トリップ少年☆まじかる腐男子君
2
「ほ、ほらっ!この髪の毛とか白くてとても綺麗だよっ!」
そう言いつつ、髪を触るふりして軽く引っ張ってみる。
むむ、どうやらカツラではなさそうだ……。
「え〜?君、ホントにおかしな子だね〜っ。白い髪なんて、好きな人いないよ〜?」
やっぱり、白髪はこの世界ではあまり評判が良くないみたいだ。
それを聞いて期待に胸が高鳴る。
つ ま り !
この転入生君はわざと白髪にしているに違いない!
王道だとどこぞのチームの総長で親とか理事長(叔父)に学園に入れられ変装させられるが生徒会役員が敵対チームのメンバーで余計に変装が解けなくなってしまったパターン!!
しかしこの世界の不良というものがどういうものなのか俺には分からない。そもそもチームとか存在するのだろうか。
俺は思い切って聞いてみることにした。
「だ、だよなーっ!白髪にしてるなんて……変装してるのか……っっ!?」
途端、急に体に重みを感じて俺はなすすべもなく床に倒れこんだ。
なななななっなんだ!?何か重いものに乗っかられているような感覚があるのに、俺の上には何もない。
はっ!こ、これは闇魔法のグラビティ……?
えっ、でもでも!闇魔法って……。
「あ……あく、ま……?」
「……まさかこんなに早く変装がバレるとは、ねぇ……。迎えにきた副会長ってやつにはバレなかったし、結構自信あったんだけど……お前、何者だ……?」
ええええええええええっ!?な、なんか口調変わってませんーーーっ!?
そう言いながら俺の前でしゃがみこんだ転入生君はパチンっと指を鳴らすと真っ黒な風に包まれた。
すぐにその風は消えてなくなったが……そこには可愛らしい姿も無くなっていた。
サラサラな髪や長い睫毛、アヒルさん唇に白くて触り心地良さそうな肌といったところは同じだけど、腰まであった髪は肩くらいまでで、色は赤みがかった黒になっている。
ぱっちりしていた目は切れ長で髪の色と同じになっており、どこかエロい雰囲気のある顔立ちだ。
「まぁ、バレちゃったもんは仕方ない。口封じすれば良いだけだしぃ?」
俺は魔法で押しつぶされているせいでうまく言葉が発言出来ない中、悪どい笑みを浮かべた転入生君は地面に向かって手をかざした。
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