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初めての恋と書いて初恋と読む
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 しかも颯斗は顔を俯けたまま微動だにしない。

 覗き込んで様子を窺おうとしたらすっと目線を逸らされた。


「はやと?」


 不思議に思ってじっと顔を見つめていると、何故か不機嫌そうに見える。

 ……もしかして、拗ねてんのか?

 まさかとは思うが、俺より余裕がなかったからとか俺より先にイったからとかそんなところか?

 そう思えばいきなりフェラしてきたのも頷ける。

 けど結局颯斗の方が余裕なかったのは本人も自覚があるようで、だから機嫌が悪いのかもしれない。


「ふっ……はやと。」


 小さく笑みを零し、優しく名前を呼びながら颯斗の腕を引く。

 バランスを崩した颯斗と一緒に横になって俺より小さくて細い身体を抱きしめて頭を撫でてやる。


「すげー気持ち良かったぜ、ありがとな。」
「っ!」


 耳に唇を寄せて囁くと腕の中でピクリと小さく反応した。


「またやろーぜ?」
「……やらないし。」
「なんで?気持ちよくなかった?」
「っ……。」
「俺はまたやりてぇんだけど。」
「俺は、別に……。」
「今度はもっと気持ち良くしてやっから。」
「っいらないから!」
「えー?気持ちいいこと好きじゃない?」
「…………。」
「俺は好き。」
「なんで、俺……。」
「いーじゃん、同室のよしみで。」
「……もー。」


 俺がそーいうやつだって解ったのか、諦めたように溜め息を吐いた。

 これでひとまず性処理の方はなんとかなりそうだ。ホントはヤレる相手を見つけるのが一番いいんだけど仕方ない。


「おやすみ、颯斗。」
「……おやすみ。」


 ――次の日、目が覚めた颯斗は「うわああああ!」って叫びながら部屋を出ていった。

 出会ってすぐのときもそうだったけど、どうやら一度スイッチが入ると勢いで行くタイプらしい。

 

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