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◆10万HIT CLEAR
優しい獣で愛を囁くシーン
裏庭で満足いくまで畑を弄り、その帰りに近くの川で手を洗う。
近くの山からの湧き水が主な水源のこの水は清浄で飲料にも適しており、動いた身体に冷たい水が心地いい。

それほど水位はないものの敷地の中に川まで流れているのだからその土地の広さに恐れ入る。
その所有者が自分の夫なのだから今も夢を見ているようだ。

「あれ?」

屋敷までの整備された雑木林の片隅に、少し変わった蔦を見つけ傍まで近寄る。
小さな果実をつけた蔓を軽く引きその強度を確かめると、水分を含んだこの状態でもかなり丈夫らしく利用価値は高そうだ。

「加工したら籠とか作れるかな……」

必要だと言えば買ってくれるのだろうが贅沢をしたいわけではなく、ある物で作れるのならその方がいい。
元々使えれば多少見栄えが悪くても気にしない性質だ。

「うわっぷ……、凄い水分だな」

腰に下げていた鉈で蔓を切ると、多量に含んでいたらしい水がポタポタと零れ顔を打つ。
身体を濡らす水は火照っていた身体にはシャワーのように心地よく感じられ、不快感はない。

(乾季で水が少ない時なら丁度いい水源になるかもしれないな……)

そんな事を考えながら余分な葉っぱを切り落とし、水分を出やすくするために切り口を整える。
思ったよりも時間が掛かった作業だったが、それほど苦痛ではなかった。

途中で小腹が空いたので、鳥が啄ばんだと思われる痕跡を残す小さな果実を摘み口に運べば蕩けるように甘く、数個だけ持ち帰り分を頂いて蔦を小脇に抱える。
全部採ってはいけない、動物の分を残すのはルールのようなものだ。

上質な蔓と甘い果実の味に上機嫌になっていた俺は、この後起こる事など微塵も予想していなかった。



道具類を倉庫にしまい、ベランダで干す為に蔓を抱えて部屋に戻る。
最近は天気もいいし乾くまでそんなに時間もかからないだろう。

「イルサ、帰っていたのか?」

キィと音を立てて入り口の扉が開き、クロードが部屋に入ってくる。
この時間は仕事部屋に入り浸りだから多少珍しい。

「うん、どうかしたか?」

「いや、丁度時間が合いそうだから一緒に食事でも、と……」

不意に視線を曇らせたクロードが、俺の首筋に鼻を押し当てクンクンと匂いをかいだ。

「ふぉっ? な、なに?」

多少汗もかいているし、匂いがあったのかもしれない。
少しだけ慌ててクロードから離れようとするが、腕をガッシリとつかまれていて離れる事が出来なかった。

「クロード?」

「……いい匂いがする」

「へ? わわっ?!」

ふわりと抱き上げられ、そのまま身体を洗いたてのシーツに包まれたベッドに押し当てられる。
早急な仕草で下ろされたズボンにカァッと頬が染まり、抵抗するが力の違いか簡単にいなされてしまう。

「ひゃうっ?!」

ザラリと舌が予告なく俺のペニスを舐めあげて、まだ隠れている亀頭を探るように包皮を舌で抉る。
チロチロと巧みに動く舌は熱く、扱き上げるように唇に挟まれた幹は次第に芯を持ち始めた。

「なに?! なんで、どうしたの、クロード?!」

「嫌か?」

「い、嫌じゃないけど、なんかおかしいだろお前!」

「そんな事はない、この世で1番イルサを愛している何一つおかしい所など無い俺だ」

「絶対おかしいから!」

チュプチュプと緩急をつけて唇で扱かれ、柔らかい頬肉で撫でられる。
カリ首を舌で丁寧に舐め上げられたかと思えば、亀頭をちゅぅと吸われ、クニクニと玉を揉みあげられた。

「〜〜〜っ、ぅあっ!」

いつもの柔らかい愛撫とは違った性急に求めるような激しい刺激は、俺の身体を酷く昂ぶらせ甘く揺さぶる。
強い快楽に煽られて眦に溜まった涙が頬を伝い、達する事しか考えられなくなっていく。

「クロード、ゃ……、も、いかせ、て」

下肢を弄るクロードの髪を指で軽く掻き、はしたなく強請る。
そんな俺を満足そうに見つめ、クロードは甘い声で囁いた。

「イルサは俺の事を好きか?」

「へ? そ、そりゃ好きだけど……」

「もっと言ってくれ」

「す、好き」

「もっと」

「好き、大好きだよ」

「……もっと」

しつこい位に愛の言葉を求めてくるいつもと違うクロードに困惑しつつも、どこか嬉しさも感じていて俺もちょっとおかしい。
普段なら恥かしくて言えない言葉がするりと口をついて出た。

「……、愛してる」

どうやらその言葉を待っていたらしいクロードは、機嫌良さそうに喉をクルクルと鳴らし俺の唇を塞いだ。

「んう…」

ねっとりと絡むクロードの舌におずおずと舌を絡めて快楽を享受する。
柔らかく手の平で扱き上げられたペニスの先端に、クロードの爪がツプリと抉った。

「ひぐっ、あ、あぁあああっ!!!」

目の奥が白く霞むほどの強い刺激に、あっけなく俺射精してしまう。
ビクビクと身体が震えるたびに白い飛沫がクロードの手の平を濡らし、淫靡に染め上げていく。

「ふ、あぁ、ぁ……」

濃い性臭が鼻をつき、絶頂も相まって身体がブルリと震えた。

「いやらしい匂いだな、興奮する」

手についた精液をベロリと舐め上げながら、クロードが服をシュルリと脱ぎ捨てる。
均整のとれたしなやかな身体は美しく、状況も忘れて見惚れてしまう。

「まだイルサが食べたりない、……いいだろう?」

いいだろうと聞きながら有無を言わせぬ迫力のクロードに、俺はコクリと頷く。
多少様子がおかしいとは思いながらも、その腕の中は俺にとって、とても心地よかった。



「…………サ、イルサ」

「ん、……クロード?」

その後、普段よりも積極的なクロードに色々されて疲れきった俺はそのまま寝てしまったらしい。
外を見れば日は傾きかけ、オレンジに染まっていた。

「うわ、昼飯食い損ねた! 無駄にさせちゃったかな……」

「そうではなく! これは、俺がしたのか?」

クロードの指が俺の胸元に残るキスマークを指差しながら眉を潜める。
他の誰がこんな事をするというのだ。

「覚えてないのか?」

「イルサから変わった匂いがすると思って匂いを嗅いだ所までは覚えている。だけどその後が曖昧で……」

「匂い?」

自分の身体に鼻を寄せてクンクンと嗅いでみるが、特に変わった匂いはしない。
強いて言えば多少汗臭く、致した所為で性臭がするぐらいだろうか?

「今もする?」

「今はそれほどでもない、それよりも外から強く感じるのだが……」

「外……、あ、あれか!」

「あれ?」

怪訝そうなクロードにベランダで干していた蔓を見せると、グッと口元を押さえて後ずさる。

「もしかして嫌いな匂いだった?」

「そうじゃない、あれは『サルナシ』だ」

「さるなし?」

「キウィの原種、そしてマタタビ科」

なるほど合点がいった。
つまりさっきまでのクロードは、濃いマタタビの匂いで酩酊していた訳か。

俺に愛の言葉を求める酒癖とか、なんというかクロードらしい。

「私はあの匂いに弱いらしくてあまり近寄った事はなかったんだが、……なにか酷い事をしなかったか?」

しばし逡巡し、にまりと笑って返事をした。

「ないしょー」

「な、何かしたのか?!」

まだ真正面から愛をささやくのが恥ずかしい俺にとって、強引に聞いてくれる酩酊したクロードはありがたい存在で、またサルナシの力に頼ってしまおうか。
慌てるクロードにクスクスと笑いながら、俺は答えをはぐらかした。



トーイ様リクエストありがとうございました!
楽しんで頂けたら嬉しいです。

この2人だとラブラブがとても書き易いし、楽しいです。
こっぱずかしさは残りますけどね、ひぃ。


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