初めての恋と書いて初恋と読む
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まあ名前に関して変なこと言ってはいけない。どうしよーもねーしな。
けどクラスメイトは違ったようで、嘲笑うかのようにクスクスと笑い声を上げていた。隠す気もないんだろーな……。
しっかし、俺の時とはえらい違いだな。そりゃ顔がいいに越したことはないが。
「真澄の席は日向の後ろなー。あの髪赤い奴。そいつの隣の雨宮はクラス委員長だから何かあったらあいつに頼れ。じゃ、かいさーん。」
唯一、俺の時と変わらずに言い放ってさっさと教室を出ていく担任。相変わらずやる気がねぇ。
いや、待て。今真澄っつった?
聞き間違いかと思いきやザワつき始めるクラスメイトを見て確信に変わった。
まあ俺と同じく裏口の可能性はあるし、元からの知り合いだってこともあるよな。と呑気に考えていたら――。
「おっ……?」
こちらに向かってくる途中で、黒もじゃがぐらりとバランスを崩した。
と同時に足を引っ込める奴がいたのも見えた。
危ねぇ!と思って立ち上がりかけたのだが……。
黒もじゃは咄嗟に近くの机にダンっ!と手を付き腕の力で体を持ち上げ、見事に、着地した。
ま、マジかよ。一見運動とは無縁そーなオタクのクセになんだあの軽やかな動きは。
しかも特にビビった様子もなく、平然と俺の後ろの席に着いた。
「大丈夫かよ?」
流石にやり過ぎだろうと思って後ろを振り向いて声をかけてやった。
それに、俺はあーいう陰湿な奴が嫌いだ。
「あぁ、へーきへーき。」
俺の心配とは裏腹に、ニカッと笑った。口元しか見えねーけど。
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