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初めての恋と書いて初恋と読む
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 ガタンゴトン。ガタンゴトン。


「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜。」


 待ち望んだ学園外だというのに、電車に揺られながら今まで生きてきた中で一番長い溜め息を吐いた。

 悩んだ結果、今日外出することにした。

 今は4月だから5月まで外出できないことになる。

 学園から街まで遠いのに、その街から地元に行くまでも結構遠い。合わせて片道3時間くらいだ。

 今はもう昼すぎで、門限が22時だから帰りの分も考えるとあまり時間がない。

 それでも今日にしたのは朝から帰っても特にやることがないからだ。前の俺の活動時間はだいたい夜からだったから。

 それに、俺はなるべく早い日に行きたい場所があった。

 長いこと電車に揺られ、やっと目的地に着いたときはもう16時を回っていた。


 大通りから外れた細い道にあるショットバー『Wing』。

 準備中と書いてある札を無視して扉を開いて中に入る。

 中は白と黒が多くバーにしてはシンプルで、この落ち着いた雰囲気が俺は好きだ。


「すみませんが、まだ準備ちゅ……」


 中でグラスを拭いていたオーナーが来客に気付き、顔を上げながら言うが俺だと分かると驚きに目を見開いた。


「ちーっす」
「ひなた!?」


 俺は片手を軽く上げて、あえていつも通り挨拶した。

 ガタッと持っていたグラスを乱暴に置くとこちらに駆け寄ってきた。


「お前、今までどこいってたんだ!携帯も繋がらないし!」
「ちょ、まぁまぁ、落ち着いて下さい。説明しますから……。」


 両手で肩をがっしり掴まれて揺さぶられる。

 なんとか落ち着かせるとカウンターに腰をかけて、俺が地元を離れた理由を説明した。


 

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