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虎ぶる!!



「や、やだっ触んなって……!」
「……まだ拗ねてんのかよ?」
「…………。」


 今となってはいつものことだが、ラージが確かな目的を持って俺の体をなぞってくるその手を振り払った。

 なんか……おかしいんだ。……最近の俺はおかしい。

 ラージに触られるだけで過剰に反応してしまう。

 そんな自分がよく分からなくて、つい抵抗してしまう。のだが。


「あっ!やだっ……て、アッ!」


 やはりラージの力に敵うはずもなく、両手首を片手で押さえつけられて乳首を舐められる。

 それだけで背筋がゾクゾクし身体を逸らした。


「はぁ、アッ、やっ、ああっ!んっ!」
「ずいぶん敏感になったよなぁ?」
「ち、ちがっあっああっ、だめっ!」


 拘束されてもなお、やだやだと首を振り抵抗を見せる。

 そんなこと言われなくても自分が一番分かってるっつーのっ!

 ラージの手が肌を滑り落ちながらあと少しで下肢に触れようとした絶妙なタイミングで携帯の着信音が鳴り響いた。


「あっ!で、でんわっ!出なきゃっ!!アアアっ!!」
「ほっとけ。」


 一生懸命お知らせをする携帯なんてなんのその、止まることを知らない手は何事も無かったかのように触れて指先でつーっと撫で上げた。

 たったそれだけの僅かな感触にさえビクンっと大きく身体が跳ねる。

 なんで……なんで触られただけでこんな反応するんだよ、俺っ!

 こうなったのはラージがマタタビでおかしくなってからだが、はっきりとした原因が分からずに困惑していた。


「ほらっ!か、んざきっ!からっ、だからっんっ!」
「……チッ。」


 よくお世話をしてくれている使用人の神崎は、携帯で連絡してくることは滅多にない。

 毎日食事を運びにこの部屋を訪れるため直接顔を合わせることが多いからだ。

 それをラージも理解したのか不機嫌な顔をしながらも離してくれた。

 ホッと息をつき慌てて携帯に飛びつく。

 別に今すぐ電話に出たかったわけじゃない。逃げるための口実だった。


「な、何か用かっ!?」
「…………よぉ。久しぶりだなァ?あきらちゃん?」
「は……?誰だテメェ……。」


 長方形の機械を耳に押し当てると、そこから流れてきたのは聞き慣れた柔らかく落ち着きのある声とは対象的に、低く耳障りな声だった。



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