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初めての恋と書いて初恋と読む
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 どうやらこいつは一度兄スイッチが入ると饒舌になるらしい。

 やっぱ兄貴って呼ぶのやめとこ。ってかこいつがあんまりにも怯えるからちょっと冗談言ってみただけなんだがな。

 そしてこの短い期間でもう一つ分かったことがある。雨宮は、


「ブラコンすぎんだろ。」
「言わないでくれ……。」


 自覚はあるようだ。



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「えーと、ひゅうがひなたっす。」


 雨宮に職員室まで案内してもらい、担任に連れられて2ーCの教室へ。

 転校するならお馴染みの自己紹介とかしているわけで。

 初対面の奴には必ずと言って良い程名前に突っ込まれるのだがどうやらこのクラスは特殊みたいだ。


「か、かっこいー!」


 そりゃどーも。


「恋人いるのかな?いたらどーしよー!」


 知るかよ。


「テライケメソ不良キタコレ!ハスハス!」


 ……………。


「タチで良かったあっ。」


 タチ?……太刀?あれか、モンスターを狩る有名なゲームか。


「いや、太刀じゃねーけど。」


 俺はハンマー使いだ。という俺の声は


「ぎゃあああああああ!!!」


 という叫び声によってかき消された。

 うるせぇ!!

 なんだこの学園は、そんなに太刀が好きなのか?俺はあんま好きじゃねぇんだけど。


「静かにしろーー。」


 やる気なさそうな担任がやる気なさそうに言う。

 そんな言い方で教室が静かになるはずもないが、気にせずに口を開いた。


「日向の席はあそこなー、雨宮の隣。雨宮はクラス委員長だから何かあったらあいつに頼れ。じゃ、かいさーん。」


 言うだけ言ってさっさと教室から出て行く担任。やる気あんのか。いやねぇな。

 自分の席と言われた場所に行けば隣の雨宮に苦笑いされた。なんでだ。

 ちなみに窓際の一番後ろという人気のポジション。前の席の奴はいなかった。


 

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