初めての恋と書いて初恋と読む
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「転入生……?」
今日の朝はいつもより教室内がザワついていた。かっこいい子がいいとか可愛い子がいいとか。
どこから情報をリークしたのか、みんなその話題で持ち切りだ。
「日向の知り合い?」
なんて颯斗が聞いてきたが俺は今知ったんだぞ。
「同じ転入生だからって一緒にすんな。」
「いやだってここ、一貫校だから外部の受け入れあんましてないし、また帝先輩あたりかなーと。」
「確かに……けど知らねー。」
蓮の知り合いすべて把握してるわけじゃねーし。
玲輝は一切興味が無いのか頬杖ついて携帯いじってら。
「席つけー。」
ガラリと教室のドアを開けて担任が入ってくると、教室内がさらに騒がしくなった。
すげー、いつも空気みたいな担任が前代未聞の人気を誇っているぞ。
「お前らもう知ってんのか。じゃ入ってこーい。」
生徒の反応を見て察した担任は早々に今し方入ってきたドアに向かって声をかけた。
みんなの期待が込められた視線が集まる中入ってきたソイツは――。
「ぎぃゃああああああああ!!!」
「ぅげ。」
室内に悲鳴が響き渡った。けど、こればっかりは共感だ。
クラス中のブーイングを受けながら教卓まで来たソイツは、鳥の巣みたいなもじゃもじゃした頭と瓶底メガネをかけていてなんかもういろいろとやばい。
何故か知らんが唯一見える口元がニヤついててキモい。
「……朝吹 真澄(あさぶき ますみ)…………よろしく。」
とてもよろしくしたいとは思えなさげなぶっきらぼうな口調で黒いもじゃもじゃは名を名乗った。
いや、待って、待って。吹き出さなかった俺を褒めて。真澄って、どこも澄んでねーって。
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