初めての恋と書いて初恋と読む 115 「教科書とかまだだろ?机こっちもってこいよ。隣のこいつは、雨宮颯斗な。担任にいつもこき使われてる奴。」 「サンキュー!よろしくなっ!はやと!」 「あはは……。」 真澄の机を俺と颯斗の間に移動させて紹介してやったらまたもや名前呼び。颯斗は苦笑してたけどただ人見知りしてるだけだから気にすることはないだろう。 それにこの短時間だけでもこいつが周りからよく思われてないってのは分かる。この世話焼き颯斗が放っておくはずがない。 まあ俺も、真澄が見た目通りのオタクで話あわなさそーなやつだったら関わりたくはなかったけども。 そして颯斗が名前で呼ばれたことで反応する奴が一人。前の席からジト目でこちらの様子を窺ってる男前に真澄が気が付いた。 「あっ!れき!席近くてよかった!」 「えっ?知ってんのか?」 「同室なんだぜ!」 そういえば、玲輝の前の同室者は怖がってほとんど帰ってこなかったあげくついに移動したと聞いた。 玲輝の方はどうか分かんねーが真澄なら大丈夫そうかな。 「……颯斗に迷惑かけんなよ。」 「おうっ!」 それだけ言って玲輝は溜息をつきながら前を向いた。 ふーん?颯斗のこと話したんかな。 まぁなんだか上手くやってるっぽいな。玲輝はダチとベタベタするタイプじゃないからわかりにくいけど嫌いな奴と我慢して一緒にいるような性格でもないし。 *********** 午前の授業がつつがなく終わり、さて食堂に行くかと席を立った時だった。 スパーンッ!と気持ちいいくらいの音を立てて開かれた教室の扉には、蓮がいた。 「キャー!!!王道!!王道だよ!!ねぇひなたん!!王道くんだよっ!!ほんとに来きてくれるなんて!!!萌えっ!!!」 すぐさまこっちに駆け寄ってきた蓮は興奮に任せて俺の背中をバシバシと叩いてきやがった。うざったいのでヘッドロックかましてやった。 手加減して軽くしてやったせいか相変わらずキャーキャーうるさい。もっと力入れてやろうか。 [*前へ][次へ#] [戻る] |