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虎ぶる!!
15


 神崎は、怖くないって言ってた。人を傷つける虎じゃないって。

 ゴクリと唾を飲み下して、ゆっくり、ゆっくりとラージに近付く。


「ラージの……目、カッコいいよ。俺は、その赤い目、好きだ。」


 その瞳で優しく俺を見るのも、熱っぽく見るのも、嫌じゃない。

 そっと伸ばした手は少し震えたけど、ラージの体に触れたら温かさが伝わってきて、震えは止まった。


「なあラージ、俺を見ろよ。」


 あれからラージの顔を見ていない。ずっと背を向けていた。

 俺が見ようとしなかったってのもあるし、見られたくなかったのかもしれない。

 この、普通とは違う赤い瞳を。


「…………あきら……。」
「っ!ラージっ。」


 振り向きはしなかったけど、ラージの、低くて弱々しい声が俺の名を呼んだ。


「……ホントか?」
「ん?」
「目……好きだって。」
「うん。」
「軽蔑しねぇ?」
「んなもんしねーよ。」


 頷いて答えると、ラージはゆっくり起き上がってソファー隅に移動した。

 俺は開いたスペースに腰掛け、ラージを見る。

 ラージの赤い瞳には、俺が写っていた。


「……晃には、知られたくなかった。普通じゃねーってこと。」
「はは、何言ってんだよ。喋ってる時点でフツーじゃねーし。」
「それは俺自身が望んだことだ。目の色は、生まれつきだ。」
「えっ?じゃあ……喋りたいって思ったから喋れたのか?」
「ああ。」


 そう思っただけで実現しちゃうなんてすげーことじゃね?

 それってさ、もしかしたら。


「ラージの目が赤かったから……普通とは違うから、人間になれたんじゃね?今俺とこうやって話してるのも、赤い目のおかげかもなっ!」


 

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あきゅろす。
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