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虎ぶる!!
13


「うおっ!?」


 ちょうど俺の腹あたりに衝撃を感じて見下ろしたら……黒いものが見えた。

 黒いから一瞬なにか分からなかったけど、よく見たら人間だ。

 背は俺の腹くらいまでだから小学生っぽい。黒いのは肌の色だった。どうやら黒人の子供らしい。


 その子が慌てて上げた顔は涙で濡れていた。

 今泣き出したわけじゃないみたいだ。目は真っ赤になっていて嗚咽を漏らしている。

 ま、俺には関係ねーし。

 俺はその子を置いて早く家に帰ろうと前を向いたら、ちびっ子2人がこちらに向かって走ってきていた。


「おいゴキブリ!待てー!」
「風呂入ってないから黒いんだろー?ばっちぃー!」


 笑いながらこちらに駆けてくる子に、俺は眉を寄せ、黒人の子は肩を大きく揺らした。

 ああ、いじめか……。

 しかし苛めっ子は近づいてくると俺に気が付いたようで、少し距離を置いて立ち止まる。


「ず、ずりーぞ!」
「逃げてんじゃねーよ!」


 とかいいながら2人のガキは逃げて行った。


「グズッ……ゴメ、ナサ……。」


 黒人の子は溢れ出る涙を必死に拭いながら呟くようにそう言うと歩き出す。

 俺は咄嗟に黒い腕を掴んでいた。


「……ちゃんと帰れんのかよ?」
「……っハイ…………ダイ、ジョブ……。」


 外人特有のカタコトだった。

 日本人にはあり得ない黒い肌と違和感のある喋り方。

 小さいガキからしたらイジメの対処になりやすいんだろう。

 …………あり得ない、色……。

 つい最近そんな言葉を聞いた気がする。


ーー目が赤いのは有り得ないんですよーー



 


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あきゅろす。
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