初めての恋と書いて初恋と読む
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蓮みたいな可愛い系はタイプじゃないっつーことか。
俺は棚から離れ、次はクローゼットらしき扉を開けた。
「うわっ……。」
そこにはなんと、見覚えのある洋服がズラリと並んでいた。
それもそのはず、俺の好きなファッションブランド、バイソンボブスの服ばっかだった。
今時の若者をターゲットに、流行りを取り入れつつオリジリティーを出しているブランドだ。
「あんな性癖のやつと同じ趣味とかないわー。」
とかいいつつ何持ってるか気になったので一つ一つ見ていった。
「これ俺と色チ……。あ、このTシャツ即売り切れたやつ!欲しかったんだよな〜。……げっ!この下着全く同じだし!」
バイソンボブスはボクサーパンツも出してる店で、俺が持ってるものと全く同じものを発見してしまった。
「もうこの柄履くのやめようかな……。」
知らない方が幸せってこのことか。
見なきゃ良かったとクローゼットの扉をそっと閉めた。
それからまた部屋中を物色したり勝手に風呂に入ったりしたんだが、なかなか帰ってこない。
時計を確認すればもう21時すぎだった。
でかいベッドの上に背中からダイブして天井を眺める。
「ったく、人を部屋に呼んでおいていねーってどういうことだよ。」
22時になれば颯斗たちも帰ってくるんだし。
いやでもあのまま部屋にいても結局することねーし物色してた方がましだったか。
そんなことを考えていたらいつの間にか寝てしまっていた。
***********
「……ろ。…………い、おい!」
「…………んっ……。」
体を揺すられて意識が徐々に浮上してくる。
「おい、俺は寝てる奴を相手にする趣味はねーんだよ。」
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