狭いと謗られようとも一生許せないだろう。
だけどこれからの行為は違う。

「その分これからは無理やりすんな。お前が今辛いみたいに結構精神に来る」

「……わかった」

実際に痛い俺よりも泣きそうな顔をしたコイツの頬を指先で撫でる。
身体だけは成長しているのに、こんなに簡単なことすら教えてやらないとわからない。

「うあ、でもやっぱり痛ぇ……。少しだけ慣れるの待ってくれ」

本当はさっさと出して終わりにしたいけれど、自分の身体がギシギシと軋みそれを拒否する。
元々痛みに強いわけじゃないし、男の性器を受け入れるのに慣れたい訳でもない。

「抱きしめてもいい?」

「変な事をしたがるな、お前」

「あ、いや、嫌ならいいんだ」

拒まれたと思い直ぐに引いたこいつに向かって軽く腕を開き招き入れる。

「……ほら」

遠慮がちに俺の身体を抱きしめた腕は軽く震え、まるで壊れ物を扱うみたいに慎重に触れた。
触れあう身体は温かくて、化け物みたいに思っていたコイツが別の生き物から似たような存在に変わっていく。

腹の中の存在が何かを喜ぶように揺れた。



(鼻血出そう)

口から血を吸うよりも濃い栄養なのか、異様な満腹感に襲われた。
悪い気持ちではないのだが、身体中の穴から何かが吹き出そうな気はする。

気付けばとっくに夜になっていて、家に電話の一本もしていなかった事に気付く。
鞄に放りこんだ携帯電話を取ろうと立ちあがった俺の腕を引きとめる存在。

「あ……」

「んだよ、離せ」

電話が出来ないだろと続けようとする俺の声より早く、震える声が言葉を紡いだ。

「帰らないで」

「……は?」

正直身体も辛いしこんな状況で家に帰る訳にも行かず、コイツに面倒を見させようと思っていたからその言葉に面食らう。
確かに以前だったら這ってでも帰っただろうから、その考え方もわからなくはないのだが。

「……ご、めん。何言ってるんだろう、僕は」

自分でもその言葉に驚いているのか、ごにょごにょと言い淀む奴の顔は複雑そうに歪む。
今まで見た表情の中で1番人間っぽい。

「帰らねぇよ、家に電話するだけだ」

取られた腕とは逆の手で軽く頭を叩くと、掴んだ腕から力が抜ける。
キョトンとした表情が徐々に赤く染まっていく。

「ばーか」

ああ、知ってはいけない事を知ってしまった。
コイツにも俺と変わらない愚かな部分があるなんて知ってしまったら、恨み続ける事は難しい。

それなのに心のどこかでもっと知りたいと思っている自分を否定出来なくなっていた。




匿名様リクエストありがとうございました!
エロ自体は温いですが、楽しんで頂ければ嬉しく思います。


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あきゅろす。
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