初めての恋と書いて初恋と読む
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「つか、蓮の知り合いじゃねーの?」
「違うよー!この子、転入試験満点合格したんだよ?」
「えぇっ!?」
特待生の颯斗がかなり驚いてる様子を見ればそうとうすごいことなんだろう。まあがり勉って言われても納得の外見だが。
「んじゃあ担任が名前呼びしてたのも蓮じゃねーのか?」
「あ、それは僕!」
さらに腕に力を入れてやったら再びキャーキャー騒ぎ出した。
「だって!ひなたんのときはそんなことする余裕もなかったしー!ひなたん全然王道じゃないんだもん、真澄君に希望を抱いてるんだよぼくはっ!」
いったい何を期待してるんだこいつは。
ようやっと腕を開放してやると、蓮は色素の薄い茶色い瞳をキラキラ輝かせて真澄の手を握った。
「僕は帝蓮!何か困ったことがあったらなんでも相談してね!よろしくっ!」
「お、おうっ!よろしくな、れん!」
あまりの勢いに流石の真澄もタジタジだ。
そして名前で呼ばれたことでガッツポーズをする蓮。なぜだ。
「てかてかっ、ますみんと仲良くなったの!?」
ますみんって……と思ったがもはや突っ込むのもめんどくさい。
「まぁ……仲良くしようとは思っ……ぶっ、くくくくくっ……。」
真澄の話題になったのでそちらに顔を向け、言いながら先程のやり取りを思い出して吹き出してしまったのは仕方のないことだろう。だってこいつの髪型いつ見ても面白いしさらに理由が理由で。
「おまっ、笑いすぎだっつの!」
「いやっ……笑うっしょ、笑うなって方がむりっ。」
真澄が腕を振り上げてきたのでひょいと避けてやった。未だに笑い続けてる俺を見て次々と攻撃を繰り出してきたが軽々と避ける。
てかこいつ本気出してないとはいえ結構いい動きするな。
そんな俺たちの様子を見て一番反応を見せたのは蓮だった。
「えっ!まさかひなたんルートなのっ!?」
アホなことを抜かす蓮に膝カックンをお見舞いしてやった。
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